民間の医療保険は高齢者にいらないって本当?医療保険の必要性や選び方を紹介
高齢になると、病気やケガのリスクが高まる一方で、公的医療保険が充実しているため「民間の医療保険はいらないと聞いた」「公的保険だけで十分な保証があるのか」といった声が上がります。
確かに、年金生活の限られた収入の中では、無駄な出費は避けたいですよね。
しかし、将来的な医療費の増加に対する不安を抱える高齢者も多く、どのように備えるべきか迷うケースが増えています。
そこでこの記事では、高齢者にとって民間の医療保険はいらないのか、医療保険の必要性や加入すべき人の特徴について詳しく解説します。
医療保険をどうしようか迷っている人は参考にしてください。
高齢者に民間医療保険がいらないと言われる3つの理由
日本は、高齢者への公的医療保険制度が充実しているため、民間の医療保険はいらないという高齢者もいます。
しかし「本当にいらないのか」病気になったときのことを考えると不安になりますよね。
まずは、高齢者に民間医療保険がいらないと言われる理由を紹介します。
①日本の公的医療保険が充実しているから
日本では、すべての国民が加入する義務のある公的医療保険制度が整備されており、原則として医療費の自己負担は3割で済みます。
高齢者に関しては、年齢や所得に応じて負担割合が1割から3割に抑えられ、安心して医療が受けられるようになっているのです。
また、自治体によっては独自の助成制度が設けられており、高齢者の医療費負担がさらに軽減される場合もあります。
そのため「自己負担が1割なら、民間の医療保険は必要ないのでは」と考える人がいるのです。
②高齢者は保険料が高くなるため
高齢者の医療保険は、年齢が上がるほど保険料が高くなる傾向にあります。
公的医療保険制度も見直しのたびに金額が上がってきているので、家計への負担を心配して「民間の医療保険はいらないのでは」と考える人もいるのです。
高齢者の場合、病気やケガのリスクが高まることから、保険会社はそれに応じて保険料を引き上げるため、現役世代と比べて負担が大きくなります。
また、高齢になってから新たに加入しようとすると、保険料が高額になるだけでなく、持病や過去の病歴によって加入自体が難しくなるケースもあります。
③自分は大きな病気はしないという思い込みから
高齢者となるにつれて、健康に気をつけている人も多く「自分は大きな病気にはならない」「まだまだ元気だから保険は必要ない」と考え、保険に加入しない人もいます。
特に、今まで大きな病気をしたことがない人は「大丈夫」と思い込む傾向にあるようです。
民間の医療保険がカバーする範囲は入院と手術の場合が多く、通いの治療は保証されないため、大きな病気にはならない自信がある人は、医療保険はいらないと考える場合があります。
実際に加入している人の割合から見る医療保険の必要性
「公益財団法人 生命保険文化センター」が毎年実施している調査によると、2022年(令和4年)の「生活保障に関する調査」では、医療保障を含む生命保険に加入している人の割合が全体の7割にのぼることが発表されました。
疾病入院給付金が支払われる生命保険の加入率は65.7%です。
※民間の生命保険会社や郵便局、JA(農協)、県民共済・生協などが取り扱う生命保険(個人年金保険や生命共済を含む)を対象
これらの数値から、公的医療保険制度だけでは不安を感じ、民間医療保険への加入している人が多いことが分かります。
ここでは、民間の医療保険の必要性を考えてみましょう。
高額な医療費に備えるため
民間の医療保険に加入するメリットは、突然の病気やケガに備えられることです。
事故や病気は予測が難しく、急に働けなくなった場合、収入の減少や高額な医療費の負担が発生する可能性があります。
さらに、長期的な治療が必要になるケースも考えられます。
民間の医療保険に入っていれば、療養中でも家族の生活を支える安心材料となり、将来の出費を必要以上に削減せずに済むでしょう。また、家の修理や旅行など、予定していたライフプランを維持する助けにもなります。
このように高額な医療費への備えとして、医療保険を必要と考える人もいます。
治療の選択肢が広げるため
病気やケガの治療内容によっては、自由診療となる先進医療を勧められる場合があります。
民間の医療保険に加入し、先進医療の特約をつけていれば、治療の質や選択肢が広げやすくなるでしょう。
公的な医療保険制度は、医療費の負担できる範囲が決まっています。
民間の医療保険に加入していないと、費用を気にして、満足いく治療を受けられない可能性もあるといえるでしょう。
保険適用外の治療や差額ベット代など、自己負担となる費用もあるので注意が必要です。
民間の医療保険に加入すべき高齢者の特徴
民間の医療保険はいらないと考える人もいますが、加入すべき人もいます。
ここでは、民間の医療保険に加入すべき高齢者の特徴を紹介します。
民間の医療保険に加入しようか迷っている人は参考にしてください。
貯蓄がない
病気やケガの治療に備える十分な貯蓄がない人は、民間の医療保険に加入しておくことを検討しましょう。
前述した通り、公的医療保険制度があっても、治療で保険適用外の高額な費用がかかる可能性があります。
貯蓄がないため、高額な治療を諦める選択をすることになるかもしれません。
貯蓄がなくても、十分な治療を受けたいと考えるなら、医療保険は必要といえるでしょう。
年金が少ない
年金の金額が少ないと、毎月の支払い負担を考えて「医療保険はいらない」と思う人も少なくありません。
しかし、収入が限られる分、貯蓄が難しくなり、急な医療費が家計を圧迫する可能性があります。
年金が少ないからこそ、突然の出費に備えて民間医療保険の加入を検討することが大切です。
近年では、さまざまな種類の医療保険があり、自分に必要な保障を見極めることで、無駄を省き保険料を抑えることも可能です。
治療の幅を広げたい
病気になったときに治療の幅を広げ、手厚い治療を受けたいと考える方は医療保険への加入がおすすめです。先進医療などの保険適用外の治療を受けることができるよう、特約などを確認しましょう。
医療保険に加入していない場合、高額な先進医療を受けることが難しくなる可能性があります。
がん治療では先進医療を活用するケースも多く、治療の選択肢を広げるためには、適切な保険の備えが役立ちます。
高齢者向け医療保険の選び方
高齢者向けの医療保険はさまざまな種類があり、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
加齢とともに医療費の負担が増える可能性があるため、将来の健康状態や経済状況を考慮して慎重に検討しましょう。
ここでは、高齢者が医療保険を選ぶ際に押さえておきたいポイントをご紹介します。
自分に必要な保障内容や負担をしっかり見極め、無理のないプランを選ぶことが大切です。
高額医療費もカバーしているか確認する
高齢者は、収入と年齢によって変わりますが医療費負担が1〜3割です。
「医療費が安いなら、民間の医療保険はいらないだろう」と、考えてしまうかもしれませんが、公的医療保険制度では、自由診療となる先進医療は保険適用外です。
例えば、がんの治療には以下のような金額がかかります。
- 陽子線治療 1件 約269万円
- 重粒子線治療 1件 約316万円
また、民間の医療保険でも、高額医療費がカバーされるかは確認が必要です。
保険を掛けてから年数が経過している人は、現在の医療が保証されていない場合もあるので気をつけましょう。
参照:厚生労働省「令和4年6月30日時点で実施されていた先進医療の実績報告について」
保証内容と保険料を確認しよう
民間の医療保険は種類が豊富で保証内容や保険料はプランや会社によって違います。
手厚い保証があるプランは保険料も高くなるので選ぶ際は確認しましょう。
家計を圧迫しないためにも、何の保証があると安心できるのかを十分に検討してください。
記事まとめ:本当にいらないか迷ったらプロに相談するのもおすすめ
日本では、公的医療保険制度のおかげで、高齢者の医療費負担は少なくなっていますが、全ての方が医療保険はいらないと言うわけではありません。
高齢者になると、公的医療保険制度は後期高齢者医療制度へと移行され、保険料も高い傾向にあります。
家計を圧迫するから医療保険はいらないと切り捨てるのではなく、治療を安心して受けられるよう考えましょう。
医療保険の選び方が分からない人は、無料相談ができる「保険のぷろ」を活用しましょう。
お金のプロである、ファイナンシャルプランナーが相談を担当するので、将来の備えについてしっかりと話せます。
保険料や保障内容の見直しなど、気軽に相談することができるので保険選びに迷っている方はぜひご利用ください。
また以下のページでは60代以上の方におすすめの医療保険をご紹介しているので、保険選びに迷っている方はあわせてご覧ください。