医療保険を詳しく解説!医療費の負担割合や高額療養費制度について
公的医療保険制度の自己負担割合は、原則3割ですが、全年齢が一律ではなく、年齢や所得によって異なり、高齢者などはより安くなる場合もあります。
自分自身や家族のライフステージの変化に伴い、医療費の負担がどのように関わるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、医療保険の自己負担割合について詳しく解説します。医療保険について知りたい方は参考にしてください。
公的医療保険制度の自己(一部)負担割合
日本では、すべての国民が公的医療保険制度に加入することが義務付けられています。公的医療保険制度は、所得に応じた保険料を払うことで、お互いの負担を軽減する制度です。
まずは、公的医療保険制度を詳しく見ていきましょう。
公的医療保険の種類は3つ
公的医療保険制度には「被用者保険、国民健康保険、後期高齢者医療制度」の3つがあります。
まずは、それぞれの公的医療保険制度を詳しく見ていきましょう。
1.被用者保険
被用者とは、他人に雇用されている人のことを指し、被用者保険は会社員などが加入する健康保険を指します。
被用者保険の種類は主に4つです。
- 組合管掌健康保険
- 全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)
- 共済組合
- 船員保険
保険料が被用者と企業で折半される仕組みで、保険料は給与に基づいて算出されるのが特徴です。
給与明細の社会保険料の中に含まれています。
病気やケガ、出産などで休業する際には手当金が支給されるなど、生活を支える制度が整備されています。
2.国民健康保険
国民健康保険は、各市町村が運営する、被用者保険や後期高齢者医療制度に加入していない、すべての住民を対象とした医療保険制度です。
保険料は市町村ごとに定められ、世帯の収入や資産、人数に応じて決まるため、地域によって異なる場合があります。
また、被用者保険と異なり、傷病手当や出産手当金などの給付がほとんどの地域で行われていません。
3.後期高齢者医療制度
後期高齢者医療制度は、75歳以上の人もしくは、65歳から74歳までの人で一定の障害を持った人が入る医療保険です。
75歳以上になると、働いているかどうかに関わらず、自動的に後期高齢者医療制度に加入となります。
後期高齢者医療制度についてさらに詳しく解説
後期高齢者医療制度は、窓口での負担割合が世帯の所得や人数によって変わります。
窓口での負担割は、以下の通りです。
負担割合 | |
---|---|
70歳から74歳 | 2割 |
75歳以上の一般所得者 | 1割 |
75歳以上で一定以上の所得がある | 2割 |
75歳以上で現役並みの所得者 | 3割 |
参考:※厚生労働省:後期高齢者の窓口負担割合の変更等(令和3年法律改正について)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_21060.html
2割負担の条件は、次の両方を満たしている場合です。
- 家族の中に課税所得が28万円以上の方がいること
- 年収が200万円以上もしくは、世帯に2人以上の場合は合計320万円以上であること
また、変更に伴い、急に金額が増えてしまうと困る人もいるため、令和7年9月30日までは、2割負担となる人への配慮措置なども取られています。
これにより、1か月の外来医療の. 窓口負担割合の引き上げに伴う負担増加額を3,000円までに抑えられます。
参考:政府広報オンライン「後期高齢者医療制度 医療費の窓口負担割合はどれくらい?」https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202209/1.html
なぜ負担割合は原則3割でOKなの?医療保険制度の仕組み
ここでは、医療保険制度の仕組みを解説します。
国民の健康を支える国民皆保険制度
国民皆保険制度は、国民の病気やケガの治療費を支える制度です。
保険料は働く人の所得に応じて支払われ、企業や国、地方公共団体も一定の負担をします。
通院回数が多い方や急な入院や手術でも、医療費が高額になりすぎないようにすることで、いつでも誰でも必要な医療サービスを受けられるように考えられています。
この制度が実現したことで、新生児や乳児、高齢者も安心して医療を受けられ、現役世代も安心して働くことができるようになりました。
参考:公益社団法人全日本病院協会「医療保険の仕組み」https://www.ajha.or.jp/guide/4.html#:~:text=%E7%A7%81%E3%81%9F%E3%81%A1%E3%81%8C%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%AB,%E3%81%97%E3%81%8F%E3%81%BF%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%A7%E3%81%99%E3%80%82
参考:日本医師会「国民皆保険の歴史」https://www.med.or.jp/people/info/kaifo/history/
窓口の医療費負担を軽減できる制度
ここでは、国民皆保険制度の内容を詳しく見ていきましょう。
療養の給付
被保険者が業務以外の事由によって医療機関にかかる場合、健康保険が適用され、自己負担割合は原則3割となります。
これを「療養の給付」といい、治療の範囲なども決まっています。
治療の範囲は以下の通りです。
- 診察
- 薬剤または治療材料の支給
- 処置・手術その他の治療
- 在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護
- 病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護
療養の給付を受けるには、健康保険を扱っている病院・診療所・保険薬局などの窓口で保険証を提示するだけです。
また、年齢や所得によって自己負担割合は変わってきます。
年齢 | 自己負担割合 |
---|---|
6歳未満 | 2割負担 |
6歳〜70歳未満 | 3割負担 |
※70歳以上は後期高齢者医療制度を確認してください。
入院時食事療養費
入院時食事療養費とは、被保険者が病気やケガで入院したときに受けられる食事の給付費用のことです。
入院中の食事は、入院時食事療養費と入院患者が支払う標準負担額でまかなわれます。
1食あたり負担額の一覧です。
区分 | 1食あたり負担額 (令和6年5月31日以前) | 1食あたり負担額 (令和6年6月1日以降 ) |
---|---|---|
一般の方 | 460円 | 490円 |
難病患者、小児慢性特定疾病患者の方 (住民税非課税世帯を除く) | 260円 | 280円 |
住民税非課税世帯の方 | 210円 | 230円 |
住民税非課税世帯の方で 過去1年間の入院日数が90日を超えている場合 | 160円 | 180円 |
住民税非課税世帯に属し かつ所得が一定基準に満たない70才以上の高齢受給者 | 100円 | 110円 |
引用:全国健康保険協会協会けんぽ「入院時食事療養費」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3170/sbb31702/1951-254/
入院時食事療養費の変更理由には、食材費の高騰などがあります。
高額療養費制度とは?
病気やケガでの入院にかかる費用は、人によってさまざまですが、急に高額な費用を請求されても払えないこともありますよね。
そこで日本では、高額療養費制度が導入されています。
ここでは、医療保険の高額療養費制度を解説します。
高額療養費制度の自己負担限度額は年齢や所得によって異なる
高額療養費制度とは、医療機関や薬局の窓口で、ひと月に支払った金額が自己負担額の上限を超えた場合、その超えた金額を支給する制度です。
療養の給付により、支払う金額が3割程度になっていても、治療によっては高額になる場合があります。
その際には、窓口で一度3割負担分を支払うことになりますが、申請をすれば高額療養費制度により、1ヶ月でかかった費用が自己負担額より超えた分は払い戻されます。
自己負担限度額は、年齢や所得によって異なります。
以下は、70歳未満の方の限度額です。詳しくは厚生労働省のサイトや地域の窓口で確認してください。
70歳未満の方の区分
所得区分 | 自己負担限度額 |
---|---|
区分ア (標準報酬月額83万円以上の方) (報酬月額81万円以上の方) | 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1% |
区分イ (標準報酬月額53万〜79万円の方) (報酬月額51万5千円以上〜81万円未満の方) | 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1% |
区分ウ (標準報酬月額28万〜50万円の方) (報酬月額27万円以上〜51万5千円未満の方) | 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1% |
区分エ (標準報酬月額26万円以下の方) (報酬月額27万円未満の方) | 57,600円 |
区分オ(低所得者) (被保険者が市区町村民税の非課税者等) | 35,400円 |
引用:全国健康保険協会協会けんぽ「自己限度額とは」https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3020/r151/
また、高額医療費の払い戻しを受けた月が直近12ヶ月で3回ある場合は、4ヶ月目から自己負担限度額が引き下げられます。
高額療養費制度の対象外となる医療費の範囲
高額療養費制度は、保険適用された医療費を対象とした制度です。
保険適用外となる、入院時の食事代や差額ベッド代、自由診療の治療などは適用されません。
入院が長引く場合にはいくらかかるか事前に確認しておくと安心です。
自己負担額は世帯で合算できる
世帯に2人、3人といる場合は、家族の医療費を合算して高額療養費制度を利用できます。ただし、70歳未満の場合は自己負担額が21,000円以上のものに限ると制限があるので確認してください。
また、70歳以上の方の場合は、自己負担額をすべて合算できるので、夫婦でかかった費用を把握しておくとよいでしょう。
記事まとめ
この記事では、医療保険による医療費の負担割合と高額療養費制度を紹介しました。医療費などは、定期的に見直し変更されるので最新の情報を確認するように心がけると安心です。
急な病気やケガはいつくるかわかりません。
高額な医療費に備えるためにも、医療費制度を把握し、民間保険などの利用や日々の貯蓄を検討しましょう。
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