学資保険のポイントを解説!保険料・満額の目安はいくら?
子どもの教育資金を準備する方法として、学資保険への加入を検討している方も多いのではないでしょうか。
学資保険は長期の積み立てによって教育資金を確保できる他、親(契約者)に万が一のことがあった場合の保障としても活用できることから、人気の高い保険商品の1つです。
一方で、「保険料の相場はいくら?」「満額でいくらもらえるの?」といった疑問や不安から、学資保険への加入を踏みとどまってしまう方も少なくありません。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、学資保険の保険料や満額(満期返戻金)の相場がいくらなのか、また保険選びの際のポイントについて解説していきます。
学資保険の保険料はいくらかかる?
まずは、子育て中の方がいくらぐらいの金額を教育資金として積み立てているのかを見ていきましょう。
また保険料の支払い方法や加入時期による負担額の違いについても解説していきます。
進学費用の備えとしての平均支出金額はいくら?
子どもの教育資金としていくら必要になるのかという点は、子どもの将来像によって大きく変わってきます。
「子どもが将来どんな道に進んでも対応できるようにしたい」と考えるのであれば、最低でも数千万円の学費がかかることを想定しなければなりません。
とはいえ、学費への支出が家計を圧迫してしまっては意味がないため、いくらぐらいなら無理なく支払えるのかを明確にすることが大切だと言えるでしょう。
子どもの教育資金を準備する際、預貯金に次いで活用されているのが「学資保険」です。
ソニー生命が実施した「子どもの教育資金に関する調査2023」によると、高校生以下の子どもを持つ親の約半数が学資保険を利用していると回答しています。
また“子どもの教育資金として月々いくらの支出をしているか”という質問では、10,000円~30,000円台に多くの回答が集まり、平均額は18,372円/月となりました。
支出金額 | 割合 |
---|---|
0円 | 23.7% |
~2,999円 | 1.6% |
3,000~4,999円 | 2.5% |
5,000円~9.999円 | 7.5% |
10,000円~14,999円 | 18.8% |
15,000円~19,999円 | 7.1% |
20,000円~29,999円 | 18.0% |
30,000円~ | 20.8% |
参考:子どもの教育資金に関する調査2023(https://www.sonylife.co.jp/company/news/2022/nr_230309.html#sec16)
払込総額は支払方法によって異なる
学資保険を契約する際は、「月払い」「半年払い」「年払い」等の種類から保険料の支払い方法を選択します。
支払い方法によって保険料の払込総額がいくらになるのかが異なり、基本的には保険料をまとめて支払うタイプの方が割安になるというのが学資保険の特徴です。
例えば以下の条件の場合、A社の学資保険の払込総額は以下のようになります。
- 契約者の年齢:30歳
- 子どもの年齢:0歳
- 払込期間:10年
- 満額の受取:子どもが22歳のときに240万円を受け取る
支払い方法 | 保険料の払込総額 |
---|---|
月払い | 189万4,560円 |
半年払い | 188万8,240円 |
年払い | 188万360円 |
なお年払いの場合は1回あたりの支払い額が高額になる可能性があるため、ボーナス月に加入する等して負担が大きくならないように工夫すると良いでしょう。
積立を開始するタイミングは?
学資保険は早期に加入するほど返戻率が高まるため、妊娠中に積み立てを開始する方も少なくありません。
実際に、積み立て開始時期として最も割合が高いのが「0歳」となっており、半数以上の方が出産してすぐに学資保険へ加入していることが分かります。
また出産前の加入を含めると全体の7割に達することから、学資保険への加入は妊娠が判明した時点で検討していくべきだと言えるでしょう。
参考:日本生命 平成28年4月~平成29年3月の契約データ(https://www.nissay.co.jp/kojin/gakushi/ranking/)
満額でいくらぐらい受け取れる?
続いて、学資保険に加入すると満額でいくらぐらいの保険金を受け取れるのかという点を見ていきましょう。
また満額を受け取った際に発生する税金についても解説しているので、合わせて参考にしてみてください。
満額の相場はいくら?
大手の保険会社における学資保険の満額(満期保険金)は約100万円~300万円が相場となっています。
子どもを公立高校へ進学させてその後就職を目指すという場合、満額として150万円(月々の保険料目安:約7,000円)以上を受け取ることができれば安心だと言えるでしょう。
一方、高校卒業後に私立大学へ進学する場合、4年間の学費(平均650万円)を全て学資保険で賄おうとすると月々3万円近い保険料を支払わなければなりません。
学資保険は途中で解約してしまうと積み立て分がほとんど戻らない仕組みのため、高額の保険料を支払う場合はより慎重な判断が求められます。
満額でいくら受け取りたいのかという点だけでなく、満額に対する保険料の払込総額がいくらになるのかも踏まえ、無理のない範囲で計画を立てるようにしましょう。
満額の受け取りで税金は発生する?
学資保険に加入した場合、満額を受け取った際に税金が発生する可能性があるという点に注意が必要です。
満額の受け取り時に税金が発生するケースとしては、以下の3パターンが挙げられます。
契約者と受取人が同一かつ満額を一括で受け取るケース
こちらのケースでは、満額から保険料の払込総額と特別控除(50万円)を差し引いた金額がプラスとなった場合に、一時所得として所得税が課せられます。
課税対象となるのは一時所得の2分の1の金額で、給与所得者の場合、課税額が20万円以下であれば確定申告を行う必要はありません。
所得税率は収入がいくらあるかによって変化するため、国税庁のHPで確認しましょう。
参考:国税庁 No.2260 所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
契約者と受取人が同一かつ満額を年金で受け取るケース
こちらのケースでは、年間の年金額からその金額に対応する払込保険料を差し引いた金額がプラスとなった場合に、雑所得として所得税が課せられます。
課税対象となるのは一時所得の2分の1の金額で、給与所得者の場合、課税額が20万円以下であれば確定申告を行う必要はありません。
所得税率は収入がいくらあるかによって変化するため、国税庁のHPで確認しましょう。
参考:国税庁 No.2260 所得税の税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
契約者と受取人が異なるケース
こちらのケースでは、満額およびその他の贈与額から贈与税の基礎控除額(110万円)を差し引いた金額がプラスとなった場合に、贈与税が課せられます。
贈与税の税率と控除額はそれぞれ以下の通りです。
基礎控除後の課税額 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ‐ | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
参考:国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4408.htm)
学資保険を選ぶ際のポイント・注意点
ここからは、学資保険に加入する際の比較ポイントと注意点について詳しく見ていきましょう。
満額を多くするなら一括受取のプランがおすすめ
学資保険を検討するうえで特に重視すべきポイントの1つが返戻率(へんれいりつ)です。
返戻率とは支払額に対する受取額の割合のことで、例えば返戻率110%の学資保険に加入して総額300万円の保険料を支払った場合、満額として受け取れる金額は330万円になります。
学資保険の返戻率は100%~120%程度が相場となっており、満期時に満額を一括で受け取るタイプの方がより高くなります。
学資保険の中には進学時に分割で満額を受け取れる商品もありますが、満額を最大限受け取りたいのであれば一括受取の商品を選ぶのがおすすめです。
特約は最小限に抑える
学資保険には医療保障や育英年金といった様々な特約が用意されていますが、特約を付加すると保険料の一部が保障に回されるため、満額として受け取れる額が下がってしまう点に注意が必要です。
学資保険の目的は“子どもの教育資金を準備すること”であるため、教育資金の確保と関係のない特約については極力利用を避け、返戻率の維持を優先した方が良いと言えるでしょう。
また自身で貯蓄を行えるという場合は、学資保険に加入せず定期貯金等を利用していくのも1つの方法です。
教育資金の準備方法は学資保険だけではないため、将来に向けていくらの備えが必要なのかを計算し、家庭にあった手段・方法を選べるようにしましょう。
保険料は無理のない範囲で設定
学資保険の保険料をいくらにするか迷った場合は、少し余裕を持った金額を設定するのがおすすめです。
学資保険は積み立てタイプの保険商品であるため、基本的に満期まで解約しないことが前提となっています。
収入減等で支払いが困難となり途中解約した場合、返戻率が100%を下回って損してしまうことになるため、万が一の場合でも支払いを継続できる範囲で設定するようにしましょう。
また保険料をいくらにすべきか判断できないという場合は、ファイナンシャルプランナーや保険の代理店に相談する方法もおすすめです。
満額でいくら受け取りたいのか、いくらの保険料なら無理なく支払えるのか等を考慮し、プロの意見も踏まえながら適切な学資保険を選ぶようにしましょう。
保険料の控除は受けられる?
学資保険の保険料は生命保険料控除の対象となっているため、年末調整または確定申告の際に申請することで所得税・住民税の節税が可能となります。
生命保険料控除の申請は保険料を支払っている人が行うこととなり、その方法と金額は以下の通りです。
申請方法
給与所得がある場合は、職場から受け取る「給与所得者の保険料控除申告書」に保険料を記入し、生命保険会社から郵送される「生命保険料控除証明書」を添付して提出します。
「給与所得者の保険料控除申告書」に記載する金額は、生命保険料控除証明書に記載されているので確認しましょう。
控除額の計算方法
生命保険料控除の計算方法には新方式と旧方式があり、それぞれでいくら控除できるのかが異なります。
契約締結日が2011年12月31日以前なら旧方式、2012年1月1日以降なら新方式で計算しましょう。
新方式
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 支払保険料の全額 |
2万円超4万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万円 |
4万円超8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
旧方式
年間の支払保険料 | 控除額 |
---|---|
2万5,000円以下 | 支払保険料の全額 |
2万5,000円以上5万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万2500円 |
5万円超10万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万5000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
参考:国税庁 No.1140 生命保険料控除(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1140.htm)
学資保険の保険料・満額相場まとめ
- 学資保険の保険料がいくらになるのかは加入時期や支払方法によって異なり、早期加入かつ一括支払の方が総額を抑えられる
- 満額の相場は100万円~300万円と幅が広いため、子どもの将来像に合わせていくら必要なのかを見極めることが大切
- 学資保険に加入する際は特約の利用を避け、なるべく返戻率が高い商品を選ぶのがおすすめ
学資保険は銀行預金と比較して利回りが高いため、効率的に教育資金を準備するうえでメリットのある方法です。
ただし満額を受け取った際には税金が発生するケースもあるため、保険料や税金の負担がいくらになるのかを踏まえたうえで適切な商品・プランを選ぶ必要があるでしょう。
保険選びで迷った際はファイナンシャルプランナー等のプロに相談し、無理のない計画を立てられるようにしましょう。