医療保険
解約返戻金がある医療保険の種類は?払戻金の仕組みや税金との関係を解説
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医療保険に解約返戻金はある?満期保険金との違いや受け取り時の注意点を解説

医療保険の加入を考える中で、貯蓄性のある解約返戻金が備わった商品を探す方もいるのではないでしょうか。

契約解除時の払戻金がある医療保険は、保障と貯蓄の両面を備えているため、医療費をカバーしつつ資産形成したい方に向いています。

今回は、無料相談を行っている「保険のぷろ」が、解約返戻金のある医療保険について解説します。

払戻金受け取り時の注意点や税金についても説明するので、解約返戻金が設けられた医療保険への加入を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

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そもそも解約返戻金(払戻金)って何?仕組みとは

そもそも解約返戻金(払戻金)って何?仕組みとは

まずは、医療保険における払戻金の仕組みを把握しましょう。

ここでは、解約返戻金の仕組みと満期保険金との相違点を解説します。

仕組み

解約返戻金は、保険支払額の一部が「保障費用」に、残りの一部が「積立金」に振り分けられる仕組みで成り立っています。

契約期間中に払った積立金が、契約解除時に返金される保険支払額となります。

医療保険の種類や契約内容によって、積立金が少なく設定されている場合もあり、必ずしも高額な払戻金が受け取れるとは限りません。

実際、掛け捨てタイプの医療保険は保障費用が中心のため、解約返戻金はないのが大半です。

一方で、貯蓄性のある終身医療保険は、積立割合が高く、解約返戻金の受け取りが可能です。

ただし、十分な積立金が蓄積されていない早期に契約解除すると、返戻金が元本を超えないリスクもある点に注意しましょう。

満期保険金との違い

解約返戻金と満期保険金は、以下のような違いがあります。

解約返戻金満期を迎える前に契約解除すると受け取れる払戻金
満期保険金契約の満期を迎えたときに受け取れる払戻金

途中で契約解除したときに受け取る払戻金が「解約返戻金」です。

契約解除のタイミングが早いと保険支払額が高くなるため、解約時は保険会社に問い合わせ、いくら返戻金を受け取れるか確認するのを推奨します。

対して、契約が満期を迎えた場合に受け取れる払戻金を「満期保険金」と呼びます。満期保険金は、解約返戻金よりも高額である場合が大半です。

解約返戻金が設定されている医療保険ってある?

解約返戻金が設定されている医療保険ってある?

医療保険には、解約返戻金が設けられている種類もあります。

解約リスクを考慮して解約返戻金が設けられた医療保険に加入したい方は、参考にしてください。

貯蓄性のある保険であれば解約返戻金が受け取れる

解約返戻金を受け取れる医療保険は、貯蓄性がある「終身型医療保険」です。

終身タイプは、契約から一生涯にわたって保障が約束される保険で、保障と貯蓄を両立しているのが特徴です。

契約解除の状況に応じて解約返戻金が支給され、払込期間が長期になるほど貯蓄でき、返戻金も増える設計となっています。

一方でほかの医療保険に比べて保険支払額は高額に設定されているため、安さを求める方には不向きです。

加えて、契約解除する時期次第では満足した返戻金が受け取れない場合もあるため、慎重に検討したうえで解約する点に注意が必要です。

掛け捨てタイプは払戻金の受け取りがなし

保障に特化した掛け捨てタイプの医療保険は、満期時や契約解除時の払戻金はない場合が大半です。

保険支払額は、全額保障にあてられるため、貯蓄機能が設けられていません。

払込金は受け取れないものの、保険払込額は終身タイプよりリーズナブルに設定されているため、毎月の負担が少なく済むでしょう。

終身医療保険との差額を、毎月の支出に合わせて貯蓄へ回すのも可能です。

自分で貯金していきたい方や支払いの負担を最小限にしたい場合は、掛け捨てタイプの医療保険が適しているでしょう。

受け取る際の注意点

受け取る際の注意点

次は、医療保険の払戻金を受け取る際の注意点を解説します。

医療保険選びや契約解除のタイミングに後悔しないよう、注意点を理解しておきましょう。

早期の契約解除は元本割れをする可能性が高い

医療保険の解約返戻金を受け取る注意点として、早期の契約解除は元本割れの可能性が高い点が挙げられます。

契約期間が長期になるほど、解約返戻金が増額する仕組みになっています。

契約後の早い段階で契約解除すると、積立金が十分に蓄積されないため、保険支払額よりも少ない金額しか戻らない「元本割れ」の状態に陥るでしょう。

損失を防ぐためには、契約解除する前に設計書や契約書で契約年数や返戻率を確認し、元本割れしない時期を判断するのが大切です。

解約返戻金の受け取りに税金が発生するケースがある

解約返戻金受け取りに税金が発生するケースもある点は、把握しておくべき注意点です。

税金が発生するのは、以下の場合です。

  • 受け取る返戻金が払い込んだ保険支払額の総額を超える
  • 契約者と受取人が異なる

返戻金が払い込んだ保険支払額より多く、利益となった場合、差額部分が一時所得として課税対象となります。

契約者と受取人が異なるケースも、税金が発生します。

解約返戻金の一部は、税金として支払わなければならないのを把握してきましょう。税金に関しては、記事の後半で詳しく解説します。

解約したら元の保険支払額で保障を受けることができない

一度契約解除してしまうと、元の保険支払額で契約できない点も、解約返戻金を受け取る際に注意すべき点です。

基本的に医療保険は、年齢が若いうちに加入するほど保険支払額は安くなります。

そのため、契約解除したタイミングが高齢であるほど、新たに加入する保険支払額は高額になるのを避けられないのが大半です。

加えて、契約解除後に新しい医療保険を契約しようとしても、健康状態や年齢制限によって加入が困難になる場合がある点にも注意しましょう。

医療保険の契約解除を検討する際は、保障内容をよく見直し、加入中の保険が不要なのか慎重に判断してください。

医療保険の解約返戻金と税金の関係

医療保険の解約返戻金と税金の関係

医療保険における解約返戻金と税金の関係を知っておかないと、支払いが漏れ、延滞税がかかる可能性もあります。

無駄な支払いを避けるためにも、税金との関係性を理解するのが大切です。

所得税の対象となる場合

所得税の対象となるのは、払い込んだ保険支払額の総額を解約返戻金が超えた場合です。

超過分は「一時所得」として所得税の課税対象になります。

一時所得の金額は、以下の計算式で求められます。

一時所得={(解約返戻金-保険料総額)-50万円}÷2

例を挙げて計算してみます。

解約返戻金は150万円で、払い込んだ保険支払額が70万円の場合、以下の計算になります。

計算例

(150万円{解約返戻金}-70万円{払込保険支払額の総額}-50万円{特別控除額}) ÷ 2 = 15万円

上記の計算例では、15万円が一時所得である課税対象になる計算です。

最大50万円の特別控除によって課税額を抑えられる点は、必ず覚えておきましょう。

医療保険の契約解除を検討する際、解約返戻金は所得税の対象になるか、税額がいくらになるかを前もって試算しておくのがおすすめです。

贈与税の対象となる場合

贈与税は、契約者と返戻金の受け取り人が異なる場合に対象となります。

契約者が親で、受け取り人は子どものように、やりとりが家族間であっても贈与税は発生します。

贈与税の計算式は、以下の通りです。

贈与税額 =(1/1~12/31でもらった総財産 -基礎控除110万円)× 税率 -控除額

税率や控除額は、課税対象額によって異なるため、国税庁の公式サイトで確認しましょう。

解約返戻金が大きな金額になると、贈与税の負担は増えるリスクがある点は留意してください。

確定申告が必要なケース

解約返戻金の受け取りにより税金が発生すると、確定申告が必要になるケースもあります。

確定申告が必要なのは、以下の場合です。

一時所得給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円を超える場合
贈与税受け取った総財産が基礎控除の110万円を超える場合

申告を怠ると、延滞税や加算税が科されるリスクもあるため注意が必要です。

記事まとめ:払戻金の備わった医療保険で資産作りを

記事まとめ:払戻金の備わった医療保険で資産作りを

解約返戻金は、貯蓄性のある終身型医療保険に備わっています。

解約返戻金のある医療保険は、医療費のカバーもあるうえ、払戻金を教育費や生活費などに活用できるのがメリットです。

一方で、医療保険の保険支払額は高額になりやすく、契約解除時点の状況次第で元本割れする可能性がある点に注意が必要です。

払戻金の金額次第では、税金が発生する場合もあります。

本記事を参考に、解約返戻金が設けられた医療保険への加入を検討してみてください。

監修者プロフィール
菱村真比古
菱村真比古
ファイナンシャルプランナー
10種の金融資格と中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャルプランナー。NISA、住宅ローン、社会保障制度などが複雑に絡み合うライフプランを明快シンプルに紐解きます。中でも《菱村式老後資金計算法》は将来に不安を抱える子育て世代に好評。生命保険と金融サービス業界の最高水準として世界中で認知されている独立組織MDRTの正会員。『お金のエキスパート』として講演や営業マンの育成など幅広い領域で活動している。

【資格情報】
・住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー
・日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー
・生命保険協会認定トータルライフコンサルタント
・CCAA クレジットカードアドバイザー
・相続診断協会認定 相続診断士 
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