
消費者金融の督促とは「返済を促す通知」のこと!法的な位置づけと他の書面との違いについて
「消費者金融から督促が来たけど、これってどういう意味?」
「無視したらどうなるの?」
そんな不安や疑問を抱えている債務者の方は少なくありません。
督促とは「返済の遅れを知らせる通知」であり、放置しているとさまざまなリスクが起こります。一方、正しい知識と対処法を知っていれば、必要以上に怖がる必要はありません。
この記事では、督促が来る仕組みや通知の種類、無視した場合に起こりうるリスク、そして具体的な対処法まで詳しく解説します。
督促が来たときの対処法を知っておきたい方や、実際に督促通知が届いてどうすれば良いか迷っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
消費者金融の督促とは返済を促す通知のこと
消費者金融からの督促とは、返済期日を過ぎても支払いが確認できない場合に、債務者へ支払いを促すために送られる通知を指します。
「督促」と聞くと怖い印象を想像しがちですが、早期に対応すれば大きなトラブルは防げます。
消費者金融にとっても、円満に返済してもらうほうが負担は少ないため、滞納初期であれば厳しい督促は実施しません。電話等で直接問い合わせたとしても、通常時と同じように丁寧な対応を受けられるでしょう。
督促が来るのはいつ?滞納後の流れ
督促が開始されるタイミングは、返済期日の翌日以降が一般的です。遅くても数週間以内には、督促の連絡が行われます。
滞納時における消費者金融からのアクションを時系列順で並べると、以下の通りです。
- 1日目~:追加借入の停止、遅延損害金の発生
- 数日後~:電話やメール、書面での督促
- 数週間後~:催告状の送付(法的措置の予告)
- 2か月後~:一括返済の請求
- 3か月後~:法的措置への移行、差し押さえ
消費者金融によって具体的な時期は若干異なりますが、催告状の送付から相手方の態度が厳しくなり、文面も強くなります。
事態を悪化させないためには、督促の段階で滞納を解消することが理想的です。
通知はどんな形で来る?
督促は、返済遅延の程度や債務者の対応状況に応じて、さまざまな形で届きます。
最も一般的なのは、携帯電話や自宅への「電話連絡」です。これに加え、最近ではショートメッセージ(SMS)やメールでの通知も増えており、利便性と迅速さを重視した手段が取られています。
さらに、連絡が取れない場合や長期間滞納が続いた場合には、「督促状」という書面が郵送で届きます。これらの督促は、債務者から何らかの返答があるまで続き、繰り返し行われるのが一般的です。
数回の督促も放置していると、催告書の送付や法的措置に移行します。
督促状と催告書の違い
督促状と催告状はいずれも返済を促す書面ですが、それぞれ意味合いが異なります。
督促状は、滞納の初期段階で送付されることが多く、「支払いが遅れているので早急に対応してください」という趣旨の文書です。一方、催告状はより強いを意味合いが込められており、無視した場合には法的措置を取る可能性が示唆されています。
つまり、催告状が届いた時点で状況はかなり深刻化しており、訴訟や財産差し押さえといった次のステップに進む可能性が高くなっています。
督促と支払督促の違い
督促と似た言葉に「支払督促」がありますが、その意味合いは大きく異なります。
督促はあくまで「消費者金融が債務者に対して任意で行う催促」ですが、支払督促は裁判所が関与する正式な法的手続きです。
支払督促は以下の流れで行います。
- 債権者(消費者金融)が簡易裁判所に申し立てる
- 簡易裁判所の書記官が債務者に支払いを命じる書面を送付する
- 債務者の対応により、支払い、訴訟(異議申し立て)、強制執行(差し押さえ)に分かれる
支払督促が届くと、消費者金融の請求通りに支払うか、異議申し立てにより訴訟へ移行するかを選ばなければいけません。放置していると、最終的には強制執行(差し押さえ)が行われます。
督促ならまだ交渉の余地がある段階で、支払期限の延期なども対応してもらえる可能性があります。一方、支払督促はすでに法的措置に入っている段階であり、交渉による解決は難しいと考えましょう。
消費者金融の督促を無視するリスク
消費者金融から督促が来たとき、「怖くて何もできない」「返済できないから見なかったことにしたい」と感じてしまう方は少なくありません。
しかし、消費者金融からの督促を無視し続けることは、以下に挙げるようなリスクがあり、事態を確実に悪化させます。
- 遅延損害金が発生する
- 信用情報に登録される
- 一括返済を請求される
- 法的措置に移行する
- 財産や給料が差し押さえられる
ここからは、督促を無視した場合にどのようなリスクがあるのかを、具体的に解説します。
リスク1.遅延損害金が発生する
消費者金融の返済期日を過ぎると、滞納した日数に応じて「遅延損害金」が発生します。
遅延損害金の利率は契約に基づいて決定されますが、基本的には通常の金利より高く設定されます。消費者金融の場合、法律上の上限である年20%か、それに近い利率が一般的です。
仮に100万円を借りている場合、年率20.0%なら1か月間で1万2千円の遅延損害金になります。借入額が大きければそれだけ遅延損害金の額も増え、返済総額が膨らんでしまいます。
リスク2.信用情報に登録される
消費者金融の督促を無視して滞納し続けると、信用情報※に登録されるため注意が必要です。
※信用情報…クレジットカードやローンの利用状況などをまとめた情報。国指定の機関が管理し、金融機関に共有される。
滞納や破産などの情報は「事故情報」として扱われ、金融機関の審査で不利になります。具体的には、クレジットカードやローンの利用、携帯電話の分割購入などが基本的にできません。
事故情報は延滞が解消されてからも数年は残るため、生活に長期的な影響を及ぼす可能性があります。
リスク3.一括返済を請求される
消費者金融との契約では、返済の遅れが一定期間続くと分割払いの権利を失い、残りの借入金を一括で返済するよう請求されます。これを「期限の利益の喪失」といいます。
例えば毎月2万円ずつ支払う予定だったとしても、借入残高が20万円なら、全額を一括で支払わなければなりません。
一括返済は多くの方にとって現実的に応じるのが難しく、ますます支払い不能の状態に陥ります。分割払いの権利を失わないよう、督促を受けたら速やかに支払いを済ませましょう。
リスク4.法的措置に移行する
消費者金融の督促を無視し、なおかつ支払いも行わないままでいると、最終的には法的措置に移行します。
具体的な手続きは、以下の通りです。
法的措置の種類 | 内容 | 管轄裁判所 | 出廷の有無 |
---|---|---|---|
支払督促 | 債権者の申し立てに基づき、書記官が支払いを命じる書面を送付 | 簡易裁判所 | 命じられた通り支払うなら書面で完結、異議を申し立てるなら訴訟へ移行 |
訴訟 | 裁判所で審理を行い、判決によって強制的に解決方法を決定する | 簡易裁判所または地方裁判所 | 出廷が必要 |
少額訴訟 | 簡易的な審理で判決を行う(借入額が60万円以内の場合のみ可能) | 簡易裁判所 | 出廷が必要 |
一般的には支払督促から行われますが、どの手続きを取るかは消費者金融の判断によるので、最初から訴訟を起こされる可能性もゼロではありません。
いずれの措置も、対応せず放置していると相手方の主張が一方的に認められる恐れがあります。弁護士などに相談し、適切な対応を取りましょう。
リスク5.財産や給料が差し押さえられる
裁判で負けた後も支払いに応じなかった場合、最終手段として「差し押さえ」が実行されます。
差し押さえは債権者が裁判所に申し立てることで実行され、債権者に拒否権はありません。生活に最低限必要な財産以外はすべて差し押さえ対象となり、銀行口座の預金や給与の一部、不動産や車なども回収されます。
また、差し押さえが行われると周囲に知られる知られる可能性も高く、信用やプライバシーにも大きなダメージが及びます。
差し押さえになった場合、経済的にも社会的にも大きな損失につながると考えましょう。
消費者金融の督促通知が来たときの対処法
消費者金融の督促を無視していると、状況は刻一刻と悪化し、解決は非常に困難となります。
問題を深刻化させないためには、迅速かつ適切な対処が大切です。
ここからは、消費者金融から督促通知が届いたときの具体的な対処法を解説します。
まずは速やかに消費者金融へ連絡
督促通知を受け取ったら、まずはできるだけ早く消費者金融に連絡を取りましょう。
督促通知を無視し続けると、相手側は「支払う意思がない」と判断し、機械的に法的手続きへ進みます。一方、「支払う意思はあるが現時点では厳しい」と正直に伝えることで、返済期日の延長や分割払いの調整といった対応を受けられるかもしれません。
後ろめたいからといって何もしないのは逆効果なので、なるべく早めに相談してみましょう。
指定された期日までに返済を行う
もし支払いの目処が立っているのであれば、督促で指定された期日までに必ず返済しましょう。期日を守ることで、信用の回復にもつながります。
自分のほうから「〇日に入金します」と伝えるだけでも、消費者金融側の印象は良くなります。
なお、滞納後の返済はいつもと支払い方法が異なる場合があるため、事前に確認しておきましょう。
返済が不可能な場合は債務整理も検討
どうしても返済ができない、あるいは他にも複数の借金があり返済の見通しが立たない場合は、弁護士や司法書士に相談して「債務整理」を検討しましょう。債務整理とは、法的手続きなどで借金を減額もしくは免除する方法です。
債務整理は主に3種類に分けられ、状況に応じて最適な方法を選びます。
債務整理の種類 | 内容 |
---|---|
任意整理 | 債権者と交渉し、利息カットや分割払いの調整を行う |
個人再生 | 裁判所に申し立て、借金を1/5~1/10にしたうえで分割払いにする |
自己破産 | 裁判所に申し立て、借金の返済義務を免除する |
例えば任意整理であれば、利息のカットや返済期間の見直しにより、生活再建が可能です。
ただし、債務整理には事故情報の登録や財産の処分などデメリットもあるため、弁護士などとしっかり相談してから実行するか判断しましょう。
まとめ
消費者金融の督促は、あくまで返済の遅れを知らせるための連絡であり、滞納からまだ数日しか経っていなければ交渉の余地があります。
重要なのは、通知を無視せず、冷静に内容を確認して対処することです。早い段階で連絡を取り、誠意ある態度を示せば、消費者金融側も柔軟に対応してくれるケースは少なくありません。
一方で、督促を無視し続けると信用情報への悪影響や一括返済の請求、裁判手続き、最終的には財産や給与の差し押さえといったリスクへと発展します。放置すればするほど回避が困難になるため、速やかな対応が大切です。
もし返済が難しい状況であれば、自分ひとりで抱え込まず、弁護士や司法書士などへの相談も視野に入れましょう。債務整理などの法的な救済措置で、生活を立て直せる可能性があります。
消費者金融から督促が来たからといって、「人生お先真っ暗」と諦める必要はありません。そのときの状況に応じて最適なアクションを取れば、負担を最小限に抑えられます。