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カードローンで代位弁済が行われても返済義務は残る!借主側の対処法とは?
カードローンの返済が長期間滞ると、保証会社によって「代位弁済」が実行され、借主の代わりにカードローン会社へ返済されます。
「代わりに返済する」と言うと借主の返済義務がなくなるように聞こえますが、実際は支払先が保証会社へ移るだけです。
むしろ、代位弁済まで移行した状態は、一括返済の請求やブラックリスト化といったリスクがあるため、なるべく避けるべきです。
本記事では、カードローンにおける代位弁済の仕組みや具体的な流れ、発生したときのリスクや対処法について詳しく解説します。カードローンの返済を滞納する恐れがある人は、ぜひ参考にしてください。
代位弁済とは第三者によって借金が返済されること
代位弁済とは、第三者(借主以外の人)が代わりに貸主へ返済することを言います。カードローンの場合、代位弁済を行うのは原則保証会社です。
代位弁済をした保証会社は求償権を得ます。求償権とは、代位弁済で支払った金額を借主に請求する権利です。
つまり、代位弁済は借主の返済義務をなくすものではなく、保証会社が債権者の立場を引き継ぐということです。
代位弁済が行われても借主の返済義務はなくならない
代位弁済の実行後、カードローン会社への支払い義務はなくなりますが、代わりに保証会社への返済義務が生じます。
保証会社は基本的に一括返済を請求し、さらには滞納期間中に発生した遅延損害金も加算されるため、借主の返済負担は非常に大きくなります。
借主としては、代位弁済にならないよう返済を滞らせないことが大切です。
カードローンで代位弁済が実行されるときの流れ
代位弁済は、カードローンの滞納の直後ではなく、下記の段階を踏んで実行されます。
- カードローン会社から借主への督促
- 事前通知のうえ代位弁済が行われる
- 保証会社が借主への請求を引き継ぐ
すでに滞納している人は、具体的な流れを知って自分が置かれている状況を確認しましょう。
1.カードローン会社から借主への督促(滞納直後~1か月程度)
滞納が発生すると、まずはカードローン会社から借主への督促が行われます。
方法としては、メールや電話、郵便などがあります。
この時点で返済できれば、多少遅延損害金が加算されたとしても、それほど大きなトラブルにはなりません。数日程度の遅れであれば、信用情報への登録も避けられます。
一方、何もせず放置していると、カードローンの利用停止や信用情報への登録(いわゆるブラックリスト)といった措置が取られます。
2.代位弁済が行われる(2~3か月後)
滞納期間が長引くと、カードローン会社から「期限の利益喪失通知」が送られてきます。
期限の利益喪失とは、分割して返済する権利がなくなるという意味です。つまり、この通知は「以降は一括返済を請求する」という意思表示になります。
上記の通知をしてもなお返済されない場合、カードローン会社は「借主に返済能力や返済意思がない」と判断し、保証会社に代位弁済を請求します。
代位弁済の時期はケースバイケースですが、おおむね延滞から2~3か月以上経つと実行されるでしょう。
3.保証会社が借主への請求を引き継ぐ(3か月後~)
代位弁済が行われると、以降は保証会社が督促等を行うようになります。
その対応はカードローン会社より厳しい場合が多く、分割払いや支払期日延期の交渉も困難です。
保証会社との交渉がうまくいかず、その後も支払いが滞り続けると、最終的には訴訟を起こされる可能性もあります。この段階になると、自力での解決は難しいため、弁護士や司法書士に相談することを検討すべきです。
また、この時点で借主の信用情報には「代位弁済」が記録され、新たなローンやクレジットカードの利用が難しくなるため注意しましょう。
カードローンで代位弁済が行われるとどうなる?借主側のリスク
代位弁済が行われると、借主にはいくつかの重大なリスクが生じます。
借金の支払先が保証会社へ変わるだけでなく、支払い条件が厳しくなり、信用情報にも大きな悪影響を及ぼします。
主なリスクを紹介するので、内容を理解し、適切に対処しましょう。
一括返済を請求される
保証会社は、基本的に一括での返済を請求してきます。
借主の状況を考慮して分割払いを認めるケースもありますが、あくまで交渉次第であり、確実に認められるとは限りません。
遅延損害金が発生している
代位弁済に至るほどカードローンの滞納を続けていると、基本的に遅延損害金も生じています。
遅延損害金の利率はカードローンによりますが、最大で年20%です。仮に年20%で計算すると、30万円の借入を半年間滞納することで、約3万円の遅延損害金が発生します。
遅延損害金は代位弁済後も継続して発生するため、放置するほど借金の総額が膨らんでしまいます。
信用情報が悪化する(ブラックリスト)
代位弁済が行われると、信用情報機関に「異動情報」として記録されます。これは俗に「ブラックリストに載る」と言われる状態で、以下のような影響を及ぼします。
- 新規の借入やクレジットカードの利用ができなくなる
- 携帯電話の分割払い契約ができなくなる
- 入居審査に落ちる場合がある(信販系の家賃保証会社を使う場合)
信用情報の異動記録は、該当取引の終了から5年間は保持されます。その間は金融機関からの信用を失い、新たな借入が原則できません。
異動記録は借主側から削除する方法はなく、期間が過ぎるまでただ待つ必要があります。
訴訟や差し押さえに発展する
代位弁済後も返済をしない場合、保証会社は債権回収のため法的措置に移行します。
訴訟提起や支払督促の申立てが行われるので、借主は紙面での異議申立てや裁判所への出廷といった対応を取らなければいけません。
なにもせず無視した場合、もしくは訴訟で保証会社の主張が認められた場合、保証会社は強制執行の申立てが可能になります。
保証会社が強制執行の申立てを行い、裁判所がこれを認めると、財産や給与の差し押さえが行われます。借主はこれを拒否できず、生活に最低限必要なもの以外は回収、処分されてしまいます。
カードローンで代位弁済になったときの対処法
代位弁済による生活への影響を避けるためには、早めの対策が重要です。
具体的な対処法を紹介するので、カードローンの返済を滞納しそうな方や、すでに滞納している方はぜひ参考にしてください。
分割払いの交渉をする
保証会社によっては、交渉によって分割払いに応じるケースもあります。
交渉するときのコツとしては、なるべく早めに連絡を取り、具体的な支払い計画を伝えることが重要です。現在の収入状況と、月にいくらまで返済できるかを正直に伝えましょう。
家族や知人から借り入れて返済する
家族や知人から資金を借りて、一括返済に応じることも選択肢の1つです。代位弁済に至った時点で金融機関からの借入は難しくなりますが、家族や知人なら借りられる可能性があります。
ただし、家族や知人相手でも返済義務は守ることが重要です。トラブルを防ぐために、借用書を作成するなどして、返済計画を明確にしておきましょう。
債務整理を検討する
支払いが困難な場合、債務整理を検討するのも有効な手段です。
債務整理とは、法的手続きなどによりカードローンの返済を減額もしくは免除する手続きで、3つの方法に分けられます。
- 任意整理:保証会社と交渉し、利息や遅延損害金をカットして分割払いにする方法
- 個人再生:裁判所を通じて借金を1/5~1/10まで減らし、分割払いにする方法
- 自己破産:裁判所を通じて返済義務を免除(借金をゼロ)にする方法
どの方法が適しているかは、借入額や収入状況によります。また、個人再生や自己破産をすると、ブラックリストの期間が該当取引の終了から7年となる場合があるため、注意が必要です。
手続きには専門的な知識が必要なので、まずは弁護士や司法書士に相談し、最適な解決策をアドバイスしてもらいましょう。
よくある質問
代位弁済に時効はある?
代位弁済にも時効はあり、下記どちらかの条件を満たすと保証会社の求償権が消滅します。
- 条件①請求できることを知ったときから5年間請求しないとき
- 条件②請求できるときから10年間請求しないとき
ただし、時効完成までに督促があったり、借主が債務の承認(一部返済など債務の存在を認める行為)をしたりすると、時効の期限が更新されます。
カードローンを滞納すると必ず代位弁済が行われる?
保証会社が設定されているカードローンの場合、滞納が続けば原則として代位弁済が行われます。
ただし、保証会社がついておらず、自社で債権回収を行うカードローン会社の場合、代位弁済はありません。カードローン会社自身が、借主への督促や法的手続きを行います。
死亡した人物のローンが代位弁済されていたときはどうする?
借主が死亡した場合、基本的には遺族が借金を相続することになります。
代位弁済後があっても同様で、財産の相続人が一括返済するか、分割交渉などの対処を行います。
ただし、相続放棄によって返済義務を免れることも可能です。相続放棄の手続きは、借主が死亡したことを知ってから3か月以内に行う必要があるため、早めに判断することが重要です。
まとめ
カードローンにおける代位弁済は、長期間の滞納時、保証会社が代わりに返済することを指します
しかし、代位弁済が行われたからといって借金がなくなるわけではありません。むしろ一括返済を求められたり、信用情報に重大な影響を及ぼしたりするなど、借主にとって厳しい状況が待っています。
返済が厳しいときは、カードローン会社に返済計画の見直しを相談したり、家計を見直したりといった対策が重要です。それでも返済ができないときは、弁護士や司法書士に相談して債務整理を検討することもおすすめします。
カードローン会社や保証会社の督促は放置せず、早めに適切な対応を取って問題を解決しましょう。