民間医療保険を出産で利用できるケースを解説
出産を迎えるにあたって、お腹の赤ちゃんの健康はもちろんのこと、出産費用も心配の種になってしまう方も多いでしょう。
また、公的医療保険だけでなく、民間の医療保険にも加入すべきかどうか、悩むこともあるかもしれません。
そこで今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、出産にかかる費用や公的医療保険制度、出産前に検討しておきたい民間医療保険について解説します。
この記事を最後まで読むことで、出産費用をサポートする国の制度を知り、民間医療保険に加入するかどうか検討できるため、参考にしてください。
出産にはどれぐらいの費用がかかる?
厚生労働省保険局の統計によると、令和2年度の出産費用の全国平均は45.2万円で、住んでいる地域によって費用に差があります。たとえば、最も高い東京都の平均費用が約55万円、最も安い佐賀県が約35万円です。
また、出産時に陣痛促進剤や無痛分娩で麻酔を使用する場合は、出産費用に10〜20万円ほど加算されます。
このように出産には高額な費用がかかりますが、出産費用の金銭的負担を軽減するために国の公的補助制度があります。出産にあたり、最低限の保障として用意されているのが、妊婦健診費の助成と出産育児一時金です。
他にも、民間の医療保険に加入しておくことで費用負担を抑えられるため、まだ加入していない方は検討してください。
妊娠・出産費用に適用される公的医療保険制度
普通分娩の場合は公的医療保険制度の適用外になり、帝王切開等の普通分娩でない出産の場合には公的医療保険が適用可能です。
ここでは、公的医療保険が適用外になる場合と、適用できる場合の違いを詳しく解説します。
普通分娩は適用外
普通分娩は、公的医療保険制度が適用されません。出産は診察や手術が必要な病気やケガに該当しないためです。
また、麻酔を使用し陣痛の痛みを軽減する無痛分娩で出産する場合にも、公的医療保険は適用されません。
分娩時の会陰切開は、一見手術のように思われがちですが、公的医療保険の対象外となります。安全な分娩のサポートをするという位置づけで、医療行為とはみなされないためです。
公的医療保険は普通分娩では適用できないことを押さえておきましょう。
帝王切開等は医療保険が適用される
普通分娩に該当しない帝王切開の場合には、公的医療保険に該当する分娩介助が行われたとみなされ、保険が適用されます。
他にも、分娩中に母体や赤ちゃんが危険な状態になった場合に吸引分娩や鉗子分娩が行われることがあり、この場合も保険適用対象です。
なお、帝王切開や吸引分娩などで出産した場合にも、下記の項目では公的医療保険の適用対象外です。
- 個室を利用した場合の差額ベッド代
- 入院中に病院から提供される食事代
- 病院で生まれた赤ちゃんの保育・検査のための新生児管理保育料
また、妊娠中に重度のつわりの他、妊娠高血圧症候群や貧血などで治療が必要な場合には、治療費に公的医療保険が適用できます。
公的医療保険の適用される場合には、かかった医療費の3割のみ自己負担となります。
民間の医療保険が利用できるケースも
これまで、出産費用について公的医療保険が適用されるケースについて解説してきましたが、民間の医療保険が利用できるケースもあります。
以下で詳しくみていきましょう。
医療行為が必要な場合は民間医療保険が利用できる
帝王切開の手術費用や陣痛促進剤を使用した分娩・吸引分娩・鉗子分娩などの医療行為が必要となる場合、民間の医療保険が利用できるケースがあります。
加入している医療保険の条件に該当する場合には、入院や手術の給付金を受け取れます。
また、切迫早産・切迫流産など妊娠時のトラブルにより、入院となった場合にも、通常の病気やケガと同様に入院給付金が受け取れます。
特に多胎児の妊娠の場合、単胎妊娠と比較して切迫早産の可能性が高まるため、民間の医療保険に加入することは、急な出費に備えられる手段の1つです。
妊娠・出産費用だけでなく、女性特有の病気に対して通常の医療保険よりも手厚く備えられる「女性保険」もあわせて検討してください。
一方、普通分娩の場合は公的医療保険と同様、保障の対象外となるケースがほとんどです。しかし、入院費用などの負担軽減に応える保険もあり、そういった医療保険に加入した場合には、給付金を受け取れるケースもあります。
保険会社によって適用条件は変わるため、希望する給付金が保障内容に含まれているかどうか、医療保険の契約前に確認しましょう。
費用負担を軽減する公的補助制度
費用負担を軽減する公的補助制度には、以下の2種類があります。
- 妊婦健診費の助成
- 出産育児一時金
どちらも妊娠・出産時にかかる費用を抑えるための制度です。それぞれわかりやすく解説します。
妊婦健診費の助成
妊婦健診費の助成とは、自治体に妊娠届を提出することで母子手帳とともに「妊婦健診補助券」が配布され、この補助券を利用することで健診費用の負担が軽減できる制度です。
妊娠中は、胎児の状態や母体の健康に問題がないかどうかを確認するため、定期的な受診が必要です。妊婦健診は、合計14回程度で約10〜20万円程度の費用がかかりますが、補助券を病院の窓口で提出することで費用負担が軽減されます。
妊婦の居住地以外の医療機関で妊婦健診を受診した場合にも助成を受けられるため、里帰り出産する場合でも費用負担を抑えられます。
出産育児一時金
出産育児一時金とは、公的医療保険から支給される一時金です。普通分娩や帝王切開などの出産方法を問わず、子ども一人の出産につき50万円を非課税で受け取れます。
2023年度の4月に出産育児一時金の金額が、従来の42万円から50万円に引き上げられたことにより、公的補助での支給額が増加しました。
出産育児一時金には、直接支払制度と直接給付を受け取る方法があります。
直接支払制度とは、健康保険組合が出産した病院に直接支払う制度です。直接支払制度が利用できない医療機関では、窓口で出産費用を支払い、退院後に申請・手続きすることで、1〜2ヶ月後に支給されます。
出産育児一時金の受給方法には、出産予定の医療機関によって異なるため、事前に医療機関に確認すると良いでしょう。
実際にかかった出産費用が出産育児一時金を上回る場合には、差額は自己負担になります。特に、公的医療保険の適用とならない無痛分娩を利用する場合には、10万〜30万程度の出産費用を用意しておくのが良いでしょう。また、出産育児一時金を下回る場合には差額を受け取れます。
民間の保険会社から入院給付金などのお金を受け取った場合でも、出産育児一時金を受け取ることが可能です。
出産に備えておきたい保険とは
出産に備えておきたい保険として、以下の2種類を紹介します。
- 医療保険
- 学資保険
医療保険は妊娠中の重度のつわり・切迫早産・切迫流産などの入院に備えられる他、分娩時に医療行為が必要となった場合などに請求できます。
また、学資保険は妊娠中にも加入することが可能で、保険料が安くなったり返戻率が高くなったりする商品もあるため、早めに検討するのがおすすめです。
医療保険
出産だけでなく、将来の病気やケガの際に医療保険に加入しておくことで予期せぬ出費に備えられます。
中には、女性向けに特化した医療保険もあり、子宮外妊娠・妊娠高血圧症候群・帝王切開などの異常分娩での入院・手術に対して保障が受けられる商品も販売されています。
また、妊娠中には重度のつわり・切迫早産・切迫流産などのトラブルで入院のリスクがあり、適用条件を満たしていれば保険金を受け取ることが可能です。
妊娠前に加入した場合には帝王切開での出産時に手術給付金がもらえるケースでも、妊娠後に加入すると手術給付金の対象外になるかもしれません。
妊娠後には週数や健康状態によって加入できない可能性、もしくは条件付きの保障になる場合があるため、妊娠前の加入がおすすめです。
学資保険
学資保険は、子どもの教育資金を準備するための貯蓄型の保険です。決められた保険料を月払い・年払い・一時払いなどの方法で支払うことで、子どもの年齢に合わせて進学準備金や満期学資金を受け取れます。
万が一、契約者が保険料支払い期間中に亡くなってしまった場合や、がん・脳卒中などで高度障害状態になった場合、以降の保険料の払込が免除になる特約付き商品も多くあります。
この場合、追加の保険料を支払うことなく、保険金を受け取ることが可能です。
この払込免除特約は保険会社や学資保険の種類によって、適用の有無が変わりますので、契約前に確認してください。
子どもの出産と同時に加入することもできますが、アフラックやかんぽ生命の商品のように、出産予定の140日前から加入できる学資保険もあります。
保険料は契約者と子どもの年齢が低いほど安くなるため、早期の検討をおすすめします。
まとめ
本記事では、出産にかかる費用や公的医療保険制度・民間医療保険が適用される場合と適用外となる場合、公的補助制度や出産に備えておきたい保険について解説しました。
公的補助制度の妊婦健診費の助成や出産育児一時金によって、出産にかかる出費を抑えられます。しかし、切迫早産・切迫流産などの万が一のトラブルでの入院費用や、帝王切開などの手術費用は自己負担もかかるため、民間の医療保険で備えておくと良いでしょう。
この記事を参考に、公的補助制度について理解し、民間保険へ加入する必要があるかどうか検討してみてください。