現金化についての見解
クレジットカードの現金化はおすすめできない!手口・方法と利用のリスク

クレジットカードの現金化はおすすめできない!手口・方法と利用のリスク

国内にはクレジットカードの現金化を請け負う業者が数多く存在しますが、現金化には犯罪被害等の様々なリスクが伴うため、「急きょ現金が必要になった」という状況でも手を出すべきではない手法だと言えます。

この記事では、クレジットカードを現金化する仕組みとそのリスクや違法性について解説していきます。

安全にお金を工面する方法もいくつか紹介しているので、現金を用意しなければならないとお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

クレジットカードの現金化とは?基本的な仕組みを解説

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クレジットカードの現金化とは、クレジットカードのショッピング枠を利用して現金を受け取る方法のことです。

クレジットカードには、現金借入が可能な「キャッシング枠」があらかじめ設けられていますが、既にこの枠を使いきっている場合や、利息を負担したくないといった場合に現金化を利用してしまう方も少なくないようです。

まずは、クレジットカードの現金化に用いられる具体的な方法について詳しく見ていきましょう。

現金化の方法①買取方式

買取方式とは、クレジットカードのショッピング枠を使って商品を購入し、その商品を現金化業者に買い取ってもらうことで現金を得る方法です。

ブランド品や金券・商品券等の換金率が高い商品を指定されるケースが一般的です。

買取方式による現金化の具体的な流れは以下の通りとなっています。

  1. 現金化業者へ申し込み
  2. 現金化業者に指定された店舗で商品を購入
  3. 商品が店舗から現金化業者へ発送される
  4. 現金化業者から買取代金が振り込まれる
  5. 後日クレジットカード会社へ購入代金を支払う

現金化の方法②キャッシュバック方式

キャッシュバック方式とは、クレジットカードのショッピング枠を使って現金化業者が販売する商品を購入し、商品と合わせてキャッシュバック分の現金を受け取る方法です。

値段のつかないような安い商品を購入する形になるため、その商品を売って更に現金を得るといったことは難しいケースがほとんどです。

キャッシュバック方式による現金化の具体的な流れは以下の通りとなっています。

  1. 現金化業者へ申し込み
  2. 現金化業者に指定された商品を購入
  3. 商品が現金化業者から利用者へ発送される
  4. 現金化業者からキャッシュバック分が振り込まれる
  5. 後日クレジットカード会社へ購入代金を支払う

換金率の相場は?

現金化業者の中には、80%~90%以上の高い換金率を謳っているところも少なくありませんが、実際には手数料や消費税等が差し引かれるため、得られる現金は支払い額の70%前後となることが多いようです。

つまり、実質換金率が70%の業者で10万円分の現金を得るためには、100,000円÷70%=142,857円(小数点以下切り捨て)の支払いが必要になるということです。

これはクレジットカードのキャッシング枠やカードローンに設定されている利息と比較しても非常に高額であるため、“一時的に現金が手に入る”という点以外には一切メリットがない方法だと言えます。

以下は、現金化業者およびクレジットカードのキャッシング枠・カードローンを使用した場合の手数料を試算したものです。

現金化業者(換金率70%) キャッシング(年利15%) カードローン(年利10%)
必要な現金 100,000円 100,000円 100,000円
手数料 42,857円(一括の場合) 1,250円 833円
翌月の返済額 142,857円 101,250円 100,833円

簡易的なシミュレーションのためあくまで目安の金額にはなりますが、キャッシングやカードローンと比較して現金化業者の手数料が非常に高いということが分かるでしょう。

クレジットカードの現金化は違法?

クレジットカードの現金化自体は明確には違法と言えないものの、消費者庁や金融庁等では認められていない行為となっています。

続いて、クレジットカードの現金化における違法性と発覚した場合のペナルティについて詳しく見ていきましょう。

現金化はクレジットカード会社の規約で禁止されている

各クレジットカード会社の利用規約には「現金化を目的とした商品・権利の購入」を禁じる条文が記載されており、クレジットカードの現金化についてはっきりと禁止しています。

そのためクレジットカードの現金化を行った場合はクレジットカード会社の規約違反となり、残高の一括請求やその後の利用停止といったペナルティを受けることになります。

また違反行為であると知りながら現金化を行う等、内容が悪質であると判断された場合には、利用者側も横領や詐欺罪に問われる可能性が出てくるでしょう。

手数料の金利によっては出資法に違反している場合も

買取方式とキャッシュバック方式のどちらであっても、“商品を購入した対価として現金を得る”という手順を踏むことから、このやり取りは「融資」に該当すると考えられます。

融資を扱う業者は賃金業の登録が必要であり、賃金業者になると出資法に基づいた貸付の実施が義務化されます。

出資法では貸付の上限金利が年間20%に定められているため、これを超える手数料を設定している業者の場合、業者が摘発されて現金を受け取れなくなるといった可能性も出てくるかもしれません。

クレジットカードの現金化に伴うリスクとは

クレジットカードの現金化はクレジットカード会社の規約違反となるだけでなく、金銭的な損失が発生したり、犯罪・事件に巻き込まれたりする等のリスクを伴う危険な行為です。

ここからは、クレジットカードの現金化に伴う様々なリスクについて詳しく見ていきましょう。

金銭的な損失が発生する

クレジットカードの現金化を行う際、商品の購入代金よりも現金の受取額が大きくなるということはありません。

現金化によって一時的にお金が入ったとしても、その後より大きな金額の支払いが待っているのです。

またクレジットカードの現金化を繰り返すことで返済額が増え、多重債務に陥るといったリスクも考えられます。

買取方式とキャッシュバック方式のどちらであるかにかかわらず、クレジットカードの現金化は基本的に利用者側が損をする取引であるということを覚えておく必要があるでしょう。

犯罪・事件等に巻き込まれる可能性がある

クレジットカードの現金化を行うことで、以下のような犯罪・事件等のトラブルに巻き込まれる可能性が高まります。

  • 賃金業の登録を行っていない闇金業者を利用してしまう
  • クレジットカード情報やその他個人情報を悪用される
  • 購入後の連絡がとれない・現金が振り込まれない等の詐欺被害に遭う

また、クレジットカードの現金化はそもそもクレジットカード会社が禁止している行為であるため、仮に詐欺等の被害を受けたとしても損失額が返金される保証はありません。

今後のカード契約やローン審査等に影響が出る

クレジットカードの現金化が発覚して強制解約等のペナルティを受けた場合、信用情報にその履歴が残ります。

信用情報とは、クレジットカードやローン等の契約に関する取引事実が登録された個人情報のことです。

新たにクレジットカードを作ったりローンを組んだりする際には、この信用情報をもとにして返済能力の有無等を判断するため、強制解約の記録が残ると審査に通りにくくなる可能性があるでしょう。

自己破産ができなくなる可能性がある

借金の返済見込みがなく、支払いが不可能であると裁判所で判断された場合、借金の返済義務を免除してもらうために「自己破産」という手続きを行うことがあります。

自己破産を行うと、養育費や税金等の非免責債権を除く全ての借金をゼロにすることができます。

しかし、クレジットカードの現金化を行ったことがある場合は、「免責不許可事由」に該当するとして自己破産の許可が下りない可能性があるのです。

この場合は借金の返済義務が全て残ることになるため、個人再生や任意整理等による減額措置を受けながら自力で返済を続けていかなければなりません。

お金に困ったときの対処方法は?

最後に、クレジットカードの現金化を行わずにお金を工面する方法をいくつか紹介していきます。

クレジットカードのキャッシング枠を利用する

現金が必要な場合は、クレジットカードに設定されているキャッシング枠の利用を検討しましょう。

キャッシング枠を利用すると、ATMや振り込みといった形で現金を借りることができます。

キャッシングには利息がかかりますが、上限金利の範囲内で適用されるため安心して利用できるでしょう。

カードローンを利用する

クレジットカードにキャッシング枠を設定していない場合や、急ぎで現金を用意する必要がある場合は、カードローンを利用するという方法も選択肢の1つです。

カードローンは利用限度額の範囲内で繰り返し借入を行える商品のことで、キャッシングの利用と比較して申し込みから借入までの時間が短いという特徴があります。

なおこちらも借入額に応じた利息がかかるため、返済のシミュレーションを行いながら計画的に利用することが大切です。

新しいクレジットカードをつくる

ある程度時間に余裕がある場合は、新しいクレジットカードをつくるという方法も検討できるでしょう。

キャッシング枠を設定しておくことで、クレジットカードの発行後にキャッシングを利用できるようになります。

ただし、クレジットカードの枚数が増えるとその分返済額の合計も増加するため、借り過ぎには注意が必要です。

記事まとめ

  • クレジットカードの現金化には「買取方式」と「キャッシュバック方式」の2種類がある
  • クレジットカードの現金化自体は違法ではないものの、クレジットカード会社の規約違反にあたるとして利用停止等の措置を受ける場合がある
  • 犯罪被害に遭ったり信用情報が傷ついたりする等のリスクが伴うため、基本的にクレジットカードの現金化は行わない方が良い

クレジットカードの現金化は素早くお金を用意できるため便利に思われがちですが、実際は金銭的な損失が大きくなるだけでメリットの少ないやり方だと言えます。

お金が必要な場合でもこうしたリスクの大きい方法は避け、クレジットカードのキャッシング枠やカードローン等の合法的な手段を利用するようにしましょう。