生活保護受給者はカードローン審査を通過・利用することは可能なのか
やむを得ない事情で生活保護を受けていても、更にお金が必要となってしまった場合、カードローンを利用したいと思ったことはありませんか?
この記事では、生活保護を受けている方が、カードローン審査を通過できるのか、カードローンの利用がバレると、どうなってしまうのかについて解説します。
生活保護でもカードローン審査を通過できるのか
生活保護受給者は、最低限度の生活を守るため、国や地方自治体からお金が支給されています。
そのため、カードローンの審査時には、安定した収入がない(返済困難)と判断されてしまうので、通過するのは難しいのが現状です。
生活保護を隠したら審査に通過できるのか
カードローンは、借入額が50万円以下の場合、収入証明書の提出が不要なので、生活保護受給者であることを申告しなければ、審査に通過できる可能性はあります。
仮に、借入者が働いていない場合でも、職業欄を「フリーランス」や「個人事業主」と入力し、電話番号を自宅にしてしまえば、怪しまれることはありません。
しかし、生活保護受給者は、カードローンの利用が「収入」とみなされてしまうので、ケースワーカーにバレると、収入状況を再調査されてしまいます。
その際、カードローンの利用状況によっては、生活保護費の打ち切りや減額、罰則を受ける可能性があります。
【生活保護を隠して審査に通過する方法】
- 借入希望額を50万円以下の設定にする
- 生活保護受給者であることを申告しない
- 職業欄を無職にしない
- 銀行カードローンは利用しない
ケースワーカーにバレない方法
生活保護受給者は、カードローンの審査に通過できたとしても、振り込み履歴でケースワーカーにバレることがあります。
なぜなら、ケースワーカーは、定期訪問の際に、通帳を確認することがあるからです。
万一、キャッシングを行う際は、ケースワーカーが振り込み履歴を確認できない「ATMからの現金引き出し」を選択すると、隠せてしまうかもしれません。
カードローン利用がバレた場合
生活保護受給者は、カードローンを利用してお金を借りた場合、借入額が「収入」とみなされるため、生活保護費の減額対象になります。
もしも、ケースワーカーに隠して「借り入れ」や「返済」を行った場合は、生活保護を受けられなくなるリスクや、厳しい罰則を伴うことがあります。
不正内容 | 罰則内容 |
---|---|
申告漏れ | 余分に受給した生活保護費を全額返還 |
意図的に隠した | 生活保護費の全額返還と罰金 |
さらに悪質と判断 | 3年以下の懲役または100万円以下の罰金(詐欺罪) |
申告漏れ
申告漏れは、生活保護法第63条(費用返還義務)に基づいて、それまでに交付された金額の範囲内で、保護の実施機関が定める額を返還しなければなりません。
意図的に隠した
意図的に隠した場合は、生活保護法第78条1項に基づいて、保護費の全額または一部の徴収に加えて、徴収金に100分の40も加算して徴収できます。
さらに悪質と判断
さらに悪質と判断した場合には、生活保護法第85条に基づき、不正な手段で保護を受けたとして、3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処されます。
カードローン以外でお金の相談ができるところ
生活保護受給者は、カードローンを利用できないと、急にお金が必要になった際、どうしたら良いか困ってしまいます。
ここでは、生活保護受給者が、カードローン以外でお金の相談ができる「公的な窓口」をご紹介します。
公的貸付制度
公的貸付制度は、生活保護受給者であっても、申請条件を満たしていれば、一時的にお金を借りれられる「公的な融資」です。
公的貸付制度では、返済時の負担が少ないように、消費者金融よりも低金利だったり、無利子で融資を行なっています。
公的貸付制度の種類 | 対象者 |
---|---|
生活福祉資金貸付制度 | 低所得者世帯 障害者世帯 高齢者世帯 |
求職者支援資金融資制度 | ハローワークで求職者支援資金融資要件確認書が交付されている人 職業訓練受講給付金の支給要件を満たしている人 |
勤労者生活支援特別融資制度 | 提供している自治体に住んでいて 中小企業勤務の人 勤務先の業績悪化・収入減少 ・リストラ(倒産)・離職した人 |
東京都中小企業従業員 生活資金融資制度 |
都内在住もしくは在勤している中小企業従業員 都内で家内労働に従事する人 |
教育一般貸付 | 入学もしくは在学する子どもがいる低所得世帯の保護者 |
教育支援資金 | 低所得者世帯の高校生・大学生・専門生 |
看護師等修学資金 | 看護師養成施設に在学中で看護業務に従事する意思がある人 |
日本学生支援機構奨学金 | 大学・大学院・短大・高等専門学校(高専) 専修学校(専門課程)で学ぶ意思がある人 |
母子父子寡婦福祉資金貸付金 | 20歳未満の子どもを育てる母子家庭もしくは父子家庭の児童 父母がいない児童 寡婦が扶養している子ども |
女性福祉資金 | 都内に6ヶ月以上住んでいて配偶者がいない女性 |
臨時特例つなぎ資金貸付制度 | 生活保護の支給が開始してなくて家がない離職者 |
日本政策金融公庫 | 小規模事業者 中小企業の経営者 |
※一部、生活保護受給者対象外の制度あり
生活保護の一時扶助
生活保護の一時扶助は、生活費などが一時的に足りなくなった場合、生活保護費とは別に、
足りないものの費用や現物支給をする制度です。
注意点としては、申請時に領収書などの提出が必要になるので、事前に窓口で確認しておくと、スムーズに利用できます。
【一時扶助の対象】
- 被服費
- 移送費
- 家具什器費
- 住宅維持費
- 転居時の敷金
- 家財保管 / 処分料
- 入学準備金
- 就労活動促進費
- 妊婦定期検診料
- 眼鏡や杖などの治療材料
- 配電 / 下水道設備費
- エアコン
- その他
まとめ
本記事では、やむを得ない事情で生活保護を受けていても、更にお金が必要になってしまった場合、バレることなくカードローン審査に通過・利用できるのかをご紹介してきました。
生活保護を受けている場合は、カードローンで借り入れたお金が「収入」とみなされてしまうため、生活保護費の減額や打ち切り、罰則の対象になります。
お金の借り入れを検討する際は、収入とみなされずに、ばれる心配がない「公的貸付制度」を利用してみては、いかがでしょうか?