カードローン契約者本人が死亡しても返済義務が残るのはなぜ?免除されるケースも解説
カードローン契約者本人が死亡した際、残った借金を誰が払うのか疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。
契約者本人が死亡しているため、返済義務はないと思ってしまいがちですが、債務は相続人に継承されます。
「関係ない」と相続人が放置しないよう、対処法を知っておくのが大切です。
本記事では、カードローン契約者本人が死亡した際の返済義務についてまとめました。
債務が免除されるケースや返済時の注意点も紹介するので、カードローン契約者本人が死亡してしまい、対処法がわからない方は参考にしてください。
カードローンの契約者本人が死亡しても返済義務は残る
カードローン契約者本人が死亡した場合でも、返済を続ける必要があります。
ここでは、相続人が返済責任を負う理由と免除されるケースを解説するので、参考にしてください。
相続人が返済責任を負うことになる
死亡したカードローン契約者本人の配偶者は相続人のため、返済責任を負います。
配偶者以外の方は、以下の順序で相続人になります。
相続人の順位 | 相続人の範囲 | 法定相続分 |
---|---|---|
常に相続人 | 死亡したカードローン契約者の配偶者 | 相続が配偶者のみ:全部 |
第1順位 | 死亡したカードローン契約者の子ども | 配偶者・子どもの場合 配偶者:2分の1 子:2分の1 |
第2順位 | 死亡したカードローン契約者の直系尊属(例:父母・祖父母など) | 配偶者・父母の場合 配偶者:3分の2 父母:3分の1 |
第3順位 | 死亡したカードローン契約者の兄弟姉妹 | 配偶者・兄弟姉妹の場合 配偶者:4分の3 兄弟姉妹:4分の1 |
例えば夫・妻・子2人の4人家族で、夫が100万円のカードローンを残したまま死亡した場合、配偶者の妻と相続人第1順位の子どもの3人が法定相続人です。
法定相続分は配偶者2分の1、子ども2分の1で分割します。
ただし、子ども2人以上の場合は2分の1を人数分分割します。
当ケースで配偶者は50万円、子どもは25万円ずつ返済責任を負うのです。
債務が免除されるケースとは?
団体信用生命保険に加入しているカードローンの場合、契約者本人が死亡しても債務が免除されます。
団体信用生命保険は、契約している本人が死亡または所定の高度障害状態になった際にローンの残債が免除される生命保険です。
一部の金融機関では、団体信用生命保険が付帯されているカードローンを提供しています。
万が一の場合でも返済責任を避けられるよう、団体信用生命保険が付帯されていないか確認しておきましょう。
相続人が知っておきたい返済の注意点
カードローン契約者本人が死亡した場合に、相続人が知っておきたい返済の注意点を解説します。
生活に影響を与えないためにも、チェックしておきましょう。
一括返済を要求される可能性がある
相続人は、契約者本人が残したカードローンの負債を一括返済するよう求められる可能性があります。
契約者本人が死亡した場合、相続人はクレジットカードの解約手続きをしなければなりません。
カードローンの利用規約には解約時に残債がある場合、金融機関が認めたケースを除き債務を一括返済するよう記載されているためです。
相続人は契約者本人が死亡した際、利用規約に一括返済が記載されているかチェックする必要があります。
金融機関によっては分割払いに変更してくれる可能性があるため、返済困難な場合は窓口に問い合わせてみましょう。
督促状が届くことも
契約者本人が死亡したからといってカードローンの返済義務を怠ると、相続人に催促状が届く可能性があるため注意しましょう。
カードローンの契約者本人が死亡しても返済の義務は残り、相続放棄や限定承認をしないかぎり相続人に引き継がれます。
支払いせず放置した場合、相続人の信用情報に傷がつき、最悪の場合ブラックリストに入ってしまいます。
ブラックリストに入ると支障が出る取引は、以下の通りです。
- 新たなカードローンの借入ができなくなる
- 住宅ローンの審査に通らなくなる
- 携帯電話の分割購入ができなくなる
ブラックリストは、解除されるまでに5~7年ほどかかります。
期間中は保証人になれなかったり、マイホームを購入できなかったりするリスクが生じるため、放置せず対処するのが賢明です。
財産が残る場合は限定承認を選択するのも手段
限定承認とは相続によって得た財産を限度として、マイナスとなる債務を引き継ぐことです。
財産の合計がどのくらいあるかわからない場合に、限定承認は有効となります。
例えば、財産の合計が1,000万円でマイナス分が800万円だった場合、相続人の手元には200万円が残ります。
また、限定承認でプラスの財産を限度としており、万が一マイナス分が大きくても相殺されるため、相続人の負担はありません。
財産の合計が1,000万円でマイナス分が1,200万円でも、相続財産は0円となります。
ただし、限定承認は相続人全員の手続きや申告が必要などの条件があり、申請するまでに手間がかかる点がネックといえるでしょう。
相続放棄する際に押さえておきたいポイント
相続放棄をすると、死亡したカードローン契約者の債務を返済する義務がなくなります。
しかし、相続放棄は複雑な手続きとなるため、トラブルに発展しないよう注意しましょう。
ここでは、相続放棄する際に押さえておきたいポイントについて解説します。
相続放棄をするとほかの相続人が債務を引き継ぐ
相続放棄をしたからといって、カードローンの債務がなくなるわけではない点に注意しましょう。
相続財産は相続順位に従って、移っていくためです。
例えば、第1順位の子どもが相続放棄をした場合、第2順位となる死亡した契約者本人の父母に継承されます。
勝手に相続放棄をすると親族との関係悪化につながるため、ほかの相続人から同意を得てから手続きをするのが大切です。
相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きする
相続放棄する際は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に手続きをしなければ単純承認とみなされます。
単純承認で財産を相続したとみなされるため、カードローンの債務を返済しなければなりません。
死亡したカードローン契約本人の返済負担を避けられるよう、手続きを早めに進めていく必要があります。
なお、限定承認も3ヶ月以内に手続きをしなければ単純承認となるため注意しましょう。
相続財産に手をつけると相続したとみなされる
遺産整理前に財産を使ってしまうと単純承認とみなされ、相続放棄を申し立てられません。
相続放棄をする際は、死亡したカードローン契約者本人の財産に手をつけずに費用を賄う必要があります。
例えば、葬儀費用が足りず死亡したカードローン契約者本人の財産に手をつける場合は、相続放棄しないのが前提です。
なお、生命保険金の保険金受取人に指定されている際は、相続財産の対象にならない点もあわせて押さえておきましょう。
カードローンの契約者本人が死亡した際の手続き方法
カードローン契約者本人が死亡した場合、口座の入出金を停止する必要があるため、相続人は金融機関の窓口に連絡します。
公共料金や家賃、カードローンの引き落としがある方は、すみやかに口座変更手続きをしなければなりません。
カードローン契約者本人が死亡した際は、一般的に以下の流れで相続の手続きを進めていきます。
- 金融機関の窓口にWebまたは電話連絡
- 必要書類を準備・提出
- 払い戻しなどの手続き
つまり、死亡したカードローン契約者本人の口座から債務を返済できない点に注意が必要です。
記事のまとめ:困ったら専門家へ相談を
カードローン契約者本人が死亡しても、債務は相続人が返済する必要があります。
放置してしまうと督促状が届き、ブラックリストに載ってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
返済を避ける対処法には、相続放棄や限定承認があります。
しかし、相続放棄や限定承認は期限があり手続きも複雑です。
期日を過ぎると相続したとみなされるため、相続放棄や限定承認する際は迅速に対処しましょう。
カードローン契約者本人が死亡した際の対処法がわからないとお悩みの方は、できるだけ早く専門家へ相談するのがおすすめです。