高齢者医療制度と民間医療保険の必要性を解説
病気やケガによる入院・手術の医療費負担に備えられる民間の医療保険が、高齢者に必要かどうか気になる方も多いでしょう。
日本は公的医療保険制度が充実しており、高齢者の医療費の自己負担割合は1~3割のため、医療費を抑えられます。
しかし、入院や手術には公的医療保険制度では賄いきれない費用もあるため、民間の医療保険への加入を検討するのがおすすめです。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、高齢者に民間の医療保険が必要かどうかや、加入する際の注意点を解説します。
医療保険について悩んでいる方は、参考にしてください。
医療保険は高齢者に必要ない?
公的医療保険制度が充実しているため、高齢者に民間の医療保険は不要だと考える人も少なくありません。
現在、資産や貯蓄が十分にあり、病気やケガによる入院・手術費用を賄える場合には、加入する必要はないでしょう。
しかし、年齢を重ねるにつれて病気のリスクが高まるため、十分な貯蓄がない場合や、貯蓄を取り崩したくない方は、民間の医療保険で備えておくのがおすすめです。
ここでは、民間の医療保険で備える必要性を解説するため、加入するメリットがあるのかチェックしてください。
健康状態が悪化するリスク
以下の表のとおり、加齢に伴って病気になるリスクが高まります。
年齢 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
35~ 39歳 |
自殺 | 悪性新生物(がん) | 心疾患 |
40~ 44歳 |
悪性新生物(がん) | 自殺 | 心疾患 |
45~ 49歳 |
悪性新生物(がん) | 自殺 | 心疾患 |
50~ 54歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 自殺 |
55~ 59歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
60~ 64歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
65~ 69歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
70~ 74歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
75~ 79歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
80~ 84歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 脳血管疾患 |
85~ 89歳 |
悪性新生物(がん) | 心疾患 | 老衰 |
35~39歳までは死亡原因の1位は自殺ですが、40歳以降はがんが死亡原因の1位です。
また、55歳以降は病気による死亡原因が上位となり、年齢を重ねるごとに病気のリスクが高まることがわかります。
現在は健康状態が良好であっても、今後加齢に伴って病気になる可能性が考えられるため、民間の医療保険への加入を検討すると良いでしょう。
入院・手術の平均自己負担費用
高齢者になると病気になるリスクが高まる他、入院が長期化する可能性も考えられます。
以下の表のとおり、入院が長期化するほど自己負担費用が大きくなる傾向です。
入院日数 | 平均の自己負担額 |
---|---|
全体 | 19.8万円 |
5日未満 | 8.7万円 |
5~7日 | 15.2万円 |
8~14日 | 16.4万円 |
15~30日 | 28.4万円 |
31~60日 | 30.9万円 |
61日以上 | 75.9万円 |
高齢者は年金が主な収入源になる方も多く、高額な医療費は生活を圧迫しかねません。
そのため、将来の健康状態を見越して、民間の医療保険で備えておくのがおすすめです。
高齢者医療制度の種類
高齢者医療制度は年齢によって前期と後期に分けられています。
ここでは、前期・後期それぞれの高齢者医療制度について解説するため、参考にしてください。
前期高齢者医療制度
前期高齢者医療制度とは、65~74歳の方を対象とした、健康保険組合などの被用者保険と国民健康保険の医療費負担を調整するための制度です。
高齢者は会社を退職した後、国民健康保険へ加入するケースがほとんどで、若い人が多く加入する健康保険組合などと比べて、国民健康保険の医療費負担が大きくなります。
健康保険組合などと国民健康保険の医療費負担の不均衡を調整するために「前期高齢者納付金」により、財政支援を行なう制度です。
65歳になったときに前期高齢者医療制度の対象となるものの、加入している健康保険の保険料や保険証は変わりません。
70歳になると病院窓口での自己負担割合を示す「高齢受給者証」が発行され、所得区分によって2割か3割のいずれかになります。
後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度とは、各都道府県の「後期高齢者医療広域連合」が運営する、75歳以上の方や65歳以上74歳以下の一定の障害がある方を対象とした制度です。
75歳になると後期高齢者医療制度に加入するため、これまでの保険料や保険証が変わります。
医療費の自己負担割合は所得によって異なり、多くの方は1割負担ですが、現役並みの高所得者の方は3割負担、一定以上の収入がある方は2割負担です。
ほとんどの高齢者の自己負担割合が1割になるため、後期高齢者医療制度は医療費の負担を抑えられる制度となります。
民間の医療保険の選び方のポイント
民間の医療保険へ加入する場合には、公的医療保険制度でカバーできない自己負担額を考慮して検討すると良いでしょう。
ここでは、高齢者の民間医療保険の選び方のポイントをわかりやすく解説します。
保障内容と保険料のバランスをみる
民間の医療保険へ加入する場合には、保障内容と月々支払う保険料のバランスを考慮するのが大切です。
保険料が安いから加入するのではなく、万が一病気やケガで入院・手術などをした場合にも、必要な保障を受けられる商品・特約を選んでください。
高齢者は入院が長期化する可能性も考えられるため、長期入院に対応可能な商品を選ぶことで、入院費用の不安を減らし、治療に専念できるでしょう。
また、保険料は商品や付加する特約によって異なるため、複数のプランをシミュレーションし、比較するのがおすすめです。
必要な保障内容と毎月支払う保険料が家計の負担にならないかを考えて、あなたにぴったりの民間の医療保険を検討してください。
公的制度適用外の保障内容をチェック
公的医療保険制度の高額療養費制度を利用することで、限度額を超えた分の医療費負担を軽減できるものの、以下の費用などは全額自己負担となります。
- 差額ベッド代
- 入院時の食事代・衣料代
- 先進医療の治療費
- 保険外診療費
個室を希望した際に必要となる差額ベッド代や、食事代・衣料代などは、入院日数が長くなるほど経済的負担が大きくなります。
なかでも、厚生労働省から認可されている高度な医療技術「先進医療」による治療費は、公的医療保険制度の対象外のため、全額自己負担です。
民間の医療保険は、公的医療保険制度だけでは足りない自己負担額をカバーし、治療の選択肢を広げられるため、加入を検討するのをおすすめします。
高齢者が医療保険に加入する際の注意点
高齢者が医療保険に加入する場合には、保険料が割高になる他、加入できないケースがあります。
ここでは、注意点を解説するため、事前に把握しておきましょう。
他の年代と比較して保険料が割高になる
高齢者は他の年代と比べて、保険料が割高になるケースが多くあります。
高齢者の保険料が高く設定されている理由は、年齢を重ねるほど病気になるリスクが上がり、保険会社が保険金や給付金を支払う可能性が高いためです。
必要な保障のみを選択する他、解約返戻金や満期保険金のない掛け捨て型の商品を選ぶことで、保険料を抑えられます。
同じ保障内容でも、他の年代よりも高齢者は保険料が割高になることを理解しておき、保険料を抑えるために必要な保障のみを厳選しましょう。
年齢を重ねるごとに保険料が高くなるため、なるべく早めに加入することをおすすめします。
保障を受けられない場合がある
高齢者は年齢や健康状態により、医療保険に加入できないケースが考えられるでしょう。
民間の医療保険は、加入年齢の上限が設けられており、多くの場合は80歳までに設定されています。
高齢者の方は、保障を継続できる年齢に限りのある定期医療保険ではなく、一生涯の保障を持てる終身医療保険への加入がおすすめです。
また、既往歴や持病ありの場合には申し込みできない商品があるため、現在の健康状態によって申し込む医療保険を検討しましょう。
健康状態に不安があっても加入したい方は「引受基準緩和型」や「無選択型」の商品があります。
引受基準緩和型と無選択型は、保険料が割高になるものの、一般的な医療保険に比べて加入しやすく、高齢者向けの商品といえるでしょう。
既往歴や現在の健康状態を考慮して、申し込む民間の医療保険を検討してください。
記事まとめ
この記事では、民間の医療保険が高齢者に必要かどうか解説しました。
入院や手術による医療費は、公的医療保険制度だけでは賄いきれないケースがあります。
貯蓄や資産が十分にない場合や貯蓄を取り崩したくない方は、民間の医療保険への加入を検討するのがおすすめです。
しかし、高齢者は他の年代よりも保険料が高くなるため、必要な保障を見極める必要があります。
「どのような保障が必要なのかわからない」と悩む方は、保険のぷろに相談するのもおすすめです。
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