カードローンは確定申告できる?返済と経費計上について解説
カードローンの借入金がある人は、確定申告時に経費として計上できないか、気になるのではないでしょうか。
カードローンの借入金(元金)は原則として経費に計上できませんが、「利息分」は経費に計上できる可能性があります。
利息を経費計上できるかどうかは、プライベートの借入か事業用の借入かなどの条件があるため、よく確認することが大切です。
この記事ではカードローンの借入金を確定申告できる事例や、具体的な確定申告の方法について解説します。
個人事業主や中小企業がすぐに実践できる節税方法もお伝えするので、所得税を減額したいという人は参考にしてみてください。
カードローンの借入金は確定申告できないのが原則
カードローンの借入金(返済額の元金部分)は、原則として確定申告で経費計上できません。
確定申告で経費にできるのは借入金の「利息部分のみ」となります。
なぜなら借入金は金融機関にただ返済するだけのものであり、事業の売上につながる費用ではないからです。
また、借金返済のための借入金を経費で計上すると、借入金で購入した備品などの費用と二重計上することになります。
加えて、利息でもマイカーローンや住宅ローンのようなプライベートに関するものは、経費計上できないので注意しましょう。
カードローンの借入金で備品などを購入した場合は、借入金で購入した設備や不動産などを経費に計上できます。
確定申告で利息部分を経費計上すれば、その分税金の控除が受けられます。
カードローンの借入金は経費計上できませんが「借入金の利息部分」は経費計上できることを覚えておきましょう。
借入金ではなく「借入金で支払った経費」は計上できる
借入金そのものは経費計上できませんが、借入金で支払った業務上の経費は計上できます。
例えば、
住宅ローンで購入した自宅の一部を事務所として使っている場合、仕事で使用している割合に応じて経費計上できる可能性が高いです。
延べ床面積100㎡で家賃が10万円の住宅に住み、仕事で使う床面積が20㎡だった場合、「10万円×20㎡/100㎡=2万円」を経費で計上できます。
他にもカードローンの借入金で以下のケースに当てはまる場合は、経費計上できる可能性があります。
- 借入金でパソコンなどの備品を購入した
- 事務所の家賃や光熱費を借入金で支払った
- 借入金を接待費用に充てた
ここで紹介した事例はあくまで一例であり、仕事内容や仕事の仕方によって適用されるかどうかは異なります。
自分の事業がどれくらい経費にできるかを知りたい方は、税理士に相談してみてください。
事業用資金の借入なら利息は経費計上可能
事業用資金の借入なら、利息を経費に計上できるケースがあります。
なぜなら事業の売り上げにつながるための設備投資や運転資金として、借入の際にかかった「コスト」として認められるからです。
国税庁では、必要経費にできる金額を以下のように定めています。
- 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
- その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
「その費用が売り上げを生み出したか」が、経費になるかどうかの判断基準です。
カードローン利息を確定申告する方法
カードローン利息を確定申告する方法は「白色申告」と「青色申告」の2種類です。
白色申告は簡易に申告できる反面、税制上の優遇を受けられません。
青色申告は提出書類が多く複式簿記で帳簿をつける必要がありますが、税制上の優遇を受けられます。
具体的には、最大で65万円控除(簡易簿記の場合は10万円控除)の青色申告特別控除が利用可能です。
ただし、青色申告をするためには、申告する年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」と「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出が必要なので注意しましょう。
ここから、白色申告・青色申告でカードローン利息を確定申告する方法と必要書類について解説します。
確定申告する方法①e-Taxで提出する
電子データとして作成した確定申告書を、パソコンやスマートフォンで申込みます。
どちらもマイナンバーカードに加えて、マイナンバーカードの読み取りに対応するスマートフォンまたはICカードリーダーが必要です。
また、税務署から事前に発行されたID・パスワードを利用する「ID・パスワード方式」で電子申告もできます。
実際にパソコンやスマートフォンを利用するときは、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で書類作成・申告を行いましょう。
確定申告する方法②税務署で書類を手渡しする
確定申告書や収入の証明書類などを用意して、税務署でカードローンの確定申告を行う方法です。
税務署の開庁時間は、月曜日から金曜日(祝日などを除く)の「午前8時30分から午後5時まで」となります。
確定申告書を提出すると捺印された控えの受取が可能です。
確定申告書の控えはカーローンや住宅ローン、奨学金などの申請で必要になります。
個人事業主にとって収入を証明する重要な書類になるので、大切に保管しましょう。
確定申告する方法③税務署あるいは業務センターへ書類を郵送する
確定申告書や添付書類を、税務署あるいは業務センターに郵送する方法です。
控えが必要な人は、控えの確定申告書類と切手を貼付けした返信用封筒を同封してください。
返信用封筒に自宅の住所を記入しないと、控えが届かない恐れがあるので、提出前にしっかり確認しましょう。
確定申告する方法④確定申告ソフトで提出する
確定申告ソフトを利用すれば、簿記や会計の知識がなくても簡単に確定申告ができます。
クレジットカードや銀行口座と連携することで、仕訳作業がスムーズになり非常に便利です。
製品によってはスマートフォンに対応しているため、場所や時間に囚われず気軽に申告できます。
白色申告の必要書類
白色申告で必要になる書類は以下の5種類です。
- 確定申告書
- 収支内訳書
- 各種控除に関する証明書
- 本人確認書類・マイナンバーカード
- 還付金を受け取るための銀行口座番号
「各種控除に関する証明書」の中には、提出する際に添付が必要なものもあります。
なお、電子申告のe-Taxを利用する場合は、一部の書類提出が省略可能です。
ここから、白色申告に必要な書類の内容についてお伝えします。
確定申告書
確定申告書とは、確定申告の方法に関わらず必ず提出する書類で、第一表と第二表が必要です。
テンプレートは国税庁のWebサイトなどでダウンロード可能です。
収支内訳書
収支内訳書とは、帳簿をもとに前年の1年間の収入・支出をまとめた書類のことです。
収支内訳書の作成方法は以下の4通りがあります。
国税庁のWebサイトからダウンロードする | 確定申告時期が近づくと、その年の確定申告関連書類をダウンロードできます |
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確定申告書等作成コーナーで作成する | 令和4年分の確定申告からはスマートフォンで収支内訳書を作成・提出できます |
税務署で配布されている書類をもらう | 確定申告時期が近づくと、その年の確定申告関連書類が設置されます |
確定申告ソフトを利用する | 日々の取引データから自動で収支内訳書を作成・出力できます |
1年間の取引日や収支を記す必要があるので、ノートやExcelを使って記帳しておきましょう。
各種控除に関する証明書
所得控除を受ける場合は証明書の添付が必要になります。
所得控除には15種類ありますが、個人事業主に関連するものは「社会保険料控除」や「地震保険料控除」、「配偶者特別控除」などでしょう。
証明書の添付を忘れると控除処理がされないので、自宅に送付される証明書を捨てないように注意してください。
青色申告の必要書類
青色申告で必要になる書類は以下の5種類です。
- 確定申告書
- 青色申告決算書
- 各種控除に関する証明書
- 本人確認書類・マイナンバーカード
- 還付金を受け取るための銀行口座番号
ここでは、青色申告を象徴する「青色申告決算書」についてお伝えします。
青色申告決算書
青色申告決算書とは、帳簿の内容を決められた形式で記入する書類です。
損益計算書とその内訳、貸借対照表の、計4枚で構成されます。
帳簿の内容をもとに記入するので、日頃の管理を忘れないように気をつけましょう。
青色申告決算書の書類様式は「一般用」「農業所得用」「不動産所得用」「現金主義用」の4種類です。
テンプレートは、以下にある国税庁のWebサイトからダウンロードできます。
個人事業主・中小企業の節税方法
ここでは、個人事業主と中小企業の節税方法について簡単に紹介します。
個人事業主の節税方法|青色申告特別控除の利用
個人事業主が行える節税方法として「青色申告特別控除」があります。
青色申告特別控除は、条件に応じて「10万円、55万円、65万円」のいずれかの所得控除が受けられる仕組みです。
55万円以上の控除を受けたい人は、複式簿記で帳簿をつけたり特定の書類を提出したりしなければなりません。
控除によって課税所得額が下がると「住民税」や「国民健康保険料」の税額(保険料)を減らせるので、ぜひ活用したいところです。
「どうしたら控除を受けられるの?」「複式簿記って難しそう」という人は、一度税理士に相談してみることをおすすめします。
中小企業の節税方法|固定資産を見直す
固定資産税は現在使っていない資産にもかかるため、定期的に見直しを行うことが重要です。
固定資産の使用を中止して除却処理を行うと、帳簿に残っている残高を損失計上できます。
購入価格が高いものを除却処理すると、節税効果は高まりますし固定資産税の節約にもつながるでしょう。
中小企業の節税方法は、他にもまだまだあります。
詳しい内容は、個人事業主と同様に税理士へ相談するのがおすすめです。
記事まとめ
今回はカードローンの借入金を経費計上できる事例や、確定申告の方法をわかりやすく解説しました。
経費に計上できるかどうかは仕事の内容や仕分け項目によって異なります。
自分で判断するのが難しい場合は、一度税理士に相談するのがおすすめです。
所得税を減額して「住民税」や「国民健康保険料」を引き下げ、ゆとりのある生活を実現しましょう。