
生命保険の解約返戻金についてプロがわかりやすく解説!
生命保険の契約期間中に解約をすると、解約返戻金がもらえる可能性があります。
ただし、解約返戻金は支払った保険料の総額を受け取れるわけではありません。
保険会社は、契約者が支払った保険料のうち、所定の割合を保険金の支払い等にあてられるよう積み立てており、その一部が解約返戻金となります。
また、保険商品によっては、解約しても解約返戻金が支払われない場合もあります。
今回は、無料保険相談を行っている「保険のぷろ」が、生命保険の解約返戻金はいくら貰えるのか、解約返戻金にかかる税金の種類、解約時の注意点について解説します。
生命保険の解約返戻金はいくら?
生命保険の解約返戻金がいくらかを考えるにあたって「返戻率」について理解しておく必要があります。
この返戻率や払込保険料をもとに、いくら解約返戻金を受け取ることができるのかを計算することができるのです。
返戻率とは
解約返戻金の返戻率とは、払い込んだ保険料総額に対して、どのぐらいの金額を受け取ることができるのかという割合のことです。
以下の計算式で表されます。
返戻率=解約返戻金額÷払い込んだ保険料総額×100
つまり、返戻率が100%を超えていれば、支払った保険料総額よりも多い金額を受け取ることができます。反対に、100%を下回っていると、解約返戻金は払い込んだ保険料総額よりも少ないということです。
一般的に、契約開始から年数が経過すればするほど、返戻率が上がり、短期間で解約した場合には返戻率が低いことがほとんどです。
解約返戻金額の確認の仕方
保険契約の際の設計書や保険証券などに、契約年数に応じた返戻率の記載があるので、確認してみて下さい。
ここでは、オリックス生命保険「終身保険RISE[ライズ]」を例に解約返戻金のシミュレーションをしてみます。
この生命保険を以下の条件で契約したとします。
- 保険金額:500万円
- 契約当時の年齢:30歳 (男性)
- 保険料払込期間:15年
- 月払込保険料:18,815円
返戻率及び解約返戻金額は以下のとおりです。
経過年数(年) | 年齢(歳) | 払込保険料総額(円) | 解約返戻金(円) | 返戻率 |
---|---|---|---|---|
5 | 35 | 1,128,900 | 769,700 | 68.1% |
10 | 40 | 2,257,800 | 1,629,450 | 72.1% |
15 | 45 | 3,386,700 | 2,511,050 | 74.1% |
20 | 50 | 3,386,700 | 3,736,450 | 110.3% |
25 | 55 | 3,386,700 | 3,888,100 | 114.8% |
30 | 60 | 3,386,700 | 4,041,450 | 119.3% |
経過年数(年) | 年齢(歳) | 払込保険料総額(円) | 解約返戻金(円) | 返戻率 |
---|---|---|---|---|
5 | 35 | 1,128,900 | 769,700 | 68.1% |
10 | 40 | 2,257,800 | 1,629,450 | 72.1% |
15 | 45 | 3,386,700 | 2,511,050 | 74.1% |
20 | 50 | 3,386,700 | 3,736,450 | 110.3% |
25 | 55 | 3,386,700 | 3,888,100 | 114.8% |
30 | 60 | 3,386,700 | 4,041,450 | 119.3% |
この保険の場合、保険料払込期間中は返戻率が低い、低解約返戻期間が設定されています。
つまり、払込期間である15年の間は返戻率が100%を超えないため、解約返戻金は払い込んだ保険料総額を下回る金額となります。
低解約返戻期間が経過すると返戻率は100%を超え、経過年数に応じて返戻率も上昇するという仕組みです。
なお、保険商品によっては返戻率が年々増加しないものや、被保険者の契約時の年齢や保障額との関係で解約返戻金額が減少するものもあります。
解約返戻金に税金はかかる?
支払った保険料総額よりも受け取る解約返戻金額が多い場合、税金がかかる可能性があります。
以下で詳しくみていきましょう。
解約返戻金にかかる税金の種類
解約返戻金に税金がかかる場合、契約者と受取人の関係によって課税される税金の種類が異なります。
契約者 (保険料負担者) | 保険金受取人 | 税金の種類 |
---|---|---|
A | A | 所得税 |
A | B | 贈与税 |
契約者=受取人の場合
保険料を支払う契約者と受取人が同一人物の場合、自ら経済的な利益を得たとされ、所得税の対象となります。
また、受け取り方法により一時所得または雑所得として課税されます。
詳しくは国税庁のサイトをご確認ください。
契約者≠受取人の場合
保険料を支払う契約者と受取人が異なる場合、贈与により解約返戻金を受け取ったとされるため、贈与税の対象となります。
ただし、贈与税には年間110万円の基礎控除額があるため、その他に同じ年に受けた暦年課税の対象となる贈与がない場合であれば、課税対象とはなりません。
参考:国税庁「贈与税の申告等」
税金がかからない例外のケース
先述したとおり、解約返戻金が支払った保険料総額を下回る場合、税金はかかりません。
簡単に言えば、生命保険の解約返戻金に税金がかかるのは、経済的利益が発生した場合のみということです。
生命保険を解約する際の注意点
これまで、生命保険の解約返戻金の有無や、かかる税金の種類について解説してきました。
一般的に、保険契約から一定の年数が経過していれば、払い込んだ保険料総額を上回る解約返戻金額を期待することができます。
ただし、「こんなに解約返戻金がもらえるんだ!」と目がくらみ、すぐさま解約してしまうことは避けて下さい。保険解約の際は慎重に検討すべきです。
以下では、生命保険を解約する際の注意点について解説します。
一度解約してしまうと、同じ条件での新規加入が難しい
生命保険を解約すると、その時点で契約していた保障が終了になります。医療特約やがん特約などの特約を付帯していた場合には、それらの保障もなくなってしまいます。
解約後に万が一のことが起こっても、保険金給付の対象とならないため、注意が必要です。
また、同じ条件で新たな生命保険に加入したいと思っても、健康状態の変化により加入できなかったり、年齢が上がって保険料が高くなるリスクがあります。
保険商品によっては解約後一定期間は同じ保険に再度申し込みできない場合もあるため、注意しましょう。
特に、生命保険に加入する際には告知義務が発生しますので、健康状態に不安がある場合は、解約について慎重に検討すべきです。
解約する前に必ず返戻率を確認する
生命保険を解約する際には、必ず返戻率とその金額を確認しましょう。
確認せずに解約してしまうと、想定よりも少ない金額しか受け取れない可能性も出てきます。
特に、契約期間が短い場合や解約のタイミングによっては、大きく損をするケースも少なくないため、注意してください。
記事まとめ
解約返戻金は、生命保険を解約するときに払い戻されます。ただし、保険商品によって解約返戻金がなかったり、あってもごくわずかの場合があるため、契約前に必ずチェックしましょう。
もし、解約返戻金についてもっと知りたい・解約返戻金がある生命保険に加入したいなど、保険にまつわる相談がある場合は「保険のぷろ」にご相談ください。