それぞれの違いやNISAの種類、投資信託とNISAを併用するメリット・デメリットについて解説
近年資産運用を行う人が増えてきて、「投資信託とNISAの違いは?」「両方利用することはできないの?」といった疑問をよく聞きます。
自ら資産運用を行おうとしている方なら、一度は「投資信託」「NISA(ニーサ)」という単語を目にしたことのある単語だと思います。
しかし、それぞれの意味や制限まで理解できている方は多くありません。
本記事では、それぞれの違いやNISAの種類、投資信託とNISAを併用するメリット・デメリットについて解説します。
賢く資産運用を行なっていきたい方の一助になれましたら幸いです。
そもそも投資信託とは
そもそも投資信託(Mutual Fund)とは、多くの投資家から集めた資金を、専門のファンドマネージャーによって管理される投資ポートフォリオに分散投資する金融商品です。
個人投資家や機関投資家が資産を分散させ、リスクを管理しながら資産を増やすための一般的な投資手段の一つとなっています。
投資信託には以下のような特徴があります。
投資信託を活用する際には、自身の投資目標やリスク許容度・ファンドの費用構造などを検討し、最適なファンドを選ぶことが重要です。
NISAは国の制度!一般とつみたての違い
続いてNISA(ニーサ)とは、毎年一定金額の範囲内で購入した投資信託のような金融商品から得られる利益に税金がかからなくなる制度です。
イギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)をモデルにした日本版ISAとして、NISA(ニーサ・Nippon Individual Savings Account)という愛称がついています。
以下の金融庁の情報をもとに、一般NISAとつみたてNISAの違いと、2024年から新しく始まった新NISA制度の仕組みについて解説します。
※金融庁の情報(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html )
一般NISA・つみたてNISAの違い(2023年まで)
つみたてNISAか、一般NISAの2種類あり、どちらの制度を利用するか選択する必要があり、両方同時に行うことは不可能です。
どちらの制度も新規買付を行えるのは2023年末までですが、非課税保有期間が終了するまでは、非課税で保有し続けることができます。
また、それぞれの保有期間以外にも、年間で投資できる金額や買付られる金融商品などに大きな違いがあります。
つみたてNISA | 一般NISA | |
---|---|---|
年間投資枠 | 40万円 | 120万円 |
非課税保有期間 | 20年間 | 5年間 |
非課税保有限度額 | 800万円 | 600万円 |
口座解説期間 | 2023年まで | 2023年まで |
投資対象商品 | 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託(金融庁の規定を満たした物) | 上場株式・投資信託等 |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
一般NISAは金融商品の幅が広い
一般NISAについて、金融庁の公式ページでは以下のように述べられています。
一般NISAとは、2014年1月にスタートした、少額からの投資を行う方のための非課税制度です。
参考:金融庁|一般NISAの概要(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa/overview/index.html)
表を見るとわかるように、一般NISAの非課税期間は5年間で、毎年最大で120万円まで投資がすることができます。
株式やETF、REIT、投資信託など、つみたてNISAでは投資できない金融商品の中からも商品を選べるという特徴があります。
つみたてNISAは長期投資向き
つみたてNISAは、主に長期・積立絵・分散投資を支援する目的でつくられているため、投資を始めた年から20年の間に得た運用利益は税金を払う必要がありません。
また、長期投資向きの制度なので、老後資金や子供の教育資金用の資産運用にもおすすめの制度です。
2024年から新NISA開始
これまで旧NISA制度の一般NISAとつみたてNISAの違いについて解説してきましたが、2024年から新NISA制度が始まり、仕組みが少し変わるため注意しましょう。
新NISAでは、どちらか1つを選ぶ必要はなく、つみたて投資枠(旧つみたて投資)と成長投資枠(旧一般NISA)を併用することが許されています。
また、非課税保有期限が無制限で、最大限度額も大幅に増加していることが特徴です。
つみたて投資枠 | 成長投資枠 | |
---|---|---|
年間投資枠 | 120万円 | 240万円 |
非課税保有期間 | 無期限化 | 無期限化 |
非課税保有限度額 | 1800万円 | 1200万円(1800万円の内) |
口座解説期間 | 恒久化 | 恒久化 |
投資対象商品 | 2023年までのつみたてNISA同様 | 上場株式・投資信託等(注) |
対象年齢 | 18歳以上 | 18歳以上 |
※(注)金融機関による「成長投資枠」を使った回転売買勧誘行為に対し、金融庁が監督指針を改正し、法令に基づき監督及びモニタリングを実施
投資信託とNISAの違いを比較
投資信託とNISAについて解説してきましたが、以下ではそれぞれえを比較した違いを4つのポイントに分けてまとめました。
投資信託は金融商品 vs NISAは制度で非課税
投資信託とNISAの1つめの違いは、制度の性質です。
投資信託は、一般的な投資商品であり、多くの国で利用できる投資手段です。
そのため、特定の税制優遇措置は提供されません。
NISAは日本の特別な制度であり、日本の政府が提供する年金制度の一部です。
日本国内の「家計の安定的な資産形成の支援」と「成長資金の供給」のためであり、国民に対して特別な税制優遇が提供されます。
投資信託の運用制限なし vs NISAは年間上限度額内での運用
2つ目の投資信託とNISA制度の違いは、運用制限にあります。
投資信託には一般的な制限はありません。
そのため投資家は株投資同様、自分のリスク許容度に合わせて異なる種類の投資信託を選択できます。
一方でNISA口座では、一定の年間上限額内でしか運用できません。
また、本記事でも解説した通りその他にもいくつかの制約があるのです。
投資信託は資産を増やすため vs NISAは成長資金の供給
3つ目の投資信託とNISAの違いは、運用目的にあります。
投資信託は、リスクを取りながら資産を増やすことを目指すための一般的な投資手段です。
国内外の多様な市場や資産クラスに投資できます。
NISAは、日本国内の個人向け年金制度の一部として、「家計の安定的な資産形成の支援」と「成長資金の供給」を目指します。
投資信託とNISAを併用するメリット・デメリット
では、投資信託とNISAを併用したらどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。
メリット:投資信託で得た利益が非課税に
投資信託とNISAを併用する最大のメリットとして挙げられるのは、投資信託で得た利益が非課税になるという点です。
NISA制度の特典の中に、投資信託を含む金融商品に適用される非課税の利益があります。
これは、投資家が将来の利益を課税から守ることができるということを意味します。
つまり、投資信託からの利益が税金に影響されず、リタイアメントや将来の目標のために利用できます。
非課税または税金の軽減は、投資の成果を最大化し長期的な資産増加の支援となるでしょう。
デメリット:NISAで買える金融商品に制限あり
投資信託とNISAを併用した場合のデメリットは、NISA口座での投資できる金融商品に制限がある点です。
通常、株式、債券、投資信託、不動産投資信託(REIT)などが許可されますが、一部の高リスク商品や外国株式など、すべての金融商品が対象外であることがあります。
この制約は、投資家が多様な資産クラスや市場にアクセスできる投資信託に比べて、制限された選択肢で運用することを意味します。
よくある質問
最後に、2024年から始まった新NISA制度に関する「よくある質問」の答えをまとめました。
まだ新NIISA制度について疑問のある方は是非参考にしてみてください。
Q1. 新しいNISA制度を始める際、既に現行のNISA制度(一般・つみたて)で保有している商品はどうなるの?
2023年までに一般、またはつみたてNIISAで商品を保有している場合、購入時から一般NISAは5年間、つみたてNISAは20年間、そのまま非課税で保有可能で、売却も自由です。
しかし、上記の非課税期間が終了した後は、新しいNISA制度に移管(ロールオーバー)することはできないため、税金を支払う必要がでてきます。
Q2. 非課税保有限度額については、買付額ベースで管理されるのか?
非課税保有限度の計算方法については、買付け残高(簿価残高)で管理されます。
どういうことかというと、もし新NISA口座内で所有していた商品を売った場合は、その商品の簿価分の非課税枠を再利用して、新しい商品を購入することができます。
記事まとめ
投資信託は株式や債権などを組み合わせた分散型投資のできる金融商品です。
一方でNISAとは、株や投資信託のような金融商品によって得た利益を上限金額分まで非課税にする制度をさします。
これは税制優遇や運用の制限、運用目的などに大きな違いがありますが、これらを併用することで、リスクを分散させた長期の貯蓄を非課税で行うことができるといったメリットがあります。
ただし、NISAには金融商品に制限があるといったリスクがあるため、あなたの投資目標とリスク許容度に合わせてメリットとデメリットを検討し、最適な商品・制度を選びましょう。