生命保険の種類と保険料の相場・節約のポイントを解説
生命保険は万が一に備えて加入しておきたい保険の1つですが、種類や保障内容が様々であることから、どの保険商品を選べば良いのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
今回は、無料保険相談を行なっている「保険のぷろ」が、生命保険の主な種類と保険料・保障額の相場を紹介していきます。
プラン選びのポイントや保険料の負担を抑えるためのコツもまとめているので、生命保険への加入や保険料の見直しを検討している方はぜひ参考にしてみてください。
生命保険の種類と特徴
生命保険とは、病気やケガの治療・入院・老後の生活・死亡等に備える保険商品の総称です。
大勢の契約者が公平に保険料を負担し、万が一のことがあった場合に給付を受けられる仕組みとなっています。
まずは、生命保険の主な種類と代表的な商品について詳しく見ていきましょう。
死亡保険
死亡保険は、被保険者が死亡または高度障害となった場合に保険金を受け取ることができる商品です。
死亡保険は「定期保険」と「終身保険」の大きく2種類に分かれており、それぞれの特徴は以下の通りです。
定期保険 | 保険期間が決まっている生命保険で、期間を過ぎても生存していた場合は保険金の支払いが行われません。(=掛け捨て保険) |
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終身保険 | 保険期間が一生涯続く生命保険で、死亡した際には必ず保険金が支払われます。 |
生存保険
生存保険は、保険期間満了時に被保険者が生存していた場合に保険金を受け取ることができる商品です。
代表的な生存保険として、以下の「学資保険」と「個人年金保険」が挙げられます。
学資保険 | 子どもの教育資金を準備するための生命保険で、子どもが大学を卒業する頃に満期となって一括で戻ってくる仕組みです。万が一契約者(親)が亡くなった場合は保険料の支払いが免除されたうえで通常通り給付を受けられるため、死亡保険としての側面も持ち合わせています。 |
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個人年金保険 | 老後の生活資金を準備するための生命保険です。契約時に決めた予定利率で運用する「定額個人年金保険」と、選択した投資信託等で運用する 「変額個人年金保険」の2種類があります。 |
生死混合保険
生死混合保険は、死亡保険と生存保険を組み合わせたタイプの商品です。
被保険者が保険期間内に死亡または高度障害となった場合には死亡保険金が支払われ、保険期間満了時まで生存していた場合には生存保険金(満期保険金)が支払われます。
生死混合保険の代表的な商品が「養老保険」です。
養老保険は老後に備えてお金を積み立てておくための商品で、月々の保険料を支払うことにより死亡保険金または生存保険金(満期保険金)を受け取ることができます。
なお満期保険金の額は満期まで支払った保険料の総額と同額になるため、実質的には貯蓄と同じ仕組みです。
ただし養老保険は満期になるとそれ以降の更新ができないため、別途死亡保障を検討しなければならないといった注意点もあります。
この場合、年齢や健康状態によっては保険料が高くなったり死亡保障のある生命保険に加入できなかったりする可能性も出てくることから、遺族に保険金を残したいという場合にはあまり適さない商品だと言えるでしょう。
保険料の相場はいくらぐらい?
続いて、男女別・世帯年収別の保険料相場と、死亡保障の平均額について詳しく見ていきましょう。
【男女別】生命保険料の相場
生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査(令和4年)」によると、生命保険と個人年金保険を合わせた年間払込保険料の平均額は男性が20.6万円、女性は16.0万円という結果でした。
12万円未満 | 12~24万円未満 | 24~36万円未満 | 36~48万円未満 | 48~60万円未満 | 60万円以上 | 不明 | 平均 | |
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全体 | 39.5% | 30.2% | 13.3% | 4.4% | 1.9% | 3.3% | 7.5% | 17.9万円 |
男性 | 33.0% | 29.1% | 15.7% | 6.2% | 2.5% | 4.5% | 8.9% | 20.6万円 |
女性 | 44.1% | 31.0% | 11.6% | 3.1% | 1.4% | 2.4% | 6.4% | 16.0万円 |
この結果から、女性よりも男性の方が支払う保険料の平均額が高いことが分かります。
つまり、男性が死亡した場合にはより多くの保障が必要になると考えている方が多いということです。
なお年齢別にみると、年間払込保険料の平均は男女とも50歳代が最も高い金額となっています。(男性25.5万円、女性19.0万円)
参照:生命保険文化センター「2022(令和4)年度 生活保障に関する調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/chousa/pdf/r4/p197-203.pdf)
【世帯年収別】生命保険料の相場
以下は、生命保険文化センターが実施した「生命保険に関する全国実態調査(令和3年)」における年収別の年間払込保険料の平均額をまとめたものです。
年収 | 年間払込保険料の平均 |
---|---|
1000万円以上 | 57.9万円 |
700~1000万円未満 | 43.4万円 |
600~700万円未満 | 32.9万円 |
500~600万円未満 | 31.9万円 |
400~500万円未満 | 30.6万円 |
300~400万円未満 | 31.5万円 |
200~300万円未満 | 28.0万円 |
200万円未満 | 20.5万円 |
生命保険料は年収が高い人ほど多くの金額を支払っていることが分かります。
家族構成や考え方によっても保険料の設定額は異なりますが、保険のプランニングを行う際は自身の年収とこれらの平均額を参考にしてみると良いでしょう。
参照:生命保険文化センター「2021(令和3)年度 生命保険に関する全国実態調査」(https://www.jili.or.jp/files/research/zenkokujittai/pdf/r3/p003-043.pdf)
死亡保障の平均額は?
生命保険文化センターが実施した「生活保障に関する調査(令和4年)」によると、死亡時に支払われる生命保険加入金額(普通死亡保険金額)の平均は男性が1,373万円、女性は647万円という結果でした。
死亡保障額は配偶者や子どもの有無等によって大きなバラつきがあるものの、平均でみると男女では保険金として受け取れる金額の設定値に2倍近くの開きがあることが分かります。
参照:生命保険文化センター「生命保険の加入金額はいくらくらい?」(https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1220.html)
生命保険のプランを決める際のポイント
次に、生命保険のプランを考える際に押さえておきたいポイントを詳しく見ていきましょう。
必要保障額をシミュレーションする
必要保証額とは、被保険者が死亡した場合に、残された家族が安心して暮らすためのお金のことです。
一般的には、いざという時に必要な遺族の生活費の総額から、遺族年金・死亡退職金・預貯金等の想定される収入を差し引いた不足分を必要保障額と考えます。
必要保障額は世帯の構成によって大きく異なり、独身世帯<夫婦のみの世帯<夫婦と子どもの世帯という順に高額化する傾向にあります。
なお「不安だから」という理由だけで保険金額を大きくしても、保険料の負担で日常生活を圧迫するようでは意味がないため、しっかりと自身に合わせた必要保障額を求めておくことが大切です。
まずは現在の収入・支出を明確にし、日々の生活費や住宅ローンの返済等を踏まえた将来推計を作成しましょう。
全体像を把握することで、生命保険料の支払額や保険金額の目安を計算しやすくなります。
保険加入済みの場合も定期的に見直しを
生命保険の必要保障額はライフステージの変化とともに変わっていくため、定期的な見直しが必要です。
一般的には、以下のライフイベントが発生したタイミングで生命保険料や保険金額を見直すのがおすすめだと言われています。
- 結婚したとき
- 出産したとき
- 子どもが自立したとき
- 住宅を購入したとき
- 仕事をリタイアしたとき 等
中でも重要とされるのが“出産したとき”の保険見直しです。
子どもが生まれると生活費が大幅に増加しますし、将来的な教育費を踏まえた計画等も必要となります。
出産・育児に関しては様々な公的制度があるため、子どもの教育資金を全て生命保険で賄う必要はありません。
とは言え、想定外のケース(私立への進学等)が生じた場合にも対応できるよう、早い段階でライフプランを明確にしておくことはメリットが大きいと考えられるでしょう。
保険料のプランニングが難しい場合はプロに相談
生命保険は自身の生活や家族を守る効果的な手段の1つですが、保険料の設定を誤ってしまうと普段の生活に支障をきたす可能性があるため、常に慎重な判断が求められます。
自身で必要保障額を算出することが難しいと感じる場合は、保険代理店等のプロに相談する方法がおすすめです。
保険代理店の中には、保険料・保険金額のシミュレーションを無料で実施しているところもあるため、将来に備えて必要保障額を把握しておきたいという方は一度相談を検討してみると良いでしょう。
生命保険の保険料を安く抑えるには?
ここからは、生命保険の保険料を安く抑えるためのコツ・ポイントについて解説していきます。
掛け捨て型の保険商品を契約する
掛け捨て型の生命保険は、“保険期間中の保障を手厚くしたい”という方に向いている保険商品です。
満期保険金や解約返戻金等は原則ありませんが、その分毎月の生命保険料が安いというメリットがあります。
また掛け捨て型の生命保険は都度更新していくことができるため、家計の状況に合わせて契約の有無や保険料を見直せるといった点も特徴の1つです。
ただし、年齢を重ねるにつれて死亡リスクが高まっていくことから、更新を行う度に生命保険料も高くなっていくという点に注意が必要です。
長期的な加入になるとトータルの保険料が割高になる可能性もあるため、一時的なリスク対策として利用を検討するようにしましょう。
保険料で選ぶならネット保険もおすすめ
生命保険料を安く抑える方法として、ネット上で加入できる保険商品を利用するというやり方が挙げられます。
ネット保険は店舗を持たないことから、人件費や広告費を抑えた運用が可能となっており、生命保険料についても比較的リーズナブルに設定されているケースがほとんどです。
またネット保険であれば自身のペースで生命保険を探すことができるため、複数の保険会社に保険料の見積もりを依頼してじっくり検討したいという方にもおすすめです。
ただし、ネット上で加入できる生命保険は保障内容が限られる場合も多いため、必要な保障の全てをネット保険でカバーできるとは限らない点に注意しましょう。
特約は必要最小限に抑える
生命保険に加入する際は、利用できる特約についてもしっかりと確認することが大切です。
特約とは、生命保険の主契約で不足している保障を補うためのオプションのことで、傷害特約・通院特約・生活習慣病特約等の様々な種類があります。
特約を付加すれば生命保険の保障内容を充実させることができますが、付加する内容が多くなるほど生命保険料の負担額も大きくなります。
生命保険料を安く抑えたい場合は特約の内容を最小限にとどめ、他のやり方(貯蓄等)で特約部分をカバーできないか検討してみると良いでしょう。
記事まとめ
生命保険に加入する目的は人によって異なるため、必要とする保障内容や金額も様々となります。
保険料が高いからと言って必ずしも納得できる保障内容とは限りませんし、自身には必要のない保障に無駄な保険料を払っている可能性も考えられるでしょう。
こうした状況を避けるためにも、まずは自身の収入・支出や将来設計を明確にし、必要な保障を必要な分だけ受けられるよう調節することが大切です。