投資信託の取り崩しにかかる税金は計算式を覚えて簡単に算出できる!
急な出費の発生や老後の生活資金の確保など、思いがけないライフイベントが起こるタイミングは様々です。
そんなとき、保有している投資信託商品を取り崩して現金化しなければならないことが一度や二度あるかと思います。
取り崩しをするときの税金はどういう風に計算をすれば良いのか疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
本記事では投資信託の取り崩しの際にかかる税金とその計算方法について解説していきます。
投資信託で取り崩しをしたらどれくらい税金がかかる?
前提として、投資信託商品では利益を得るタイミングで税金が発生します。
基本的に①収益分配金を得たときと、②投資信託商品を途中換金や売却した際に譲渡益を得たとき、投資信託商品が満期を迎え、③償還によって利益が得られたときの3つのタイミングで課税がなされます。
また、投資信託商品には、「公募株式投資信託」と「公社債投資信託」の2つの区分がありますが、税率はいずれも利益に対して20.315%が徴収されます。
取り崩しをする場合、「含み益」が課税の対象に!
投資信託の取り崩しは、上述の②投資信託商品を途中換金や売却した際に譲渡益を得たときに該当します。
この際、注意しておきたいのが取り崩し時に課税の対象となるのは「含み益」の部分だけです。
すなわち、保有する投資信託商品が元本割れを起こしている時に税金はかかりません。
投資元本に対して税金がかかることはありません。
計算方法をチェック
具体的な計算方法についても確認していきましょう。
投資信託で税金の取り崩しをするとき、計算式は下記の通りになります。
例えば、投資元本が800万円、含み益が200万円の投資信託商品から40万円を取り崩しを行う場合はどうなるでしょうか。
上記の場合、含み益の比率=200万円÷800万円=25%です。
取り崩し予定額は計算式に当てはめると、
したがって支払う税金は16,252円となります。
上手に取り崩しを行う方法を2パターンに分けて紹介
急な出費が発生する場合を除き、投資信託の取り崩しや解約は可能な限り計画的にしたいものです。
取り崩しを上手に行う方法を「定率取り崩し」と「定額取り崩し」の観点から解説します。
定率取り崩し
定率取り崩しとは、保有する投資信託商品に対して一定の割合ごとで毎月や毎年など定めた期間ごとに取り崩していく手法です。
定率取り崩しのメリットは、定額取り崩しと比較を行った場合に資産が減るスピードが遅い点が挙げられます。
また、保有する投資信託商品の評価額が下がっている時は取り崩す金額自体も減るため、資産寿命を長く維持することが可能となります。
デメリットは取り崩す金額が安定しないことです。
評価額が高水準で推移している時は取り崩す際に多くの金額が入ってくることになりますが、評価額が下がった時は取り崩す金額は減りますので、収入のコントロールが難しくなります。
定額取り崩し
定額取り崩しとは、保有する投資信託商品に対して一定の金額を定めた期間ごとに取り崩していく手法です。
定額取り崩しのメリットは、予算管理がしやすい点にあります。
毎月同じ金額を取り崩すことで、月々の収入や支出をコントロールすることが可能です。
デメリットは資産寿命が短くなる可能性があるという点です。
取り崩す金額が一定であると保有する投資信託商品の評価額が下落したときに売却する口数が多くなってしまう恐れがあります。
ルール設定が肝心
投資信託において定率取り崩しと定額取り崩し双方にそれぞれメリット・デメリットがあることを理解できたかと思います。
また、投資信託に限らず資産運用する上で重要なのは自分なりの運用ルールを決めることです。
定率取り崩しでは「4%ルール」という考え方が存在します。
この4%ルールとは、1998年に米トリニティ大学のグループより発表されました。
この発表では資産の4%を一年間の生活資金に充てると、30年間は資産が尽きないというものでした。
現在はFIREを目指す方々の指標となっていることが多いですが、それ以外の方でも通用する理論です。
このルールを適用すると、資産が十分に積み立てられていれば、引き出した金額が将来の収入や支出をカバーできる可能性が高まります。
投資信託で確定申告は必要?
投資信託で利益が発生したら原則としてNISA口座など非課税対象のものを除き、確定申告を行う必要があります。
投資信託で得た利益は、申告分離税と言って他の所得と切り離して税額を計算する仕組みが取られているためです。
しかし一定の条件を満たした場合、確定申告が不要となるケースもありますので口座区分ごとに解説していきます。
一般口座の場合
一般口座とは証券会社で取引を始める際に、開設する口座の1つで、運用益や配当金が生じた際に、税金の計算や納税手続きを全て投資家自身が行う必要がある口座のことです。
一般口座の場合、年間取引報告書というものを自分で作成しなければなりません。
したがって一般口座で保有している投資信託商品から利益が生じた際、原則として確定申告は必要となります。
特定口座(源泉徴収なし)の場合
特定口座とは、投資信託や株式の運用益に発生する税金を簡易的な納税申告手続きで済ませることができる制度のことを指します。
特定口座には「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の2種類があり、どちらを選択するかで対応の仕方が異なってきます。
源泉徴収なしの特定口座は「簡易申告口座」とも呼ばれ、特定口座内で投資信託や株式の運用益や損失が発生しても源泉徴収されないため、投資家自身で確定進行を行う必要があります。
一般口座との違いは投資家自身が取引について一から計算する必要はない点です。
「特定口座年間取引報告書」を証券会社が発行してくれるのでより簡単に確定申告ができます。
特定口座(源泉徴収あり)の場合
特定口座(源泉徴収あり)では、特定口座内で投資信託や株式の運用益に対して源泉徴収することを選択が可能となります。
また、特定口座内の投資信託に運用損失がある場合は、分配金等の配当利益の総額から運用損失分を控除した金額をベースに源泉徴収税額の計算がなされます。
利益が20万円以下であれば確定申告は不要
投資家の年収が2,000万円以下の給与所得者(サラリーマン)かつ、給与以外の所得が年間20万円以下の場合は、申告不要制度が適用されますので確定申告をする必要はありません。
しかし、投資信託での利益が20万円以下であっても、副業等で得た収入を合算して20万円を超えてしまう場合は確定申告が必要となりますので注意が必要です。
記事のまとめ
本記事では、投資信託で取り崩しをする際にかかる税金やその計算方法について解説しました。
取り崩しする際の税金の方法は以下の通りです。
投資信託では取り崩しをする際のルール設定を明確に定めておくことでより緻密な資産管理が可能となります。
投資信託の運用ルールは本記事で紹介したもの以外にも多くありますので興味のある方はぜひ調べて見てください。
投資信託の税金にお困りならR&C株式会社にご相談ください
また、投資信託の税金について困ったことがあればファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。
ファイナンシャルプランナーとは、相談者の将来のライフプランニングに寄り添った資金計画やアドバイスを行う専門家のことです。
投資信託や贈与に関するアドバイスはもちろんのこと、保険やiDeCoなどその他の金融資産、所得に応じた家計管理を総合的な観点からアドバイスをもらえます。
確定申告や口座の開設で困ったことがあればぜひ「お金のプロ」の意見を聞くことも参考にして見てくださいね。