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健康保険証の新規発行が停止に?マイナンバーカードを利用した保険証へ本格移行
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マイナンバーカードと健康保険証を一本化するメリットとは

2024年も終盤を迎える中、日本の健康保険制度が大きな転換期を迎えました。

これまで使用されていた健康保険証の新規発行が、2024年12月2日より停止となったのです。これは、マイナンバーカードの健康保険証利用(マイナ保険証)を基本とする仕組みに移行するための対応です。

マイナンバーカードの保有率は全人口の約70%ですが、利用率は約5%と非常に少なく、このような状況下で政府が「マイナ保険証」への移行を進める意図とは何なのでしょうか。

この記事では、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、従来の健康保険証が廃止された背景と、マイナンバーカードと連携したマイナ保険証の概要やメリットについて解説します。

従来の健康保険証の新規発行を停止し、マイナ保険証に移行する背景とは

従来の健康保険証の新規発行を停止し、マイナ保険証に移行する背景とは

これまで使用されてきた紙やカード型の健康保険証は、多くの方々にとって親しみのあるものだったのではないでしょうか。

しかし、従来の健康保険証は2024(令和6年)12月2日移行、新規発行されなくなります。

これは行政のデジタル化や手続きの簡略化を目指した国の方針により、マイナンバーカードの利用を促進しようとした政策の一環です。

これにより従来の健康保険証の新規発行は停止され、2025年までにマイナ保険証への完全移行を目指しています。

ただ、現在使っている健康保険証がすぐに使えなくなるわけではなく、有効期限が切れるまで使用することができます。有効期限の記載がないものに関しては、「最長で1年間」つまりは2025年12月1日まで使用が可能です。

保険証をマイナンバーカードに一本化するメリットとは?

保険証をマイナンバーカードに一本化するメリットとは?

マイナンバーカードを健康保険証として登録することにより、医療機関や薬局で利用できるようになります。

カード1つで受付や支払い、確定申告などの手続きが円滑になるメリットがあります。以下で詳しく解説します。

マイナ保険証のメリット
  • 医療機関や薬局での受付がスムーズに
  • データに基づくより良い医療が受けられる
  • マイナポータルから簡単に医療費控除が申請できる
  • 高度療養費制度の限度額を超えた額の一時払いが不要に

医療機関や薬局での受付がスムーズに

健康保険証と紐付けられたマイナンバーカードは、医療機関や薬局の受付に設置されているカードリーダーに置き、顔認証または暗証番号(パスワード)を入力し、過去の診療・お薬情報の提供など同意事項の確認・選択を行うだけで受付が完了します。

これまでの健康保険証では、保険証の情報を事務職員が確認して入力したり、自身の記憶をたどって過去の医療情報を問診票に記入したりする必要があり、受付に時間がかかることも多々ありました。

マイナ保険証には、ICチップが内蔵されており、一人一人の個人情報や医療情報をデジタルデータで共有できることから、受付に時間がかからず、医療機関の事務員の手間や誤記リスクを回避することができるのです。

データに基づくより良い医療が受けられる

マイナ保険証を利用して医療機関を受診すると、今までに使ったお薬の情報や過去の特定健診の結果を共有することができる(※)ため、より正確なデータを用いた診察・処方を受けることができます。(※本人の同意がある場合のみ)

また、電子処方箋に対応している医療機関・薬局では、直近の薬の情報も共有することができるため、重複投薬や併用してはいけない薬の処方を未然に防ぐことができ、投薬の医療過誤リスクを回避することができるでしょう。

保険のぷろ<br class />担当者
保険のぷろ
担当者

引っ越しや旅行先で急病・怪我のため、行きつけではない医療機関に受診等する際にもデータが共有されるので、安心ですね。

マイナポータルから簡単に医療費控除が申請できる

医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日まで、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額の所得控除を受けられる制度のことです。

これまでは、医療費控除を確定申告時に申請するために、明細書を作成したり、一年分の医療費の領収書を管理したりする必要がありました。

しかし、健康保険証とマイナンバーカードが一体化されたことにより、マイナポータルで医療費をまとめて管理することができるようになりました。

マイナポータルとe-Taxを連携することによりデータ入力を自動で行うことができ、確定申告時の医療費控除申請が簡単に行えるのです。

高度療養費制度の限度額を超えた額の一時払いが不要に

高額療養費制度とは、ひと月に医療機関や薬局で支払った総額が、限度額を超えた場合に超過分を支給する制度のことです。

従来、この高額療養費制度の支給を受けるには、窓口で一度全額を支払い、後日支給申請書を提出する必要がありました。事前に「限度額適用認定証」を申請すれば、窓口での負担を上限額に抑えることができますが、間に合わない場合には、一時的に支払わなければなりません。

健康保険証として登録したマイナンバーカードを利用すれば、この事前申請の手続きが不要になります。

保険のぷろ<br class />担当者
保険のぷろ
担当者

つまり、一時的な金銭負担もなくなるのです。

マイナ保険証への移行によって見えてくる課題点

マイナ保険証への移行によって見えてくる課題点

マイナンバーカードの保有率は2024年9月末時点で全人口のうち7割を超えます。また、マイナンバーカードの普及や活用を促進するために実施された「マイナポイント」の企画等により、健康保険証としての登録率も保有者のうち8割を超えます。

しかし、実際にマイナンバーカードを保険証として利用している人は数少なく、利用率が低迷しているのが現状です。

顔認証や暗証番号(パスワード)についていまいちよくわかっておらず、マイナンバーカードに別人の情報が紐付けられていた事例が尾を引いていると考えられます。

また、デジタルとアナログが併用できる期間であるため、引き続き従来の健康保険証を使用していることも原因として挙げられるでしょう。

マイナンバーカードを利用した医療機関での受付方法に慣れない人が数多いる中、完全に移行となった際、窓口が混雑しないかどうかも課題となります。

マイナンバーカードを持っていない・紛失した場合どうすればいい?

マイナンバーカードを持っていない・紛失した場合どうすればいい?

持っていない方は資格確認証を提示することで受診できる

マイナンバーカードを保有しない方や健康保険証としての利用登録をしていない方には、従来の健康保険証の有効期限内に「資格確認証」を無償で交付するとしています。

この「資格確認証」を医療機関や薬局の窓口で提示することによって、通常通りに医療機関を受診することができます。

また、以下に該当する方にも申請の有無にかかわらず資格確認証を交付することとしています。

  • マイナ保険証の利用登録解除を申請した方・登録解除者
  • マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れたかた
  • 後期高齢者医療制度の被保険者で従来の健康保険証が失効するかた(令和7年(2025年)7月末までの暫定措置)

参考:政府広報オンライン「マイナ保険証 2024年12月、マイナ保険証を基本とする仕組みへ」

紛失した場合は資格確認証を申請する

移行期間である令和7(2025)年12月1日までは、従来の健康保険証とマイナ保険証を併用できるため、この期間に紛失した場合には従来の健康保険証を利用すると良いでしょう。

これ以降の期間に紛失してしまい、見つからない場合は資格確認証の交付申請を行わなければなりません。

また、同時にマイナンバーカードの一時利用停止、再発行の手続きを行いましょう。

マイナンバーカードにはプライバシー性の高い情報は含まれておらず、持ち主以外が使用することもできませんが、万が一のことを考えて警察に遺失届や盗難届を出すと安心です。

記事まとめ

2024年12月2日より、紙やカード型の健康保険証の新規発行が停止となりました。

マイナンバーカードと健康保険証を連携させなくても、資格確認証等を提示すれば通常通り医療機関や薬局を受診することができますが、マイナ保険証により正確な医療データの共有や手続きの簡略化などのメリットがあります。

マイナンバーカードの健康保険証としての利用手続きは、お手持ちのパソコンまたはスマートフォンからマイナポータルにアクセスしていただくか、お近くのセブン銀行ATMからも申し込みが可能です。

今後、医療機関を受診するのに便利な仕組みとなりますので、まだ利用登録をされていない方は、この機会にぜひ申込んでみてください。

監修者プロフィール
菱村真比古
菱村真比古
ファイナンシャルプランナー
10種の金融資格と中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャルプランナー。NISA、住宅ローン、社会保障制度などが複雑に絡み合うライフプランを明快シンプルに紐解きます。中でも《菱村式老後資金計算法》は将来に不安を抱える子育て世代に好評。生命保険と金融サービス業界の最高水準として世界中で認知されている独立組織MDRTの正会員。『お金のエキスパート』として講演や営業マンの育成など幅広い領域で活動している。

【資格情報】
・住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー
・日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー
・生命保険協会認定トータルライフコンサルタント
・CCAA クレジットカードアドバイザー
・相続診断協会認定 相続診断士 
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