
終身保険がいらないと言われる理由とは?メリット・デメリットを理解しよう
「終身保険はいらないのでは?」と疑問に思う方も多いでしょう。
実際に、終身保険は保険料が高く、見直しや解約が難しいなどの注意点もあるため「いらない」と考える方も増えています。
しかし、必要性を正しく理解せずに判断すると、後悔したり備えが不足したりするかもしれません。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、終身保険はいらないと言われる理由や、必要性が高い方の特徴を紹介します。
終身保険への加入を迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
終身保険がいらないと言われる理由
「終身保険がいらない」と言われるのは、時代とともに消費者の保障に対する考え方が変化しているためです。
かつて当たり前とされていた終身保障も、今ではすべての方に終身保障が必要とは限らないとの見方が広がっています。
背景には、以下のような理由があります。
- 保険料が高く、家計への負担が大きい
- 資産運用や貯蓄を通して、自分で備えたい方が増えている
- 遺族年金など公的保障である程度の生活が可能である
- 家族構成やライフプランが多様化している
生命保険文化センターによると、2024年の終身保険加入率は、2012年調査の38.4%から29.2%まで減少しました。
一方で、加入者全体に占める割合では依然として高く、すべての方に終身保険がいらないわけではありません。
終身保険が必要かどうかは、ライフステージや目的によって判断する必要があります。
参考:生命保険文化センター|2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査<速報版>
終身保険のデメリットはある?
終身保険は保障が一生続く反面、保険料の高さや見直しの難しさなど、いくつか注意点も存在します。
「終身保険はいらない」とされる理由につながる、主なデメリットについて確認していきましょう。
定期保険と比べて保険料が割高
定期保険よりも割高な点は、終身保険がいらないとされるデメリットになります。
終身保険の保険料は、定期保険よりも高く設定されるケースが一般的です。
仮に同じ1,000万円の保障でも、定期保険よりも終身保険のほうが保険料は高くなる可能性があります。
以下は、30歳男性が同じ条件で定期保険と終身保険を契約した場合の比較表です。
保険の種類 | 定期保険 | 終身保険 |
---|---|---|
月々の保険料 | 0.36万円 | 2.77万円 |
支払う保険料 の総額 | 128万円 | 996万円 |
60歳時の受け取り | 0円 | 904万円 (解約した場合の解約返戻金) |
死亡保険金 | 1,000万円 | 1,000万円 |
※どちらも30歳で契約、定期保険の保険期間は30年(60歳になるまで)とした場合
上記のように、保険料負担の大きさから「終身保険はいらない」と考えて定期保険を選ぶケースも見られます。
なお、保険料は若いうちに加入するほど抑えられるため、早期に契約しておけば負担を軽くできるでしょう。
早期解約すると元本割れする可能性が高い
終身保険がいらない要因となるデメリットとして、早期解約による元本割れが挙げられます。
終身保険を短期間で解約すると、損失が生じやすくなるのが大半です。
契約から数年以内に解約した場合、戻ってくるお金が払込額を大きく下回るケースもあります。
初期の保険料は保障部分に多くあてられ、積立にまわる金額が少ない構造のためです。
お金を増やす目的で加入したものの、早めに解約すると十分な貯蓄につながないため「これなら終身保険はいらない」と感じる方もいるでしょう。
急な出費などで解約を考える場合は、契約時に決まっている金額がどれくらい戻るかを事前に確認しておきましょう。
見直しがしにくい
一度契約すると途中で見直すのが難しいのも、終身保険がいらないと言われるデメリットに繋がります。
主審保険は生活環境が変わっても、保障内容を柔軟に変えにくい仕組みになっています。
たとえば、結婚や出産・住宅購入などに合わせて保障額を増減したいときも、終身保険では調整が困難でしょう。
保障を見直すには、解約や新たな契約が必要になる場合があり、時間や費用への負担も大きくなります。
終身保険は長期間契約を前提とした保険のため、将来設計を踏まえ「見直しにくい終身保険はいらない」と判断するのも大切です。
インフレの影響を受けやすい
終身保険がいらないとされるデメリットには、インフレの影響を受けやすい点も挙げられます。
契約時に決まっている保障額は固定されているため、物価が上がれば実質的な価値は目減りするおそれがあります。
物価上昇によって、将来の葬儀費用や医療費が保障額でまかないきれなくなる可能性もあるでしょう。
インフレ対策として、日本円を外貨に換えて保険料を払い込む「外貨建て終身保険」を検討する方法もあります。
ただし、為替変動や運用実績により、受け取る金額が増減する点には注意が必要です。
外貨建て終身保険については以下の記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

メリットについても確認しよう
弱点を知ると「やはり終身保険はいらないのでは?」と感じるかもしれませんが、安心につながる特長もあります。
保障や戻ってくるお金について詳しくみていきましょう。
加入時の保険料で一生涯の死亡保障が備えられる
加入時の保険料を払い続ければ、生涯にわたって死亡保障を受けられるのが終身保険の特長です。
年齢や健康状態が変わっても契約時の条件は維持されるため、若いうちに加入すれば、加入時の低い保険料で老後まで保障されます。
更新や見直しがいらないため、将来への不安を軽減でき、予期せぬ事態が発生した場合でも、死亡保険金によって家族の生活を支えられます。
収入が減少する傾向にある老後でも、保険料負担は変わらず保障が継続する点は安心材料となるでしょう。
解約返戻金がある
終身保険には、契約を途中でやめたときに受け取れる「解約返戻金」があります。
解約返戻金は、支払った保険料の一部が積み立てられ、一定の期間を超えるとお金として戻ってくる仕組みです。
契約期間が長くなるにしたがって返戻金は増加しやすく、老後の生活資金や急な出費への備えとして解約返戻金を活用する方法もあります。
ただし、早期に解約すると戻る金額が少なく損をするため、解約時期には注意が必要です。
生命保険料控除を受けられる
終身保険の保険料は生命保険料控除対象となり、所得税・住民税の負担を軽減できます。
年間に支払った保険料に応じて適用される控除額は、以下の通りです。
- 所得税 最大4万円
- 住民税 最大2万8,000円
税金が控除されれば、実質的な保険料負担は軽くなります。
保障を確保しつつ負担を抑えられる点は、終身保険が持つメリットと言えるでしょう。
参考:国税庁|No.1140 生命保険料控除
相続対策にもなる
終身保険は、万が一の際に家族へ保険金をのこすだけでなく、相続対策としても有効です。
生命保険の死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」まで非課税枠があり、現金で相続するよりも税負担を抑えやすくなります。
保険金の受取人を指定できるため、資金を確実に届けられるのも利点です。
死亡保険金は遺産と別に扱われ、急な支払いにも対応しやすく、相続時の備えとして役立ちます。
終身保険の必要性が高い人・低い人の特徴
終身保険は、すべての方にとって必要な保険とは限りません。
ここでは、終身保険が向いている方と、不向きな方の特徴を整理して解説します。
必要性が高い人
終身保険の必要性が高い方は以下の通りです。
- 葬儀費用を家族に残したいと考えている方
- 貯蓄が苦手で計画的に資産を残したい方
- 一生涯の保障を確保しておきたいと考える方
- 相続税の節税対策として活用したい方
長く保障を持ち続けたい方や、老後の備えとして確実にお金をのこしたい方にとって、終身保険はおすすめです。
保険金の使い道を明確にしておけば、葬儀費用や家族の生活費として安心して活用できます。
低い人の特徴
次のような特徴に当てはまる方は、終身保険がいらないと判断できる可能性があります。
- 一定期間だけ死亡保障があれば十分な方
- 生活費や葬儀費用をカバーできる預貯金がすでにある方
- 公的年金制度による遺族保障で備えたいと考える方
- 保険を短期間で解約する可能性がある方
十分な貯蓄があり、将来に向けた手厚い保障はいらないと考える方には、定期保険が適した選択です。
定期保険なら、保険料を抑えつつ必要な期間だけ保障を得られます。
終身保険はいらないと決めつけず見極めるのが大切
終身保険にはメリットとデメリットがあり、一律に「終身保険はいらない」と判断するのはおすすめできません。
保障の目的やライフプランに応じて、終身保険が必要かどうかの見極めが大切です。
なかには、インフレ対策としても活用できる外貨建て終身保険のような商品もあります。
「終身保険はいらないかも」と感じた方も、一度プロの意見を聞いてみると判断がしやすくなるでしょう。