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投資信託の再投資はいつされる?決算タイミングや複利効果について
投資信託の再投資はいつされる?決算タイミングや複利効果について
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投資信託の再投資はいつされるのかについて、タイミングや複利効果を詳しく解説

自動で再投資される投資信託を保有している場合、気になるのは再投資がいつされるのかです。

一般的に、投資信託の再投資は分配落ち後の基準価額で行われます。再投資のタイミングによって、購入できる口数が変わるため、いつ再投資されるのかは非常に重要といえます。

この記事では、投資信託の再投資はいつされるのかを詳しく説明します。

そのうえで、効率よく資産形成するためにどうすればよいのかについても詳しく解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

投資信託の再投資は年1~2回の決算日に行われる

投資信託の再投資は年1~2回の決算日に行われる

投資信託の分配金の支払いは決済日に決定されますが、決済日はおおむね年1回~2回で行われます。つまり、投資信託の再投資の回数も年1~2回行われる傾向があります。

ただし、投資信託の種類によっては毎月決済日が設けられている場合もあり、その場合は再投資の頻度が変わります。

証券会社のWebサイトなどで、投資している投資信託の情報を確認するようにしましょう。

再投資は「分配落ち後の基準価額」で行われる

この記事のテーマである「分配金の再投資はいつ行われるのか?」の回答ですが、結論からいえば、分配によって価格が下落した後のタイミングで行われます。

投資信託の分配金は純資産から支払われるため、分配金が支払われた後に基準価額が下がります。再投資は、この分配落ち後の基準価額で行われます。つまり、分配によって基準価額が下落した後のタイミングで再投資が実行されるのです。

たとえば基準価額が1,000円、分配金が10円の場合、分配金支払い後に基準価額は990円になります。再投資の際には、この990円を基準に分配金10円分の口数の購入が行われます。

このように価格が下落した後に再投資されるので、より多くの口数を購入できるようになっており、投資家に有利な価格で再投資できる仕組みになっています。

分配金の頻度や金額の確認方法

分配金の頻度や金額は投資信託によって異なります。

確認の際には、投資信託の運用会社のWebサイトや投資信託の情報サイトで確認できます。もしくは証券会社や銀行から送付されてくる、報告書を確認するのも確認方法の一つです。

分配金の金額が運用パフォーマンスによって変動する投資信託もあります。こういった商品の場合、分配金の変化は資産運用の状況を把握する目安になるので、定期的に確認しておくとよいでしょう。

投資信託の再投資で得られる複利効果とは?

投資信託の再投資で得られる複利効果とは?

複利効果とは、運用によって発生した利益にさらに利息がつき、利益が雪だるま式に膨らむことです。

投資信託で資産運用する際に、得られた利益を再投資することで、複利効果を得られます。

一例として、100万円を投資信託に投資し、年率5%の運用益が得られたとします。このとき単利運用と複利運用で10年、20年、30年の運用期間で比較すると、以下のようになります。

運用期間 単利運用の運用益 複利運用の運用益
10年 50万円 約62万円
20年 100万円 約164万円
30年 150万円 約330万円

単利と複利の差は時間が経過するほど大きくなり、30年間で比較すると運用益には約2.2倍もの差がつくことが分かります。

投資信託の運用では、得られた利益を再投資し複利運用することで、資産を大きく成長させることが可能です。

老後資金の形成など、長期的な資産形成を目的とする場合は、複利効果を最大限活かすのが得策といえるでしょう。

再投資型の注意点

再投資型の注意点

分配金を自動的に再投資する再投資型の投資信託は、複利効果によって資産を大きく増やせる可能性があります。

しかし、ここでいう複利効果は銀行預金や定期預金とはイメージが異なるので注意が必要です。

分配金が発生しないと再投資も行われない

運用が順調ではない場合、分配金が支払われない場合は再投資も行われません。再投資は受け取った分配金を自動で再投資する仕組みなので、そもそも分配金が発生しなければ再投資するための原資がないためです。

こういった場合もあるので、分配型の投資信託を保有していても、必ずしも分配金が発生し、再投資が行われるわけではないことを理解しておきましょう。

元金が下がる恐れもある

投資信託に投資しても、お金が増え続けるとは限りません。

たとえば、100万円を投資した投資信託から、決算日に5万円の分配金を受け取ったとします。

この5万円で再投資を行った直後に、投資信託の基準価額が10%下落した場合、元の100万円に加えて再投資した5万円も含めた、105万円全体が10%減少することになります。

このように、分配金を再投資して複利効果を狙う場合でも、順調に元本が増えていくとは限りません。

投資信託への投資は、常にお金が増えていくわけでは決してないため、定期的にポートフォリオ(投資資産の構成)を見直すことも大切です。

複利効果を高めるならNISAやiDeCoの活用がおすすめ

複利効果を高めるならNISAやiDeCoの活用がおすすめ

再投資型の投資信託は、分配金が自動で再投資され元本に組み込まれるため、複利効果が高くなります。

さらに複利効果を高めるためには、NISAiDeCoを活用するとよいでしょう。

ここからは、NISAやiDeCoの口座がおすすめの理由を説明していきます。

NISAやiDeCoがおすすめの理由

NISAやiDeCoがおすすめなのは、投資で得た利益に対する税金が非課税になるためです。

通常、投資信託への投資による利益には約20%の税金がかかります。

一方、NISAやiDeCoは運用益や分配金に課税されないので、その分複利効果が高まり、長期的な資産形成において有利になります。

NISA口座のつみたて投資枠はとくに複利効果を高めやすい

とくにNISA口座のつみたて投資枠は、長期投資により資産形成するのに適した設計となっておりおすすめできます。

iDeCoと比較してNISAの積立投資枠が長期投資に適している理由は、以下表を見れば理解していただけるかと思います。

特徴 NISA iDeCo
年間投資額上限 360万円(※つみたて投資枠と成長投資枠の合計) 27.6万円(※会社に企業年金がない会社員の場合)
投資対象商品 国が定めた条件をクリアした、長期投資に適した投資信託 運用会社によって異なる
資金の引き出し 自由 原則60歳まで不可
目的 自由な資産形成 老後資金の準備

参照:NISAとは?|金融庁

参照:iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等|iDeCo

iDeCoとNISAは、いずれも運用益や分配金が非課税になる点で共通しています。

しかし、NISAは2種類の口座を合わせると、年間の合計投資額が360万円と高く設定されており、より多くの資産を非課税で形成できる可能性があります。

また、原則60歳まで引出し不可のiDeCoとは異なり、資金の引き出しが自由で柔軟に行えるため、長期の積立投資に適しているといえるでしょう。

iDeCoも長期投資に適していますが、年間投資枠が小さく、引出しが自由にできない点がNISAと比べて自由度が低いといえます。

老後に備えるのが目的であれば、iDeCoを選ぶのもよいですが、資産形成が目的であればNISAのほうが使い勝手がよいでしょう。

NISA口座+自動再投資タイプの投資信託で資産形成が円滑に

NISAでの資産形成を目指す場合は、自動で再投資するタイプの投資信託を選ぶのがおすすめです。

自動で再投資するタイプの投資信託であれば、何もしなくても再投資が可能です。いちいち再投資の手続きをする手間がなくなります。

先述の通りNISA口座内での利益は非課税となるため、分配金を再投資しても税金がかかることはありません。

NISA口座を活用し、利益や分配金に課税されることなく、自動再投資タイプの投資信託を長期運用することで、効率的に資産を増やすことができるでしょう。

NISAでの投資はいつから始めるべき?

NISAでの積立投資はいつから始めるべきかですが、結論から言うと、できるだけ早いタイミングで始めるのがおすすめです。

複利効果は運用期間が長くなるほど大きくなるため、少しでも早く始めたほうが有利になるからです。

また、NISA口座は毎年の非課税枠が決まっているので、早く始めることでより多くの金額を非課税で運用できるというメリットもあります。

投資のタイミングに正解はなくいつでもスタートできますが、「いつから始めるべきか」で悩むのであれば、少額からでも構わないので早めにスタートすることをおすすめします。

また、以下の記事ではおすすめする投資信託のファンドについて紹介しています。
種類別に厳選していますので、これから投資信託を始めようと思っている方に参考となる記事です。

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記事まとめ

記事まとめ

投資信託の再投資は決算日に行われますが、多くの場合、決算日の回数は年1~2回です。

再投資の基準価額は「分配落ち後の基準価額」で行われるので、下落した後の価格で購入されることになります。

再投資のタイミングによって購入価格が変わるため、「いつ再投資されるのか?」は重要です。分配金が分配落ち後に再投資される仕組みは、より多くの口数を購入できることにつながるため、投資家にとって有利といえるでしょう。

「そもそも分配金はいつ支払われるのか」については、頻度や金額は投資信託によって異なります。これらは、いつでも運用会社のWebサイトや金融機関から送付される報告書で確認できます。

投資信託で得られた利益を再投資することで、複利効果を得られるため、長期運用では単利運用との差が大きくなります。

その際には、NISAやiDeCoを活用すると利益が非課税になり、資産形成をするうえで有利になります。とくにNISA口座で自動再投資タイプの投資信託を選んで積立投資すると、効率的に資産を作れるでしょう。

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ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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