「公務員」という条件を活かしてお金を借りることができる「共済貸付」とは
公務員には安定した収入と雇用の保証がありますが、予期せぬ出費や緊急事態が発生した際、お金を借りる必要性に迫られると困ってしまいます。
お金を借りる手段は様々ですが、返済の負担を最小限に抑える選択肢を探すことが大切です。
公務員には、「公務員」という条件を活かして利用できる「共済貸付」が存在します。
この記事では、共済貸付が公務員におすすめな理由やメリットとデメリット、お金を借りるまでの流れについて紹介します。
公務員でお金を借りる必要がある方は、ぜひ参考にしてください。
公務員の場合、共済貸付だと低金利でお金を借りることが可能
公務員が所属する共済組合は、専用の貸付制度を提供しています。この制度は、組合員だけが利用できます。
返済の際に大切なのは支払う利息の額であるため、高い金利は返済負担を増加させるため、低金利でお金を借りられることが大切です。
共済貸付は、他の借入方法と比較しても低金利でお金を借りることが可能であり、返済に伴う利息の負担を最小限に抑えることができます。
したがって、公務員がお金を借りる際には、共済組合の貸付制度を最初に検討してみましょう。
貸付の種類・主な条件
共済貸付は公務員向けの特別な制度で、複数の貸付オプションが用意されています。
これらの貸付は、目的や必要性に応じて幅広い選択肢を提供します。
例えば、以下のようなタイミングで活用できます。
- 住宅購入
- 教育費用
- 災害時
- 結婚
- 出産
- 医療費用
共済貸付は種類に応じて異なる利用条件を設けていますが、基本的には組合員であることが共通の条件です。
ただし、住宅貸付に関しては、組合員になってから1年以上の経過が必要となる点が特徴です。
これは、長期的な計画を支援するための条件であり、他の貸付オプションと異なる唯一の追加条件です。
公務員は共済貸付を通じて、低金利で様々な目的のお金を借りることが可能です。
共済貸付は使用用途が決まっている
共済貸付は特定の目的に限定された使用が前提となっています。
例えば、以下のような個人の自由な消費に共済貸付を利用することはできません。
- ギャンブル
- 生活費の補填
- 趣味
- 投資
共済貸付の目的は、公務員の安定した生活支援と特定の生活関連費用への補助です。
そのため、これらの貸付は、冠婚葬祭や住宅購入、教育費用など、具体的かつ計画的な支出のために設計されています。
一方で、消費者金融のカードローンは使用目的を問わず、より柔軟にお金を借りられます。
特に、無利息期間が設けられているサービスを利用すれば、短期間での資金ニーズに応えることが可能です。
また、公務員の安定した収入は、消費者金融における審査で有利に働くことが期待できます。
共済貸付は目的が限定された低金利のお金を借りる手段として公務員に提供されています。
しかし、より自由な資金使途を求める場合は、消費者金融のカードローンを検討しましょう。
共済組合を利用するメリット
公務員がお金を借りる際におすすめの共済組合には、以下の3つのメリットがあります。
- 低金利でお金を借りられる
- 連帯保証人や担保が必要ない
- 給料天引きで返済できる
公務員というだけで信用度が高まるため比較的審査に通りやすくなります。
それぞれのメリットを確認してみましょう。
低金利でお金を借りられる
共済組合を活用してお金を借りる方法は、公務員にとって有利な金利条件で提供されます。
他の金融機関のローン商品と比較しても、その低金利は際立っています。
具体的に、1年間で100万円を借りた場合の金利とそれに伴う利息の負担を比較してみましょう。
融資元 | 上限金利(年率) | 100万円借入時の利息 |
---|---|---|
共済組合 | 1.26% | 6,836円 |
消費者金融カードローン | 18% | 100,148円 |
銀行カードローン | 14.5% | 80,264円 |
共済組合からお金を借りる際は、たとえ1年間で100万円を借りても、利息を7,000円未満に抑えることが可能です。
一方で、消費者金融や銀行カードローンを利用した場合、利息はそれぞれ約10万円、約8万円となり、共済組合を利用することで大きな節約が期待できます。
共済組合を利用することで、公務員は低金利でお金を借りることができ、経済的な負担を大きく軽減できます。
金利の低さは、返済時の負担を減らす上で大切です。
公務員にとって共済組合からお金を借りることは魅力的な選択肢といえるでしょう。
連帯保証人や担保が必要ない
共済組合からのお金を借りる方法は、連帯保証人や担保が不要です。
連帯保証人や担保が不要な主な理由は以下です。
- 信頼性が高い
- 収入保証
- 利用目的の制限
公務員は安定した収入と低い失業リスクが特徴であり、貸し手にとって信頼度が高いです。
また、万一の返済不可能な状況でも、公務員の給与や退職金が自動的に返済資源となるため、貸し手のリスクが軽減されます。
融資の使途が限定されていることで、無計画な支出を防ぎ、返済不可能な状況を未然に防ぐことができます。
このような制度設計により、共済組合は公務員に対して、低リスクでお金を借りることが可能となります。
その結果、融資を受ける側にとっても、連帯保証人の捜索や貴重な資産の提供なしに、必要なお金を借りることができるのです。
給料天引きで返済できる
共済組合の融資を利用する際、給与から直接返済が可能です。
直接返済が不要なメリットは以下の通りです。
- 返済を忘れるリスクがない
- 返済のための手続きが不要になるため、時間と手間を節約できる
- 給与から直接引かれるため、予算超過による返済不足の心配がない
給与天引きにより返済が自動化されるため、毎月の返済を心配することなく、安心してローンを利用できるでしょう。
これにより、共済組合の融資は、公務員にとって便利でリスクの少ない選択肢と言えます。
共済組合を利用するデメリット
共済組合には以下のようなデメリットも存在します。
- お金を借りられるまでに1か月かかる
- 上司の承認が必要
- 資格が無くなれば、一括で返済しなければならない
メリットとデメリットの両方を理解したうえで、利用を検討しましょう。
お金を借りられるまでに1か月かかる
共済組合は、公務員がお金を借りるまでに時間がかかるというデメリットがあります。
具体的には、申し込みから実際にお金を借りるまでに最大で1ヶ月程度要する場合が多いです。
これは、民間のカードローンサービスが提供する即日融資や、最長でも1週間以内の融資速度と比較すると時間がかかるといえます。
今すぐお金が必要という状況の場合は共済組合よりも、即日融資を提供するカードローンの方が適切な選択肢となるでしょう。
上司の承認が必要
共済組合からお金を借りる場合は、上司からの承認を得る必要があります。
これは、カードローン等の民間融資サービスと異なり、いつでも自己の判断で融資を申し込むことができるわけではないという点で、一定の不便さを伴います。
上司によっては融資の必要性に納得してもらえない場合もあり、承認が得られないリスクがあります。
さらに、職場内での借入れが周知される可能性も否定できません。
お金を借りる場合にプライバシーを保ちたい場合は、適切なタイミングで個別に相談し、お金を借りることを他の職員に知られないようにしましょう。
資格が無くなれば、一括で返済しなければならない
共済組合の貸付利用には、組合員であることが前提条件です。
しかし、公務員を退職し組合員資格を失うと、借入金をすぐに全額返済する必要が生じます。
また、組合員としての資格を維持するためには、任意継続掛金の支払いが必要ですが、この支払いを忘れると資格を失うことになります。
そのため、特別な事情がない限りは、掛金の支払いを怠らないようにしましょう。
資格を失った場合の一括返済には、まず所属していた共済組合の担当者に連絡を取り、返済すべき残高を確認することから始まります。
その後、指定された期限内に専用の振込書を使用して残高を振り込む必要があります。
振込書や返済に関する書類は共済組合から提供され、これらに記載されている期日までに全額を返済することが求められます。
公務員が共済組合の貸付制度でお金を借りる流れ
公務員が共済組合でお金を借りる際は、以下の流れで申し込みや借り入れを行います。
- 必要書類の準備をする
- 必要書類の提出する
- 審査合格後にお金が送金される
- 返済する
それぞれの段階で行うべきことや必要な書類について、確認していきましょう。
必要書類の準備をする
公務員が共済組合から貸付を受ける際には、事前に以下の書類を準備する必要があります。
- 借用証書
- 貸付申込書
- 借入状況申告書
貸付申込書は共済組合のウェブサイトからのダウンロードか、直接共済事務担当課での受け取りが可能です。
さらに、特定の状況に応じて以下のような追加の書類が求められることがあります。
- 他社からお金を借りている場合:償還表・融資決定通知書
- 住宅貸付の利用時:印鑑登録証明書・建物の写真・団体信用生命保険への加入申込書
- 特別貸付の場合:関連する領収書・母子手帳・埋葬許可書・結婚証明書や招待状・医師の診断書・在学証明書・戸籍謄本や住民票・合格通知書や入学許可証
お金を借りる理由や条件に合わせて、必要な書類を準備し、適切に申請を進めることが大切です。
必要書類の提出する
書類の準備が完了したら、次は共済組合へ提出します。
提出方法には直接持参するか、郵送の選択肢がありますので、利便性に応じて選択してください。
また、締切日は共済組合ごとに締切日が異なるため、前もって確認が必要です。
提出期限を逃すと、お金を借りるタイミングが1ヶ月以上遅れることがあるので注意が必要です。
スムーズに手続きを進めたい場合は、締切日よりも前に書類を準備し、余裕をもって提出しましょう。
書類を提出後、審査が開始されます。
審査合格後にお金が送金される
審査を通過した後、指定された口座への振込みが実施されます。
振込は、申請者が提出した書類に記載した銀行口座に直接お金が入金されます。
共済組合による貸付では、振込みが行われる日にちは固定されており、特定の送金日にしかお金の受け取りができません。
多くの場合、申し込み月の翌月末の振込みが一般的ですが、組合によっては月の初旬や中旬に資金が振り込まれる場合もあります。
返済する
共済組合からの融資が決定し、資金が送金された後、翌月から返済がスタートします。
自治体によって異なる返済方法には、主に元利均等償還と元金均等償還の2つがあります。
- 元利均等償還:毎月一定額を返済する方法で、初期の負担を軽減
- 元金均等償還:返済額が徐々に減少していく方式で、総返済額を少なくできる
返済方法は組合によって選べる場合が多く、自分の返済計画に合わせて最適な方法を選択することが重要です。
毎月の給与からの自動引き落としで返済が行われ、ボーナスからの返済を選ぶことも可能です。
繰り上げ返済を希望する場合は、繰上返済申出書を提出する必要があります。
この書類は各自治体の公式サイトから入手できるため、繰り上げ返済を検討している人は、事前に準備を進めましょう。
消費者金融や銀行のローンとの違いは?
消費者金融や銀行ローンとの主な違いは、以下の2つです。
- 法律
- 金利
それぞれどのように異なるのか、確認してみましょう。
法律
消費者金融は貸金業法のもとで運営され、借り手の保護を強化する総量規制などの規則が設けられています。
これは貸出金額が年収の一定割合に制限されることを意味し、消費者の過剰な借入を防ぐ目的があります。
対照的に、銀行は銀行法の管轄下で業務を行い、預金や融資に関する基準を設定しており、こちらは総量規制の適用を受けません。
一方、公務員専用の共済貸付は、公務員の安定した収入を背景に低利で提供されることが多く、利用時の手続きも簡潔であるため、急な資金ニーズに応じやすい構造となっています。
公務員が資金を借りる際には、これらの金融機関の違いを把握し、自身の状況に合った最も適切な方法を選ぶようにしましょう。
金利
金融機関を選ぶ際は、金利は重要な要素です。
消費者金融のカードローン金利は利息制限法に基づいて、通常年率18.0%近辺に設定されることが多く、これは法律で定められた上限値です。
対して、銀行のカードローンは、多くの場合は15.0%以下の金利で提供されることが一般的です。
公務員共済組合が提供する共済貸付は、公務員という安定した職業を持つ人々のための制度であり、民間の金融機関のローンよりもさらに低い金利で提供されます。
この低金利は公務員の福利厚生の一環として提供されるため、経済的な負担が軽減され、長期的に見ても返済総額が大きく減少する可能性があります。
公務員の方々がお金を借りる際には、金利の低さを考慮に入れることが大切です。
そのため、お金を借りる条件として金利が低い共済貸付は、公務員にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
記事まとめ
公務員が利用できるお金を借りる手段はさまざまですが、共済組合を通じた貸付は低金利と手軽さで魅力的な選択肢です。
また、お金の用途や借りる条件に応じて、銀行ローンや消費者金融のカードローンも適切な選択となり得ます。
これらは即日融資や大きな金額の融資ニーズに応える点で優れています。
最終的には、どの融資方法がご自身のニーズに最も合うものを見極めることが大切です。
利便性や金利、融資速度など、優先すべき点を考慮しながらお金を借りる方法を選択しましょう。