投資信託
投資信託と株式投資、どちらがおすすめ?違いや特徴について解説
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投資信託と株式投資の方法について、その概要とそれぞれの違いについて詳しく解説

「投資信託」と「株式投資」はどちらも人気の資産運用方式です。

しかし、いずれも異なる特性を持つ商品であるため、「どちらを優先して運用すればよいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか?

この記事では、投資信託と株式投資の方法について、その概要とそれぞれの違いについて詳しく解説。

初心者に合った投資方法についてもご紹介します。

老後の資産形成のため、所得増加のために投資を始めようとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。

まずは投資信託と株式投資の概要を確認

まずは投資信託と株式投資の概要を確認

まずは、投資信託と株式投資のそれぞれの概要を確認しましょう。

投資信託

「投資信託」とは、一言でいえば「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」です。

「集めた資金をどのような対象に投資するか」は、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行います。

投資信託銘柄のことを「ファンド」といい、ファンドによって投資対象は異なります。

一般社団法人 投資信託協会の「数字で見る投資信託」によると、2022年11月末時点で世の中には5,880本ものファンドが存在しています。

もちろん全ての金融機関で全ての銘柄を扱っているわけではありませんが、少なくとも膨大な種類があるということは想像に難くないでしょう。

投資信託の特徴

投資信託の特徴は以下の通り。

  • 普通預金と比べ良い利回りが期待できる
  • 金融機関によっては少額(1,000円程度)で始められる
  • 投資家から集めた資金で投資のプロが運用を行う
  • 投資対象は株式や債券だけでなく不動産なども含まれる
  • 投資先地域は銘柄により異なり、なかには新興国を対象としたファンドもある
  • 運用に際して各種手数料がかかる
  • NISA制度を活用すれば運用益が非課税となる

このように、投資信託の特徴の中で、特に「投資のプロが運用を行う」という点が、初心者にもおすすめできる理由の1つとなっています。

ただし、投資信託の運用成績は市場環境などによって変動します。

投資信託の購入後に、投資信託の運用がうまくいって利益が得られることもあれば、運用がうまくいかず投資した額を下回って、損をすることもあります。

このように、投資信託の運用によって生じた損益は、それぞれの投資額に応じてすべて投資家に帰属します。

つまり、投資信託は元本が保証されている金融商品ではありません。

この点は銀行の預金積立などとは違うところですので注意が必要です。

投資信託の仕組み

投資信託は「投資信託運用会社」で作られ、主に証券会社、銀行、郵便局などの「販売会社」を通じて販売され、多くの投資家からお金を集めます。

投資家から集めたお金はひとつにまとめられ、資産管理を専門とする、「信託銀行」に保管してもらいます。

運用会社は、集めたお金をどこにどうやって投資するのか考え、その投資の実行を、お金を管理している信託銀行に指図します。

このことを運用指図といい、運用会社がその権限を持っています。

そして、信託銀行は運用会社の指図を受けて、株や債券の売買を行います。

投資信託は、販売・運用・資産の保管などの業務を行う、それぞれ専門の機関が役割を果たすことで成り立つ金融商品です。

株式投資

株式とは企業が発行する証券のことで、経済活動を行うために必要な資金を集める方法のひとつとして用いられます。

株式を購入した投資家は株主となり、保有する株式の数に応じた優待や配当金、株主総会における議決権などのさまざまな権利が得られます。

また、株式の購入価格と売却価格の差額により利益を得ることも可能です。このように株式を購入して株主になり、利益を得るための活動を行うことを株式投資と言います。

株式投資のメリット

株式投資を行うことで得られる代表的なメリットは以下の4つです。

メリット

  • 株価の値上がりによる利益が得られる
  • 株主優待を受けられる
  • 配当金がある
  • 経営参加権がある

株式投資の最大の魅力は「値上がり益(キャピタルゲイン)」です。株価が安いときに購入し、値上がりしたあとに売却すればその差額が利益になります。

会社が利益を出したときに株主にその利益を分配する「配当金(インカムゲイン)」や、会社によっては株主に自社製品や優待券などを提供する「株主優待制度」もあり、株式投資ならではの楽しみの一つです。

株式投資の仕組み

株式を「安く買って高く売る」ことで利益を生むのが株式投資の特徴。

企業の価値の上昇を見込んで株を買い、値段が上がったところで売って利益を出すことが投資家の目的です。

この利益を「キャピタルゲイン(売買差益)」と言います。

投資信託と株式投資の違い一覧

投資信託と株式投資の違い一覧

ここでは、投資信託と株式投資の違いについて一覧で確認しましょう。

比較項目 投資信託 株式投資
概要 プロに運用を任せて利益の還元を狙う 会社に投資して配当や値上がり益を狙う
手数料 購入手数料0~4% 信託報酬0.1~3%(※1) 信託財産留保額0~3.5%(※2) 売買手数料(売買額にあわせて増加)
運用主体 ファインドマネージャー 自分
最低投資金額 100円~ 約1,000円~
リスク(不確実性) 投資信託による ハイリスク
利益の種類 値上がり益 分配金 値上がり益 配当金 株主優待
運用期間 短期~長期
税金 値上がり益:税率20%(※3) 配当益:税率20%または総合課税5~45%(※4)
銘柄数(※5) 約6,000 約4,000
価格 取引終了後にわかる(1日1回) リアルタイム

※1:信託報酬とは、保有している間に保有残高に応じて算出され、引かれる手数料
※2:信託財産留保額とは、投資信託を売却する際に投資家が支払う手数料
※3:2037年分の所得までは、所得税額×2.1%の復興特別所得税が別途加算され、実質20.315%の税率が課されます。なお、税率は所得税と住民税を含みます。
※4:確定申告をすることによって総合課税を選択でき、税率は課税所得に応じて課されます。
※5:2023年12月末時点の数値です。

自分あった投資方法はどっち?それぞれの違いを確認!

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ここでは、投資信託と株式投資の違いについて、さらに詳細に解説していきます。

①運用主体の違い

株と投資信託の最も大きな違いは、運用主体にあります。

株式投資では、自分で投資する株式銘柄を選び、自分で売り買いのタイミングを決めて運用するのが特徴。

成長企業を見極めたり株価の動向を予測したりするために、経済紙をチェックするなど、自分で情報収集し、勉強する必要があります。

一方、投資信託では、ファンドマネージャーと呼ばれる投資のプロが、投資家から集めた資金をまとめて運用するのが特徴。

投資信託で運用する対象は、株式や債券などの複数の金融商品で、投資家はこれらの金融商品を詰め合わせにした「ファンド」を購入することになります。

投資信託は運用をプロに任せられますから、時間がない方でも始めやすい投資方法といえるでしょう。

知識の少ない投資初心者には、投資信託は特におすすめの商品です。

②運用期間の違い

株式は値動きが激しいので、売却益(キャピタルゲイン)を得るための短期的な取引に向いています。

値動きによっては、大きなリターンが得られる可能性もありますが、その分、損失やリスクも大きくなります。

一方、投資信託は分散投資によりリスクが軽減されているため、長期的に保有して利益を得るのに適しています。

投資するとなると元本割れのリスクを気にする人も多いと思いますが、投資信託ならリスクを最小限に抑えながら、預金積立よりも効率良く資産運用ができます。

③最低投資金額の違い

一般的に、株式投資の方が投資に必要な資金が多く、投資信託は少ない資金から始めることが可能です。

株式投資は一般的に100株単位で取引するため、株式投資に必要な資金は「1株の値段(株価)×100株」で計算します。

仮に株価が1,000円であれば、最低投資金額は10万円です。

なお、100株未満の株式を取引できるサービス(ミニ株や単元未満株と呼ぶ)もあり、その場合は株価そのものが最低投資金額となります。

また、株式累積投資というサービスでも、月に1万円以上という手ごろな金額から株式投資することも可能です。

一方、投資信託は目安として1万円前後から購入でき、積立投資信託であれば100円からでも購入できます。

このように、投資に必要な資金は銘柄にもよりますが、一般的には投資信託の方が少額の資金から購入可能です。

④手数料の違い

投資信託には3種類の手数料がかかります。

それぞれの概要は以下の通りです。

手数料 概要
販売手数料 投資信託を購入するたびにかかる手数料。
申込金の数%を手数料として支払うことが一般的ですが、その割合は販売会社によって異なります。
換金(解約)時に支払うこともありますが、ほとんどの場合、投資信託を購入すると同時に販売会社に支払う形になります。
なお、販売会社によっては手数料のかからない投資信託(ノーロード商品と言います)を取り扱っているところもあります。
信託財産留保額 投資信託を換金(解約)した時に発生する手数料のこと。
換金(解約)時の投資信託の基準額に対し、0.2〜0.3%の手数料が換金(解約)代金から差し引かれる形で徴収されるのが一般的です。
信託報酬(運用管理費用) 個人投資家に代わって投資・運用を担う運用会社に支払われる手数料のこと。
信託報酬の割合は年率で表されるケースが多く、たとえば「信託報酬0.1%」の場合は、保有額に対し、年率0.1%が運用会社に信託報酬として支払われます。
信託報酬の割合は年率1~2%と幅があり、ハイリターンを狙えるアクティブ型の運用方法の方が、安定性重視のインデックス型に比べて手数料が高めに設定されている場合が多いです。

この一方で、株式投資の場合は、取引が成立した金額に応じて各証券会社の定めた手数料がかかります。

証券会社によっては金額によっては手数料が無料になる場合があるので、この点においては、株式投資の方が無駄のない投資方法だといえるでしょう。

⑤リスクとリターンの大きさの違い

株式投資は文字通り、上場企業1社の個別株を買います。

投資した企業が倒産すれば、その企業は上場廃止となり、株式は資産価値を失うことになるでしょう。

また、投資先企業の業績が悪くなれば、株価は業績に連動して急落することもあります。

つまり、株式投資は企業の良し悪しに連動して大きく上下する「ハイリスク・ハイリターン」の特徴を持っているのです。

一方で、投資信託は基本的に投資対象が分散されています。

基本的に特定の1社限定に投資をすることはありません。

投資信託の中でも特に「インデックスファンド」と呼ばれる投資信託は、日経平均などの指標に連動するため、投資信託1本で何百、何千の企業に投資することが可能です。

そのため、投資信託は大きく損をすることもなければ、大きく儲かるものでもない、「ミドルリスク・ミドルリターン」の商品だといえるでしょう。

そのため、投資に不安が残る初心者には投資信託がおすすめです。

⑥株主優待があるかないかの違い

投資信託は基本的に「株主優待」や「配当金」を出しません。

配当金を出しても自動的に再投資される仕組みになっています(毎月分配型投資信託など、一部例外あり)。

投資信託は配当金ではなく分配金が受け取れる投資信託などがあります。

したがって、「株主優待」や「配当金」を目当てにして投資をするなら、株式投資を選ぶべきだといえるでしょう。

初心者には「投資信託」がおすすめ!

初心者には「投資信託」がおすすめ!

「投資をしたいけどあまり知識がなくて不安…」「投資を始めたいけど仕事が忙しくて時間がない…」

そんなお悩みを持つ方には投資信託がおすすめです。

投資信託には「専門家が運用してくれる」、「小額から運用可能」、「分散投資できる」といったメリットがあります。

これらの特徴から、投資信託は、投資の質感を試したい方や、細く長く確かな資金形成を望んでいる方にピッタリな投資方法だといえるでしょう。

投資信託には、大きく分けてインデックス型とアクティブ型の2つのファンドがあります。

インデックス型のファンドは、日経平均株価などの動きに連動した運用を行うもので長期安定的な利益を得るのに向いています。

インデックス型は、アクティブ型のファンドよりも手数料も安く、100円から積立購入も可能です。

これから投資にチャレンジしたいという方は、資産バランスを考えながらインデックス型のファンドから始めるのがおすすめです。

記事まとめ

記事まとめ

この記事では、投資信託と株式投資の方法について、その概要とそれぞれの違いについて詳しく解説。

初心者に合った投資方法についてもご紹介しました。

先述の通り、投資信託には「専門家が運用してくれる」、「小額から運用可能」、「分散投資できる」といったメリットがあります。

これらの特徴から、投資信託は、投資の質感を試したい方や、細く長く確かな資金形成を望んでいる方にピッタリな投資方法だといえるでしょう。

「老後のための資産形成のために投資を始めたいが、まだ不安が残る…」

そんな方には投資信託がおすすめです。

ぜひこの機会に投資信託を始めてみてはいかがでしょうか?

ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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