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親からお金を借りるときの理由の伝え方とは?贈与税に関する注意点も解説
親からお金を借りるときの理由の伝え方とは?贈与税に関する注意点も解説
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親からの借入を成功させ、かつ贈与税の発生を防ぐためには、説得や書類作成を適切に行うことが重要

お金に困ったときに銀行や消費者金融で借りる方法もありますが、その前に検討したいのが親から借りる方法です。

親からお金を借りることができれば、消費者金融のように金利が高くなる心配がありません。また、万が一返済が滞った場合でも、厳しく返済を求められることもないでしょう。

これらのメリットがあるので、お金を借りる際には親から、というのは有力な選択肢です。

しかし、親からお金を借りる際にはその理由をどのように伝えるか、説得方法について悩む場合も多いです。

また、場合によっては親から子供にお金をあげた、とみなされ贈与税が発生する場合があり、注意する必要があります。

そこで、この記事では親からお金を借りる場合の説得方法や、贈与税が発生しないための対策方法などを解説していきます。

説得するための理由の伝え方

説得するための理由の伝え方

親を説得する際に、年代に応じて適したやり方が存在します。ここでは年代別のおすすめの説得方法を紹介するので、参考にしてみてください。

中学生〜高校生の場合

中学生から高校生が親からお金を借りるためには、勉強に必要だからというのが最も説得力があるでしょう。

文房具や参考書、勉強に必要なアプリへの課金など、学習に必要な費用であれば快く貸してもらえる可能性も高いです。

ただし、本来は別の用途で使うにもかかわらず、勉強に必要と嘘をついてお金を借りるのはよくありません。

もしも借りたお金を他の用途に使ってしまい、勉強に使ったと嘘をついた場合、レシートを見せるように求められた際にすぐにバレてしまいます。

勉強以外の用途に利用するのであれば、できるだけ正直にお金の使い道を話すといいでしょう。

大学生の場合

大学生の場合は、実家に住んでいるか一人暮らしかで最適な方法が変わります。

  • 実家に住んでいる場合
    実家に住んでいる場合は、中高生と同様「勉強に時間がかかる」という理由がもっとも納得してもらいやすいでしょう。
    「専門書を買いたい」「英会話を習いたい」「レポートの作成のために資料が必要」など、使い道が明確だと説得力が高まります。
  • 一人暮らししている場合
    一人暮らしをしている場合は、「生活費が苦しい」という理由であればお金を借りやすくなります。
    「食費が足りない」「家賃が払えない」などと言えば、親としては助けてくれる、もしくはお金をくれる可能性も高いでしょう。

このように実家に住んでいるか一人暮らしに住んでいるかによって、状況にあった理由を親に伝えるとお金を貸してもらえる可能性が高まります。

ちなみに実家か一人暮らしにかかわらず、サークルや部活に所属している場合は、「活動費用が欲しい」という理由も説得力があります。

社会人の場合

社会人の場合には、親をしっかり納得させるためには、具体的な理由と返済計画を伝えるのが重要です。

たとえば、「資格を取りたいから学習費用が欲しい」「同僚の結婚式のご祝儀を出すための費用が足りない」など、将来につながる投資であれば、親も了承しやすいでしょう。

また、マイホームを建てる際の頭金などの相談も、お金を借りる理由としては納得しやすい理由といえます。

一方で、不適切な理由で親からお金を借りるのは避けるべきです。

特に親からお金を借りる理由がギャンブルの場合には、トラブルに発展するリスクがあるのでおすすめできません。

こういった理由で借りる場合には、必ず約束通りお金を返済し、人間関係にヒビが入らないように気を付けましょう。

専業主婦・主夫の場合

専業主婦や主夫の方がお金を借りる場合、親に頼む前に、まず自分たちで解決策を考えることが重要です。

いきなり親を頼ってしまうと、「配偶者に頼ればいいのでは?」「自分が働けばいいのでは?」と思われてしまう可能性が高くなります。

そのため、配偶者の方と話し合い、家計の見直しやアルバイトなどの対策をし不足分を補う努力をすべきです。

そのうえで、どうしてもお金が足りない場合は、理由をきちんと説明して頼むことで親が納得してくれるかもしれません。

借りる際の理由としては、「子供の学費が足りない」「出産費用が必要」など、やむを得ない理由であれば借りやすくなるでしょう。

親からお金を借りる際に知っておきたい贈与税の知識

親からお金を借りる際に知っておきたい贈与税の知識

親からお金を借りる際に、場合によっては贈与税という税金が発生する可能性があります。

なぜ親から借りるお金に対して、課税される可能性があるのかについて説明していきます。

贈与税とは

贈与税とは、他人から財産を贈与されたときにかかる税金のことです。

年間110万円までであれば贈与税は発生しませんが、他人から110万円を超える金額を受け取った場合に、超過分に対して贈与税が発生します。

親からお金を借りた際に、その金額が110万円を超えている場合、借用書を作るなどの対策をしないと、贈与とみなされ贈与税が発生する可能性があります。

一人暮らしの子供への仕送りは贈与税の対象外

親から子供にお金を送ると、そのお金は贈与税の対象となります。

しかし、例外として1人暮らしの子供に対しての生活費や教育費の仕送りは、贈与税の対象外となっています。

大学生の子供への仕送りなどで、毎月一定金額が送金されている場合、贈与であると指摘され税金が発生する心配はいらないでしょう。

しかし、親からまとまった金額を借入する場合には、一括で大きな金額を受け取ることになるため贈与とみなされる可能性が高くなります。

親からお金を借りる前に考えるべきことや注意点

親からお金を借りる前に考えるべきことや注意点

親からお金を借りる際には、考えるべきことや注意点が存在します。

これらのことを知らず、親だからと言って気軽にお金を借りると、後で後悔することになりかねません。

親からお金を借りる前に、これから紹介する注意点を把握しておきましょう。

親からお金を借りることには精神的な負担がある

親からお金を借りると高い利息が発生せず、滞納しても柔軟な対応が可能なため、カードローンを利用するよりも気楽なイメージがあるでしょう。

しかし、実際には精神的な負担が大きいので、あらかじめ知っておく必要があります。

親は身近な存在だからこそ、業者などから借りた時以上に、お金を借りたことに対して申し訳ない気持ちを感じやすく、全額を返済するまでそれが続きます。

まして、親と同居している場合には、食事や洗濯などの身の回りのケアをしてもらうたびに、「お金を借りているのに申し訳ない」という気持ちが強くなる場合もあるでしょう。

また、もしも返せなかった場合には、親との人間関係にヒビが入るリスクも考えられます。

このように親からお金を借りる場合には、特有の精神的負担が存在します。

親だからといって気軽にはお金を借りられない可能性が高いので、その点を事前に理解しておくべきでしょう。

親に大きな心配をかけてしまう

親にお金を借りると、当然のことながら大きな心配をかけることになります。

学生であればお小遣いや仕送り、奨学金の範囲内で生活するのが一般的です。社会人であれば、収入の範囲内でやりくりするのが当然です。

そのため、親にお金を借りるということは、生計の立て方に問題があるかもしれないという印象を与えかねません。

場合によっては「お金の管理ができないのでは?」と親が将来を心配に感じてしまう可能性もあるでしょう。

特に、社会に出たあとに親に借金を頼む場合、お金の管理能力のなさを深刻に心配される可能性が高くなります。

場合によってはお金を借りる理由や経済状況について、親から何度も追及され口論や人間関係の悪化に発展する恐れもあります。

大きな心配をかけるだけでなく、家族間の関係に亀裂が入る場合もあるので、こういったリスクが存在することをしっかりと理解しておくべきでしょう。

贈与税の未納は簡単にバレる

親から大きな金額を借り、お金の移動が生じると贈与税が発生してしまいます。

具体的には親から110万円以上を借りた場合に、超過分に対して納税の義務が生じます。

親子間のお金の移動に税金がかかるという意識がない方もいるかもしれませんが、実は税務署は親族間のお金の移動を厳しくチェックしており、口座間の高額の移動は高確率でバレます。

贈与税の納税は贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までに自分から申告するべきですが、贈与税の存在を知らないと、滞納してしまう場合があります。

その場合、本来の税額に追加し、以下の延滞税を納める必要があります。

  • 納税期限から2ヶ月までの期間は、7.3%または特別基準利率+1%の低い方
  • 2ヶ月を過ぎた期間は、14.6%または特別基準利率+7.3%の低い方

このように、贈与税を適切に納めないと、本来払わなくてよいお金を払わなければいけなくなるので注意が必要です。

引用元:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁, No.9205 延滞税について|国税庁

親からお金を借りる際に行うべく対策

親からお金を借りる際に行うべく対策

親からお金を借りる際に対策をしないと、贈与税が発生する可能性がります。

税金の発生を防ぐためには、お金を借りる際に適切な対策を行う必要があります。

ここでは、行うべき対策を紹介するので、お金を借りる前に押さえておきましょう。

親族であっても借用書を作るべき

親からまとまった金額を借りる場合に、贈与税の発生を避けるためには借用書を作る必要があります。

借用書を作成することで、贈与ではなく借り入れであると示せるようになるので、贈与扱いされず税金がかからなくなります。

借用書を作る際は、法的に有効な内容にするために、以下の内容をしっかりと記載する必要があります。

  • 契約日の日付
  • 貸主の氏名
  • 借入金額
  • 契約に係る文章
  • 返済期日
  • 利息や延滞損害金
  • 返済方法
  • 借主の住所と署名捺印
  • 収入印紙を貼る

これらを明記しないと、無効な書類となってしまい、贈与税が発生する可能性が高くなります。

上記の必要事項をしっかりと記載し、有効な書類になるように配慮しましょう。

返済の証拠を残す

贈与ではなく借金だということは、定期的に返済をしているのが当然です。

銀行や消費者金融などでお金を借りたときのことを考えれば、借り入れは定期的に返済するのが当然ということはよくわかるでしょう。

そのため、親から借りたお金についても定期的に返済しその証拠を残すことが、贈与とみなされないためには重要です。

返済は手渡しではなく、親の銀行口座への振り込みで行うのが望ましいです。

このときに入金する口座は、必ず親の名義の口座にする必要があります。

こうすることで、税務署から問い合わせがきたときに、返済実績を示し、贈与ではなく借り入れであることを説明できます。

金利を必ず設定する

お金を借りた場合には金利が設定され、利息を上乗せして返済するのが当然です。

そのため、親からお金を借りる際にも、金利を設定し借入であることを示せるようにすることが重要です。

これを怠ると贈与だとみなされる可能性があるため、必ず金利を設定するようにしましょう。

ちなみに金利については、親子間での借り入れなので一般的なローンと同じ水準にする必要はありません。

目安としては1%程度を目安に、適当な金利を設定するようにしてください。

返済の期限を設ける

返済の期限を設けるのも重要です。

出世払いや返済期限なしといった、返済条件が明確でない借り入れは、返済の必要がないという解釈になり贈与とみなされる可能性があるからです。

借り入れは貸したお金を回収する前提で行われるので、返済期限が定められていない場合は、実質の贈与と判断されます。

親から借りたお金が税務署によって贈与だと判断されないようにするためには、現実的な返済期限を設定し、明確に借入であることを示す必要があります。

たとえば、200万円を月々1万7千円ずつ10年間で返済するような具体的な計画を立てると、贈与ではなく借入と判断される可能性が高くなります。

このように返済計画を作成し、実際に決めた通りの金額を毎月親の口座の振り込むことで、返済実績を作るといいでしょう。

借りる金額は返済できる範囲にとどめる

契約を結び金利を設定しても、金額が現実的に返済できる範囲を超え返済実績を作れなくなってしまうと、贈与と判断されてしまいます。

例えば1,000万円を親から借りる場合、これを5年で返済する場合、毎月約16万6千円を返済することになります。

この金額が返済可能であればいいのですが、月々の金額が多すぎる場合には返済が滞ってしまい、返済実績を作れなくなります。

その結果、最終的には贈与とみなされてしまい、贈与税が発生する場合があります。

確実に返済実績を作るためには、親から借りる金額を月々の返済が可能な範囲にとどめるようにしましょう。

記事まとめ

記事まとめ

親からお金を借りる際には、自分が学生なのか会社員なのかなどの状況に合わせて、納得しやすい理由を伝えると成功しやすくなります。

また、親から借入が可能であっても、借用書の作成などを適切に行わないと、借入ではなく贈与と見なされてしまい税金が発生する恐れがあります。

親からの借入を成功させ、かつ贈与税の発生を防ぐためには、説得や書類作成を適切に行うことが重要です。

説得に失敗したり贈与税が発生したりといった事態を防ぐためには、この記事を参考に重要なポイントを押さえるようにしましょう。

監修者プロフィール
菱村真比古
菱村真比古
ファイナンシャルプランナー
10種の金融資格と中高の教員免許を持つ異色のファイナンシャルプランナー。NISA、住宅ローン、社会保障制度などが複雑に絡み合うライフプランを明快シンプルに紐解きます。中でも《菱村式老後資金計算法》は将来に不安を抱える子育て世代に好評。生命保険と金融サービス業界の最高水準として世界中で認知されている独立組織MDRTの正会員。『お金のエキスパート』として講演や営業マンの育成など幅広い領域で活動している。

【資格情報】
・住宅金融普及協会 住宅ローンアドバイザー
・日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー
・生命保険協会認定トータルライフコンサルタント
・CCAA クレジットカードアドバイザー
・相続診断協会認定 相続診断士 
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