
終身保険のメリット・デメリットは?定期保険や養老保険との違いについても徹底解説
終身保険は、一生涯の保障が続くうえに貯蓄性もあるため、「老後資金の備えになる」「解約返戻金を受け取れる」などのメリットが注目されがちです。
しかし、終身保険にはデメリットも存在し、十分に理解せずに加入すると「思っていたものと違った…」と後悔する可能性があります。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、終身保険のデメリットやメリットについてわかりやすく解説します。
養老保険や定期保険の違いについても解説するため、どの保険に加入しようか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
終身保険のデメリット【検討中の方必見】
終身保険は一生涯の保障と貯蓄性の両面を兼ね備えることに目がいきがちですが、反対にデメリットになりうる特徴もあります。
以下では、終身保険のデメリットについて解説するため、加入を検討する際にはこれらを踏まえた上で判断してください。
デメリット①保険料が割高
終身保険は保障内容が同じ他の保険と比べて、保険料が割高に設定されています。これは、契約者が支払う保険料を、保障部分と貯蓄部分に分配する必要があるためです。
保険料は加入時の年齢によって設定されるため、なるべく若いうちに加入しておけば保険料を低めに設定することができますが、就職したばかりや住宅ローンを組んだ後など、家計に余裕がない場合は経済的負担になってしまう場合があります。
デメリット②貯蓄性を感じられないケースがある
終身保険は解約時に解約返戻金を受け取れるという点において、貯蓄性があります。
契約から一定の期間が経過し、保険料の払い込みが満了していれば、払い込み総額以上の解約返戻金を受け取ることができますが、早期解約をしたり、保険料の支払い期間中に解約をしたりすると、解約返戻金が払い込んだ保険料総額を大きく下回ってしまう可能性があります。
そのため、「貯蓄目的で加入したものの、あまり活用できずに終わってしまうかもしれない」というデメリットも考えられるのです。
デメリット③保障内容の見直しがしにくい
終身保険は一生涯続く保障を備えるための保険のため、見直しを前提に設計されていません。
そのため、ライフステージや家庭の状況に応じた保障内容の見直しがしにくいのもデメリットです。
通常、保険に加入した後はライフステージの変化がある毎に見直しを行い、必要な保障額を備えます。用意する必要のない保障を排除し、無駄な保険料を支払うのを防ぐ目的です。
だからといって早期解約をするのは、解約返戻金が払い込み保険料総額を下回る原因となります。
そのため、終身保険に加入する際には、この先保険料を支払続けられるのか、保障がいらなくなるタイミング(子どもが独立・定年退職後など)の返戻率はどのぐらいかをチェックする必要があるでしょう。
終身保険に加入するメリットはあるの?
終身保険はデメリットばかりではありません。保障+貯蓄ができる終身保険ならではのメリットも存在します。
以下では、終身保険に加入するメリットについて、4つご紹介します。
加入時の保険料のまま一生涯の保障を備えられる
終身保険は、加入時の年齢に応じて保険料が設定され、払い込み期間が満了するまで変わりません。
定期保険などの更新が必要な保険の場合、更新時に再加入という形になり、年齢を重ねていることから更新のたびに保険料が上がります。
一般的に、終身保険の保険金支払いのリスクが低いとされる若い年代であればあるほど、保険料は低くなります。例として、25歳と45歳で終身保険に加入したケースを比較してみましょう。
加入時の年齢 | 月払保険料 |
---|---|
25歳(男性) | 18,045円 |
45歳(男性) | 21,610円 |
参考:オリックス生命「終身保険ライズ 保険料シミュレーション」
上記の表をみると、月々の支払いでも約3,500円ほどの差があることがわかるでしょうか。これを1年間の支払いに換算すると、年間で約42,000円もの差になります。
このようなことから、終身保険を検討する際には、なるべく若いうちに加入をすると、安い保険料で一生涯の保障を受けられるというメリットがあります。
解約返戻金が受け取れる
何度かお伝えしている「終身保険には貯蓄性がある」とは、この解約返戻金が受け取れることを指します。
解約返戻金は、保険契約を途中で解約したときに受け取れるお金のことで、払い込んだ保険料の一部が保険会社によって積み立てられることによって発生します。
セカンドライフのために貯金をしておきたい方や資産形成をしたい方などが、貯蓄を目的に契約することもあるそうです。
ただし、早期解約をしてしまうと、解約返戻金が払い込んだ保険料総額を下回る場合があり、保険商品によっては解約返戻金がないものもあるため注意が必要です。
税負担が軽減される
終身保険は生命保険料控除の対象となるため、所得税や住民税の税負担を軽減できるというメリットもあります。
生命保険料控除とは、1年間に支払った保険料の一部を、所得税や住民税の計算時に所得から差し引くことができる制度のことです。これにより税金の負担を軽くすることができます。
会社員の場合は年末調整時に適用され、自営業などの個人事業主の場合は確定申告時に申告することで適用されます。
生命保険料控除の適用範囲や計算方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

相続対策にもなる
終身保険は相続対策になる点も魅力です。相続対策に向いている点は大きく分けて以下の3つがあります。
- 相続税の負担軽減
- 現金で受け取りができる
- 特定の人に財産を残すことができる
相続税の負担軽減
相続税の課税対象は、受け取った死亡保険金の合計額のうち「(非課税限度額)=500万円×法定相続人の数」を超える部分です。
*法定相続人とは、亡くなった人の配偶者や子どものことです。原則、孫は法定相続人にはカウントされません。
例えば、死亡保険金の合計が1,200万円で法定相続人が3人の場合、「500万円×3=1,500万円」が非課税限度枠となるため、終身保険の死亡保険金に相続税はかかりません。
なお、銀行の預金などで財産を残す場合、家や土地、不動産、有価証券、貴金属類などの全ての相続財産を合算して相続税が計算されるため、控除額の範囲を超えてしまう恐れがあります。
そのため、同じ金額を貯金で残すよりも、終身保険を活用して遺族のためにお金を残した方が相続税の負担を抑えることが可能です。
現金で受け取りができる
終身保険の死亡保険金は現金で受け取ることができるため、葬儀代や相続税の納付などに活用できます。
特に、相続税は親や配偶者が亡くなった日から10ヶ月以内に現金で収めなくてはならず、その額によっては貯金だけで用意するのは難しいという方もいるでしょう。
その点、終身保険の死亡保険金はまとまったお金を現金で受け取ることが可能なため、葬儀代や納税資金の準備に役立ちます。
特定の人に財産を残すことができる
終身保険を契約する際には、死亡保険金の受取人を指定できるため、特定の人に財産を残すことができます。
一般的に亡くなった方の財産を分ける際には、相続人全員で話し合い、誰が何を相続するのかを決定します。
しかし、終身保険の死亡保険金は、この話し合いを待たずに受け取りが可能で、他の相続人から「あなただけのものじゃないから◯万円分は私の分」などと請求されることもありません。
被相続人は、自分が確実に遺産を渡したい人に財産を渡すことができ、受取人は、他の人に横取りされることなく、スムーズに保険金を受け取れるというメリットがあるのです。
定期保険や養老保険との違い
終身保険の比較対象に出されるのが、「定期保険」と「養老保険」です。
この3つの保険は同じ生命保険のカテゴリーに分けることができますが、保障期間や保険料、解約返戻金の有無に違いがあります。
以下の表では、終身保険と定期保険、養老保険の違いについてまとめてみました。
終身保険 | 定期保険 | 養老保険 | |
---|---|---|---|
保障内容 | 死亡保険金 | 死亡保険金 | 死亡保険金または満期保険金 |
保険期間 | 一生涯 | 有期 | 有期 |
保険料 | 定期保険よりも割高 | 割安 | 終身保険よりも割高 |
解約返戻金 | あり | なし | あり |
満期保険金 | なし | なし | あり |
終身保険 | 定期保険 | 養老保険 | |
---|---|---|---|
保障内容 | 死亡保険金 | 死亡保険金 | 死亡保険金または満期保険金 |
保険期間 | 一生涯 | 有期 | 有期 |
保険料 | 定期保険よりも割高 | 割安 | 終身保険よりも割高 |
解約返戻金 | あり | なし | あり |
満期保険金 | なし | なし | あり |
※上記は一般的な内容を記載しており、実際の内容については保険商品ごとに異なります。
終身保険は一生涯保障が続くのに対して、定期保険や養老保険は保険期間が決まっています。
定期保険は、保険料が割安に設定されているため、解約保険金や満期保険金はありません。保険期間が終われば、死亡保障もなくなります。
養老保険は生死混合保険とも呼ばれ、保険期間に被保険者が死亡した場合は死亡保険金、契約満了時に生存していれば満期保険金が支払われます。満期保険金は死亡保険金と同額のため、払い込む保険料は終身保険よりも割高になるのが特徴です。
自分にとってどの保険が最適かを判断し、加入を検討しましょう。
次の記事では、終身保険の必要性について解説
終身保険は一生涯の死亡保障と貯蓄性を兼ね備えるのが特徴ですが、保険料が割高で見直しがしにくく、解約の時期によっては受け取れる解約返戻金が少なくなるデメリットがあります。
加入後に後悔しないためにも、本記事で紹介したデメリットをしっかりと把握し、加入を検討しましょう。
以下の記事では、終身保険の必要性について詳しく解説しています。必要な人・不要な人の特徴についてもそれぞれご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
