
医療保険の一時金タイプについてメリット・デメリットや向いている人の特徴を解説
「医療保険の一時金タイプって何?」
「医療保険の一時金タイプはどんな人に向いているの?」
医療保険の一時金タイプについて、上記のような疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。
入院が短期化している現代において一時金は魅力的ですが、加入にあたっては注意点の理解も大切です。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、医療保険の一時金タイプについて特徴や重要性、メリットとデメリットなどを解説しています。
医療保険の給付パターンをどれにしようか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。


医療保険の一時金タイプとは
まずは医療保険における一時金タイプとはどのようなものなのか解説していきます。
一時金タイプと似ている「日額タイプ」との違いは以下の通りです。
商品タイプ | 内容 |
---|---|
日額タイプ | 入院日数に応じて保険金が支払われる |
一時金タイプ | 入院日数に関係なく一定額の保険金が支払われる |
日額タイプは1日あたり5,000円や10,000円など、あらかじめ日額を決めておき、入院日数に応じて保険金を受け取れます
一方、一時金タイプは入院した段階で一定額を受け取れる商品であり、通常は日帰り入院でも支給対象になります。
一時金タイプは必要か【何のためにある?】
現代において、一時金タイプの商品は必要だと言えます。
医療の発達により、入院平均日数が短くなってきているためです。
厚生労働省が公開している資料によると、年々入院平均日数は以下の通り短くなってきています。
年 | 平均在院日数(日) |
---|---|
1993 | 41.9 |
2011 | 32.8 |
2014 | 31.9 |
2017 | 29.3 |
2020 | 32.3 |
2023 | 28.4 |
参照:厚生労働省「令和5年(2023)患者調査の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kanja/23/dl/heikin.pdf
入院する日数が短くても、一定のまとまった資金は用意しなくてはいけません。
入院中の食費や日用品にかかる費用、付添人の交通費など、入院では治療費以外にも費用が発生するためです。
通院や自宅療養での治療が増えていくにつれて、日額タイプでは十分な保障を受けられない可能性が高まっていると考えられます。
一方、一時金であれば短期入院でもまとまった保険金を受け取れます。
入院の短期化が進んでいる現状を踏まえると、一時金タイプの医療保険は重要性が増している商品です。
入院一時金は平均いくらくらい貰える?
生命保険文化センターのデータによると、2022年における入院一時金の平均額は18.7万円です(※1)。
同資料によると、直近5年間における入院時の自己負担費用と逸出収入(※2)を合計した額の平均は以下の通りでした。
入院日数 | 平均額(万円) |
---|---|
全体 | 26.8 |
5日未満 | 9.6 |
5~7日 | 18.9 |
8~14日 | 26.3 |
15~30日 | 38.6 |
31~60日 | 44.8 |
61日以上 | 96.5 |
参照:公益財団法人生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf
入院一時金は通常、10〜30万円程度の間で設定します。
データを見ると、入院1日程度であれば10万円でも十分な反面、入院一週間であれば20万円程度の保障が必要です。
ただし日額タイプの医療保険を契約していれば、必要な一時金の額は減ります。
たとえば日額1万5,000円を別途受け取れるのであれば、1週間の入院でも一時金10万円で計算上は十分です。
自分の家族構成や医療保険の契約状況などを考慮して保険金を設定しましょう。
※1 参照:公益財団法人生命保険文化センター「2022年度生活保障に関する調査」
https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/2022honshi_all.pdf
※2 病気やケガが原因で得られなかった収入
一時金タイプ加入のメリット
ここでは、一時金タイプに加入するメリットを解説します。
一時金の商品は入院期間が短いケースや保険料負担を抑えたいケースに魅力的です。
短期入院でも一定の金額を受け取れる
一時金タイプの医療保険に加入する大きなメリットは、短期入院でも一定のまとまった保険金を受け取れる点です。
たとえば日額1万円の日額タイプに加入しているパターンでは、入院期間が5日であれば受け取れる保険金は5万円です。
しかし10万円の一時金タイプに加入しているパターンでは、入院期間が同じように5日であっても10万円の保険金を受け取れます。
入院期間が短くなるほど、一時金に加入する利点は大きくなるのです。
特に日帰り入院は日額タイプの支払い対象外になるケースもあり、加入する恩恵が大きくなります。
保険料が割安のケースが多い
一時金タイプは日額タイプと比較して保険料が割安な傾向があります。
毎月の保険料負担が心配な人は、加入を検討しましょう。
保険料負担が小さいため、メインで契約している日額タイプの保障を補う目的で一時金タイプに追加加入する選択肢も考えられます。
自分の状況に合わせて柔軟に医療保険を選択しやすい点は、一時金タイプの大きな長所です。
一時金タイプ加入のデメリット
ここでは、一時金タイプの医療保険に加入する際のデメリットについて解説します。
一時金タイプの医療保険は、入院が長期化するケースや適用対象外のパターンに注意しなくてはいけません。
長期入院や複数回入院時には保障が薄い
一時金タイプの医療保険は、長期入院や複数回入院時には保障が薄くなる傾向にあります。
入院期間がどんなに長期化しても、保険金が一定で増えないためです。
入院期間が年々短くなってきていると言っても、がんのような長期化しやすい疾患は多くあります。
先ほど紹介した自己負担費用と逸出収入のデータを見ると、入院期間が2週間以上だと30万円の一時金でも不十分である可能性が高いでしょう。
短期間で複数回入院したパターンでは、1回分しかカウントされないケースもあります。
前回の退院から再入院までの期間が180日未満だと、1回分しかカウントされない商品が通常です。
病気やケガの程度が重くなると、一時金タイプの商品だけでは安心できないと考えなくてはいけないでしょう。
適用対象外のケースがある
一時金タイプの商品へ加入する際は、適用対象外のケースがある点に注意しなくてはいけません。
治療目的で入院をしたときにのみ支払われるため、通常は以下のようなパターンで適用対象外になります。
- 美容目的の入院
- 出産(正常分娩)に伴う入院
- 検査入院
ただし出産の場合、異常妊娠や帝王切開などであれば支給対象になるケースもあるのです。
他にも「自然災害が原因」「契約者が泥酔した結果、けがを負った」など、入院一時金適用対象外のパターンが決められています。
詳細な条件は保険会社や商品ごとに異なるため、加入検討時にチェックしておくのが大切です。
一時金タイプの医療保険が向いている人の特徴
これまでの話を整理すると、一時金タイプ商品は以下のような人に向いていると考えられます。
- 生活資金に余裕がない
- 疾病リスクが低い
- 傷病手当金が受け取れない
一時金タイプの医療保険は短期入院でも一定額を受け取れます。
生活資金に余裕がない人は短期入院でもしっかりと給付を受けられる一時金タイプがおすすめです。
保険料負担が低い傾向がある点も、資金に余裕がない時期に魅力的なポイントです。
健康でがんなどの疾病リスクが低い人は長期入院の可能性が低くなるため、一時金タイプがおすすめできます。
自営業者が加入する国民健康保険には傷病手当金がなく、入院して働けないと収入がなくなってしまいます。
短期入院でも確実に資金を確保するために、一時金タイプの医療保険を活用しましょう。
次の記事では一時金タイプのおすすめ医療保険をご紹介
医療保険の一時金タイプとは、入院日数に関係なく一定額が支払われる商品です。
日額タイプとは異なり短期入院でもまとまった保険金が支払われるため、入院期間が短くなっている現代では重要性が増しています。
自分に合った額を設定すれば、入院に対する心配を軽くできるでしょう。
長期入院や複数回入院のパターンでは、一時タイプの医療保険では不十分な可能性があります。
生活資金に余裕がない人や疾病リスクが低い人、傷病手当金がない国民健康保険に加入している人なら、一時金タイプが最適でしょう。
一口に一時金タイプの医療保険と言っても、保険会社ごとにさまざまな種類があります。
そこで次の記事では、一時金タイプのおすすめ商品を紹介します。
自分に合った商品を探している人は、こちらもぜひ参考にしてください。
