国からお金を借りることができる公的融資制度とは?種類や申請条件、注意事項をわかりやすく解説
日本では、金銭的に困っている人を支援するため、国から金を借りる制度である公的融資制度があります。
もちろん、今すぐにお金が欲しいという方は、カードローンの検討をおすすめします。
しかし、本当にお金を借りるほど困っている方は利息やローンの支払いすら難しかったり、一時手的にお金を借りることができても根本的な要因を解決できないという方が多いのではないでしょうか。
そこで国からお金を借りることが可能な公的融資制度なら、無利子のものや低金利のものもあり、生活費など本当にお金に困っている方の見方になってくれます。
ただし、国からお金を借りるにはいくつかの条件を満たす必要があるので注意が必要です。
本記事では、国から借りることのできるお金の種類と借りる条件や方法について詳しく解説します。
お金を借りることを検討するほど金銭的に困っている方の一助になれましたら幸いです。
国の公的融資制度とは?基本をわかりやすく解説
国の公的融資制度とは、日本政府が提供する金融支援プログラムです。
特に低所得者や高齢者、障害者など経済的に困難な状況にある個人や企業を対象としています。
これらの制度は、新規事業の立ち上げや災害復旧、住宅購入、教育費など、様々な目的のための資金援助を提供します。
融資の条件や利率、返済期間は制度によって異なりますが、通常は低利または無利子で提供され経済的な負担を軽減することを目的としています。
申請方法や具体的な資格要件は、各制度により異なるため、詳細は公式ウェブサイトや関連機関で確認する必要があります。
国からお金を借りる「公的融資制度」一覧
では実際に、どんな種類の公的融資制度があるのか一覧で解説するので、あなたも国から借りることができそうなお金があるか確認して見てください。
生活福祉資金貸付制度
公的融資制度の中でも1番と言っても良いほど使われているのが、生活福祉資金貸付制度です。
この制度は、多重債務者の最後の助けのような役割も担っており、銀行などでは借入で駅な良い人でも活用できるようになっています。
ただし、それだけ困っている人を助けるための福祉制度のため、お金を借りたい人が誰でも利用できるわけではありません。
自立支援を目的としいた資金貸付制度であることから、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用も貸付の要件になっています。
更に、生活福祉資金貸付制度の利用条件には、以下の3種の世帯があります。
低所得世帯 | 資金の貸付けにあわせて必要な支援を受けることにより独立自活できると認められる世帯 必要な資金を他から借り受けることが困難な世帯(市町村民税非課税程度) |
---|---|
高齢者世帯 | 65歳以上の高齢者の属する世帯*日常生活上療養または介護を要する高齢者等 |
障害者世帯 | 身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた者の属する世帯*現に障害者総合支援法によるサービスを利用している等これと同程度と認められる者を含む |
引用元:生活福祉資金|全国社会福祉協議会
また、生活福祉資金貸付制度は借りる資金の使い道が決められているので、それ以外の用途に使用することはできません。
この制度で借りるお金の使い道は主に以下の4種類です。
種類 | 対象の用途 |
---|---|
総合支援賃金 | 生計を立てるためのお金 |
福祉資金 | 介護や医療サービスを受けるためのお金 |
教育支援資金 | 子供の進学、就学に必要なお金 |
不動産担保型生活資金 | 不動産を持っている高齢者の生活費用 |
それぞれの制度の違いについて理解しておきましょう。
1. 総合支援資金
総合支援資金は、一時的に生活援助を受けることができる制度になっています。
このお金は主に失業などの理由で、今だけ生活に困っている人が借りることのできるお金です。
生活を立て直したい人や、就労のための住宅費用に困っている人のための経済的支援と就労支援と行った役割を担っています。
総合支援資金は、主に3種類ありそれぞれの貸付限度額が異なるので、以下にまとめました。
お金の種類 | 貸付上限額 |
---|---|
生活支援費 | (二人以上世帯)月20万円以内 (単身世帯)月15万円以内 |
住居入居費 | 40万円以内 |
一時生活再建費 | 60万円以内 |
返済期間は措置期間経過後10年以内と設定されており、期間内は無利子(特例措置の場合)になっています。
生活費の措置期間は最終貸付日から6月以内です
住宅支援費と一時生活再建費は貸付けの日から6月以内ですが、生活支援費と合わせて国からお金を借りる場合は、生活支援費の最終貸付日から6月以内となります。
2~3ヶ月の一時的な資金対応として活用し、就職後にコツコツと返済していくといったイメージです。
総合支援金は、連帯保証人があれば無利子で、保証人がいなければ年1.5%の金利で国からお金を借りることができます。
2. 福祉資金
続いて、福祉資金は介護や医療サービスを受けるための福祉費と、緊急かつ一時的に維持が難しくなった時に貸付できる緊急小口資金という制度があります。
福祉資金は、医療費や生活費、教育費など、さまざまな目的のために利用できます。
車に車椅子専用の乗降リフトをつけたり、収納装置(ウェルライド)をつけたりするのに使うことも可能です。
また、緊急小口資金貸付は急な怪我や盗難などにより、すぐにお金が必要な低所得者世帯が国からお金を借りることがでけます。
それぞれの貸付条件は以下の通りです。
貸付条件 | 福祉費 | 緊急小口資金 |
---|---|---|
貸付限度額 | 580万円以内(資金用途により変動) | 10万円以内 |
措置期間 | 貸付日(分割交付の場合は最終貸付日)から6月以内 | 貸付日から2月以内 |
償還期限 | 措置期間経過後20年以内 | 措置期間経過後1年以内 |
貸付利子 | 保証人あり:無利子 保証人なし:年1.5% | 無利子 |
連帯保証人 | 原則必要だが、なしでも貸可能 | 不要 |
これらの資金は、返済が必要な場合もありますが、条件は比較的緩やかで利用しやすい貸付資金と言えます。
ただし、ここで気を付けていただきたいのが国からお金を借りるということは審査が必要になるため、借りるまで最短1週間はかかるということです。
どうしっても今すぐに必要な場合は、即日融資に対応している借り入れの活用もおすすめします。
引用元:(別表1)生活福祉資金一覧
3. 教育支援資金
教育支援資金は、学校教育や職業訓練などの学習に必要な費用をサポートするための国からの援助制度です。
これらの資金は、学費、教材費、生活費など教育に関連する多様な費用に利用可能で、学生やその家族の経済的負担を軽減することを目的としています。
教育支援資金の中にも2種類の福祉資金あり、教育支援費と就学支度費に分けられます。
それぞれの貸付条件は以下の通りです。
貸付条件 | 教育支援費 | 就学支度費 |
---|---|---|
貸付限度額 | 高校:月3.5万円以内 高専:月6万円以内 短大:月6万円以内 大学:月6.5万円以内 (注1) | 50万円以内 |
措置期間 | 卒業後6月以内 | 卒業後6月以内 |
償還期限 | 措置期間経過後20年以内 | 措置期間経過後20年以内 |
貸付利子 | 無利子 | 無利子 |
連帯保証人 | 原則不要(注2) | 原則不要(注2) |
(注1)特に必要と認めてもらえれば、貸付限度額の1.5倍まで国から借りることができます。
(注2)世帯内で連帯借受人が必要になります。
教育支援費は、名前の通り学校で就学するために必要な経費のため、毎月の学費や教科書代、通学用の交通費に当てられるお金です。
一方で、就学支度費は、学校などでへ入学するために必要な費用なので、入学金や教科書・PCなどの購入費用として利用できる資金になります。
4. 不動産担保型生活資金
不動産担保型生活資金とは、不動産を持っている高齢者の生活費を不動産を担保にして国からお金を借りることができる制度です。
この制度の中にも、以下の2種類あります。
- 不動産担保型生活資金
- 要保護世帯向け不動産担保型生活資金
それぞれの貸付条件は以下の通りです。
貸付条件 | 不動産担保型生活資金 | 要保護世帯向け不動産担保型生活資金 |
---|---|---|
貸付金額 | 土地の評価額の70%程度 | 土地及び建物の評価額の70%・集合住宅の場合は50% |
貸付限度額 | 月30万円以内 | 生活扶助額の1.5倍以内 |
貸付期間 | 借受人の死亡時までの期間又は貸付元利金が貸付限度額には貸付元利金が貸付限度額に 達するまでの期間 | 借受人の死亡時までの期間又は貸付元利金が貸付限度額には貸付元利金が貸付限度額に 達するまでの期間 |
措置期間 | 契約終了後3月以内 | 契約終了後3月以内 |
償還期限 | 措置期間終了時 | 措置期間終了時 |
貸付利子 | 年3%、または長期プライムレートの低い方 | 年3%、または長期プライムレートの低い方 |
連帯保証人 | 必要(推定相続人の中から選任) | 不要 |
どちらにせよ不動産を相続すれば、それだけの相続税が残された遺族に課されてしまいます。
また、自宅を担保にしたからといって家から出ていく訳ではありません。
毎月の返済もなく、本人が亡くなった場合に担保である不動産が売却されて融資資金として回収されるだけです。
不動産の相続をする気がなく、生活費に困っている高齢者にはもってこいの支援制度ではないでしょうか。
教育一般貸付(国の教育ローン)
上記で解説してきた生活福祉資金貸付制度の他に、生活が苦しいほど低収入な家庭でなくても国からお金を借りることができる制度があります。
その中の一つが、教育一般貸付という国から教育ローンを借りる制度です。
この制度は、教育に関わる費用であれば国から借りるお金は何に使っても良いため、留学費用や受験料、家賃などの資金にもできます。
ただし、この制度で国からお金を借りるには以下の2つの条件を満たさねければなりません。
- 子供が義務教育終了後の中学生以上の学校に所属していること
- 保護者の年収が以下の金額を下回ること
子供の数 | 保護者の年収 |
---|---|
1人 | 790万円 |
2人 | 890万円 |
3人 | 990万円 |
4人 | 1,090万円 |
5人 | 1,190万円 |
保護者の年収がこの表のいずれかに該当する場合は、国から教育式を借りることができます。
また、看護学生の場合は一定条件を満たせば返済が不要になる「看護師等修学資金」もあるため、看護系の道に進むことを検討中の方は、この制度の活用も検討してみてください。
生活保護
生活保護とは、経済的に自立できない人々に最低限度の生活を保障するための制度です。
受給資格は、収入や資産の状況に基づき決定され、支援を必要とする人々に対して提供されます。
その支給額は、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額が保護費として支給されます。
生活保護では、どのような種類の費用が保護されるのでしょうか。
以下、保護の種類と内容についてまとめました。
保護の種類 | 費用内容 |
---|---|
生活扶助 | 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等) |
住宅扶助 | アパート等の家賃 |
教育扶助 | 義務教育を受けるために必要な学用品費 |
医療扶助 | 医療サービスの費用 |
介護扶助 | 介護サービスの費用 |
出産扶助 | 出産費用 |
生業扶助 | 就労に必要な技能の修得等にかかる費用 |
葬祭扶助 | 葬祭費用 |
これらの保護が必要な場合は、あなたが住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に相談へいくことをおすすめします。
引用元:生活保護制度 |厚生労働省
生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度とは、働きたくても働けない、住む所がない状況に追い込まれている人を支援する制度です。
この制度では、主に以下のような支援が行われています。
支援の種類 | 支援内容 |
---|---|
自立支援相談支援事業生活困窮者に対し、相談や助言を提供し自立への道をサポート | |
家計改善支援事業 | 家計の管理や改善に関する支援を提供。 |
住居確保給付金の支給 | 安定した住居を確保するための経済的支援。 |
就労準備支援事業 | 就職活動の準備に必要な支援を提供。 |
就労訓練事業 | 職業スキル向上のための訓練プログラム。 |
一時生活支援事業 | 緊急時の生活支援を一時的に提供。 |
生活困窮世帯の子どもの学習・生活支援事業 | 困窮家庭の子どもたちに対する学習や生活面の支援。 |
引用元:制度の紹介 |厚生労働省
国からお金を借りる方法・手順
国からお金を借りる公的融資金を受けたい場合は、以下の手順で手続きを進めることがほとんどです。
- 市区役所・町村役場、社会福祉協議会、日本政策金融公庫などに相談
- 申込手続き
- 必要書類の提出
- 審査結果を待つ
- 融資
たまに例外で、相談時にそのまま申し込みを済ませられる場合もrあります。
公的融資では、実際に融資を受けるまでに1~2週間程度、またはそれ以上かかる場合が多いため、可能な限り余裕を持って申請することをおすすめします。
他に、融資までの期間を短縮する方法として絵は、事前に必要書類を集めておくことなどが挙げられます。
国からお金を借りる際の注意事項
最後に国からお金を借りる際の注意点を3つほど解説します。
適用性の確認
国からの融資を受ける際は、自分がその制度の対象者であるかを確認することが不可欠です。
各融資制度には特定の条件があり、これらは申請者の収入、資産、融資の目的によって異なります。
適切な制度を選ぶためには、これらの条件を慎重に検討し、必要に応じて専門家の意見を求めることも考えられます。
条件と責任の理解
融資条件の詳細をしっかり把握し、返済に関する責任を理解することが重要です。
特に金利や返済期間、返済方法などの条件は、将来の財政状況に大きく影響します。
返済遅延が生じた場合のリスクや、最悪のシナリオに備えることも忘れないようにしましょう。
返済計画の立案
安全で責任ある借入を行うためには、現実的な返済計画を事前に立てることが必須です。
収入と支出を正確に把握し、無理のない返済スケジュールを設定することで、返済時の経済的ストレスを軽減できます。
計画を立てる際には、未来の収入変動も考慮に入れるとより良いでしょう。
記事まとめ
ここまで個人が国からお金を借りれる公的融資制度の種類や申請条件について詳しく解説しました。
本記事を読んでいただいた方はもうご存知だと思いますが、公的融資制度の中には、様々な種類の支援資金制度が存在します。
生活に困っているならば国から支援を受けることは悪いことではありません。
今のあなたには、どの制度が最適なのかわからないという方も含め、まずはあなたがお住まいの役所や役場、社会福祉委協議会へ相談してみましょう。
そして、どうしても今すぐにお金が必要だけど、すぐに返済の目処が立っている方はカードローンのご検討をおすすめします。