保険外交員になるための資格の要否、仕事内容および平均年収を紹介
保険外交員とは、生命保険会社・代理店などで、生命保険契約の勧誘や契約後の顧客サポートを担当する職業を指します。
顧客相手の仕事が多いため外交員の名が付けられています。
なお、以前は女性が多かったため、生保レディとも呼ばれていました。生保レディも保険外交員に含まれます。
保険外交員はやりがいのある仕事でもあるため、目指している人も多いのではないでしょうか。
今回は、保険外交員になるためにどんな資格が必要なのか、具体的な仕事内容、平均年収などを紹介します。
保険外交員になるための資格の要否、具体的な仕事内容などが分かるため、保険外交員に転職すべきか否かの判断材料が得られますので、ぜひ参考にしてください。
保険外交員になるのに資格は必要!入社時は不要?
保険外交員になるためには「生命保険募集人」の資格が必要です。
資格取得後に金融庁で登録作業を行い、保険外交員としての職務が可能です。
生命保険募集人の資格を取るためには、生命保険協会が主催する「一般課程試験」に合格する必要があります。
一般課程試験は、生命保険会社または代理店に入社後に行われる、基礎研修を受講した後に受験する試験なので、難易度は高くないといわれています。
なお、一般課程試験は入社後に受験する試験であるため、入社時には生命保険募集人の資格は特に必要とされません。
保険外交員で活かせる資格
保険外交員として活躍するためには、以下の3つの資格を持つとよいでしょう。
- 専門課程
- 応用課程
- 生命保険大学課程
これらの資格は、いずれも生命保険協会が開催している試験に合格すれば得られるので、キャリアアップにつながりやすくなります。
その他にも「変額保険販売資格試験」「外貨建保険販売資格試験」に合格すると取扱える商品が増え、仕事で活かせます。
なお、保険外交員の仕事に直結する資格とはいえませんが「ファイナンシャルプランナー」も、キャリアアップのために有効な資格です。
それぞれの資格について詳しく解説します。
専門課程
専門課程とは、一般課程で学んだ生命保険の基礎知識を基に、保険販売に関連する専門知識・周辺知識の修得を目標とした課程です。
専門課程を取得すれば顧客への勧誘に必要な知識が得られ、より勧誘がスムーズになります。
専門課程試験合格者には「ライフ・コンサルタント」の称号が与えられます。
応用課程
応用課程とは、専門課程試験で得られた生命保険の知識を活用し、応用力・実践力の修得を目標とした課程です。
応用課程を取得すると、生命保険に関するさまざまな知識が得られるため、勧誘において顧客からの信頼も厚くなるメリットがあります。
応用課程試験合格者には「シニア・ライフ・コンサルタント」の称号が与えられます。
生命保険大学課程
応用課程試験の合格者を対象に生命保険および関連知識をより高度なレベルで習得する課程です。
生命保険大学課程を取得すれば、顧客のファイナンシャルプラン全体へのアドバイスもできるレベルとなります。
生命保険大学課程試験(全6科目)の合格者でかつ一定の条件を満たした人には「トータル・ライフ・コンサルタント」の称号が与えられます。
変額保険販売資格試験
変額保険販売資格は生命保険募集人として金融庁に登録済みで、専門課程試験の合格者など一定の要件を満たす人を受験対象にした資格です。
変額保険販売資格を取得すると、一般の保険外交員では勧誘・契約が行えない変額保険の取扱いも可能となります。
仕事の幅が広がり、新しい顧客の開拓などに有利になるといったメリットが考えられます。
外貨建保険販売資格試験
外貨建保険販売資格は生命保険募集人として金融庁に登録済みで、専門課程試験の合格者など一定の要件を満たす人を受験対象にした資格です。
外貨建保険販売資格を取得すれば、一般の保険外交員では取り扱えない外貨建保険の勧誘・契約が可能となります。
取り扱える商品が増えるため、新規の契約数を増やし収入アップの期待も高まるでしょう。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を取るための学習によって、以下のジャンルで知識を修得できます。
- 金融
- 税制
- 不動産
- 住宅ローン
- 教育資金
- 年金制度
上記のジャンルは、新規の契約受注または契約更新のときに、トータルファイナンシャルプランの提案が可能となるため、役立つ知識といえます。
なお、ファイナンシャルプランナーの資格は、国家資格である「ファイナンシャル・プランニング技能士」と、民間資格である「AFP資格」「CFP資格」です。
AFP資格の認定を受けるためには、ファイナンシャル・プランニング技能士2級の合格が必要です。
CFP資格の認定を受けている場合には、ファイナンシャル・プランニング技能士1級の受験資格が与えられます。
保険外交員の仕事内容
保険外交員の仕事内容は大きく分けると、以下の3点です。
外交員の名のとおり、顧客向けの仕事が多いです。
- 商品の紹介・募集・勧誘
- 契約の代理
- 契約後の顧客サポート
上記3点の仕事内容の詳細について、紹介します。
商品の紹介・募集・勧誘
自社の商品を顧客に紹介し、契約を取り付ける仕事です。
生命保険会社の店頭や顧客の自宅・勤務先へ訪問し、自社商品の保障内容・保険料などを説明します。
顧客が実際に保険に加入した場合を想定し、受給額をシミュレーションした結果の提案も勧誘方法の1つです。
その他、自社のノベルティの配布などの販促活動も担当します。
契約の代理
自社の保険商品への加入を決めた顧客と、生命保険会社間の契約の代理を行います。
現在はデジタル化が進んでいるため、保険外交員が持参したノートパソコンやタブレット端末を利用して、商品を勧誘した場で契約の締結が可能です。
契約締結後に送付される保険証書についても、以前は紙で郵送されてきていましたが、現在はWeb上で参照できる方法が増えつつあります。
契約後の顧客サポート
契約後には、長期間に渡って外交員として、顧客サポートが行われます。
保険料の支払い相談や、契約内容の変更手続きなどがサポート内容の主な実例です。
顧客のライフステージの変化に伴い、現在の契約内容が最善ではない場合には、別の商品の紹介や、保険内容の見直し提案も行います。
年に1回は自宅や企業を訪問し、契約内容の確認や、保険に関して困った点がないかなどのヒアリングなどの業務も外交員としての業務の1つです。
保険外交員の仕事は外交員の名が示すとおり、顧客と直接コミュニケーションを取る業務が多い点が特徴です。
保険外交員は入れ替わりが多い傾向にあり、転職者も少なくありません。
外交員の仕事で培ってきた営業やコミュニケーションスキルは、他の金融関連の業界はもちろん、全く別の業界でも役立つスキルです。
さまざまな業種・業界に転職する保険外交員が多いといわれています。
平均年収
厚生労働省が公表している「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、保険外交員を含む金融業・保険業の平均月収は39万3,400円でした。
年間換算すると、年収は472万800円(賞与は除く)となります。
参考までに他の業種の平均月収・平均年収は下表のとおりです。
業種 | 平均月収 | 平均年収(賞与除く) |
---|---|---|
建設業 | 34万9,400円 | 419万2,800円 |
製造業 | 30万600円 | 360万7,200円 |
情報通信業 | 38万1,200円 | 457万4,400円 |
卸売業・小売業 | 31万9,600円 | 383万5,200円 |
他の業種に比べて、比較的平均年収は高いといえます。
ただし、収入は基本給と歩合給の合算したものが多く個人差が大きいので注意が必要です。
つまり、新規契約を取れば取るほど、歩合給が上がるため高収入を得られます。
次の記事では、会社の種類や転職先の選び方を解説
本記事では、保険外交員になるために必要な資格、具体的な仕事内容・平均年収を紹介してきました。
保険外交員になるには、生命保険募集人の資格が必要ですが、生命保険会社・代理店に入社後の取得で問題ないでしょう。また、生保レディも保険外交員に含まれます。
具体的な仕事としては、生命保険の勧誘・契約代理・契約後の顧客サポートがあり、平均年収は約472万円程度でした。
次の記事では、保険会社の種類や転職先の選び方を紹介しています。
保険外交員は、比較的高年収であり顧客とのつながりが深く、やりがいがある仕事です。
保険外交員に転職したい人は、ぜひ参考にしてください。