投資信託の税金にまつわる疑問を全て解決!より効率的な資産運用を
資産運用を行う上で税金は切っても切れない関係と言っても過言ではありません。
しかし、投資信託に関わらず税制は複雑であることが多いため、具体的にかかる税金のイメージが難しい方も多いかと思います。
本記事では投資信託の税金の徴収タイミングや、課税対象など税金のあれこれについて解説していきます。
利益が出たら金額関係なく税金を支払う必要がある!
投資信託において税金は利益がいくらからかかるでしょうか?
結論から言うと、利益額に関わらず税金を払わなければなりません。
また、投資信託では申告分離課税制度が適用されています。
この申告分離課税制度は投資による収益を透明化し、公平に課税するための制度です。
投資家が投資によって得た利益や配当などの所得を得た場合、給与や事業所得とは別に申告しなければなりません。
投資信託では、利益に対して所得税と住民税、復興所得税の3種類の課税がされます。
※復興所得税は2037年まで
【税率は20.315%】その内訳は?
投資信託の利益にかかる税率は20.315%となります。
また税率の内訳は以下の通りとなります。
- 所得税:15.315%(うち0.315%は復興所得税)
- 住民税:5%
20万円以下は確定申告不要だが住民税は納める
投資信託の譲渡益や分配金等の利益や副業等での収入を計算した利益が年間で20万円以下であった場合、原則として確定申告を行う必要はありません。
しかし、住民税は別途納める必要がありますので注意が必要です。
投資信託の税金が発生するタイミングは利益の種類で異なる!
投資信託において税金が徴収されるタイミングは、利益が発生した時です。
投資信託では基本的に下記のタイミングにおいて利益を得ることができます。
- 分配金を得たとき
- 投資信託を売却したとき
- 償還されるとき
分配金を得たとき
投資信託における分配金とは、運用によって得られた利益を決算ごとなど事前に定められたタイミングで投資家に分配されるお金のことです。
税金がかかるタイミングは「分配金が入金されたとき」になります。
また注意が必要な点として、配当金には「普通分配金」と「元本払戻金」の2種類があることが挙げられます。
普通分配金
普通分配金は、元本を上回った分の運用益が投資家に支払われます。
投資信託の場合だと、そのファンドが保有する銘柄の企業が利益を出した際に、その利益の一部がファンドに分配され、投資家に配当として支払われます。
普通分配金は投資家の利益になるので、課税対象となります。
元本払戻金(特別分配金)
元本払戻金は、元本の一部を投資家に「戻す」仕組みです。
運用資金は元本から払い戻されてしまいますので、払い戻された元本払戻金の額だけ基準価額は下がります。
すなわち元本払戻金は元本の一部を投資家に払い戻すという考え方なので、非課税扱いとなります。
投資信託商品の中では分配金を受け取る商品と受け取らない商品がありますが、双方にメリット・デメリットがあるので資産運用の目的によってどちらが自分の投資スタイルに合っているかを吟味することが必要となります。
投資信託を売却したとき
投資信託を売却する際、売却時の評価額が購入時の価格を上回った場合、その差額が利益となります。
この利益(売却益)が課税の対象となりますが、この税金は投資信託を売却したタイミングで課税がなされることになります。
損失が発生し売却益が発生しないケース、つまり元本割れが起きているケースでは税金を徴収されることはありません。
償還されるとき
投資信託には商品によって運用期間があらかじめ定められているものがあります。
満期を迎えたタイミングで解約となり、投資家に運用資金とその利益が返還されます。
この満期を迎えた商品から投資家にお金が戻ることを「償還」と言います。
償還においての税金は、投資信託を売却した時と同じ考え方です。
したがって、償還時の評価額が購入時の価格を上回った利益にかかります。
また、税金がかかるタイミングはこの償還がされたときになります。
投資信託の税金は確定申告をしないといけない?
投資信託で利益が発生したら原則として確定申告を行う必要があります。
納める税金の透明化を目的にとして申告分離税(事業所得や給与所得などと切り離して税額を計算する仕組み)が取られているためです。
しかし一定の条件を満たした場合、確定申告が不要となるケースもあります。
一般口座と特定口座の区分ごとに解説していきます。
一般口座の場合
一般口座とは証券会社で取引を始める際に、開設する口座の1つです。
これは運用益や配当金が生じた際に、税金の計算や納税手続きを全て投資家自身が行う必要がある口座のことです。
一般口座の場合、年間取引報告書というものを自分で作成しなければなりません。
したがって一般口座で保有している投資信託商品から利益が生じた際、原則として確定申告は必要となります。
特定口座(源泉徴収なし)の場合
特定口座とは、投資信託や株式の運用益に発生する税金を簡易的な納税申告手続きで済ませることができる制度のことを指します。
特定口座には「源泉徴収なし」と「源泉徴収あり」の2種類があり、どちらを選択するかで対応の仕方が異なってきます。
源泉徴収なしの特定口座は「簡易申告口座」とも呼ばれ、特定口座内で投資信託や株式の運用益や損失が発生しても源泉徴収されないため、投資家自身で確定申告を行う必要があります。
一般口座との違いは投資家自身が取引について一から計算する必要はない点です。
「特定口座年間取引報告書」を証券会社が発行してくれるのでより簡単に確定申告ができます。
特定口座(源泉徴収あり)の場合
特定口座(源泉徴収あり)では、保有する投資信託商品から得られる分配金や利益に対して、金融機関が源泉徴収を行います。
したがって、源泉徴収がされる特定口座の場合は確定申告は不要となります。
また、特定口座内の投資信託に運用損失がある場合は、分配金等の配当利益の総額から運用損失分を控除した金額をベースに源泉徴収税額の計算がなされます。
確定申告 | 年間取引報告書 | |
---|---|---|
一般口座 | 利益が20万円を超える場合必要 | 自分で作成 |
特定口座(源泉徴収なし) | 利益が20万円を超える場合必要 | 金融機関が代わりに作成 |
特定口座(源泉徴収あり) | 不要 | 金融機関が代わりに作成 |
初心者は特定口座(源泉徴収あり)での口座開設がおすすめ
投資初心者が初めて投資信託を行う場合は、源泉徴収ありの特定口座を開設することをおすすめします。
源泉徴収ありの特定口座では、上述したように確定申告の必要がないため、税金の計算や申告手続きを気にする必要がありません。
慣れていない場合、年度末の忙しい時期に一から年間取引報告書を作成したり確定申告の手続きをするのは大変な作業となります。
よって初めのうちは源泉徴収ありの特定口座で始めることをおすすめします。
投資信託ではNISA制度を活用すれば非課税に!
国民の所得倍増を推し進める政策の一環として2024年より新NISA制度がスタートされました。
新NISAでは投資上限枠の拡大や非課税保有期間の恒久化など、これまでの制度に取り決められていた条件がかなり緩和されました。
資産運用をこれから始めたいと思っている方にとっては、NISAを活用しない手はないと言っても過言ではありません。
そもそもNISAとは?
NISAとはNippon Individual Savings Accountの頭文字をとったものであり、個人が株式や投資信託などの金融商品に投資する際に、税金の優遇措置を受けることができる制度のことです。
NISA制度を利用するメリットは、利益に対して非課税措置が取られることです。
通常の投資信託や株式投資の場合だと、譲渡や分配金で得られる利益の20.315%の税金がかかると説明しましたが、NISAでは所得税や住民税がかからないので大きな節税効果を見込むことができます。
NISAは原則として確定申告が不要
NISA口座で購入した投資信託商品、運用益や配当金で得られる利益に対して税金が発生しません。
すなわち、確定申告をする必要はありません。
NISAの始め方
NISAの制度を活用して投資信託を始める場合、NISA口座を開設する必要があります。
これは銀行や証券会社、投信会社等の金融機関で開設できます。
NISA口座を開設する注意点は2つあります。
1つ目は、NISA口座は一人一つまでしか開設できない点です。
2つ目は、金融機関によって購入可能な投資信託商品の種類や商品数が異なると言う点です。
現在はネット証券や証券会社、銀行など様々な金融機関で口座を開設できますが、金融機関によって特徴も大きく異なります。
投資信託においてそれぞれの金融機関に当てはまる一般的な特徴について見ていきましょう。
ネット証券で口座開設
ネット証券でNISA口座を開設する場合のメリットはなんと言っても購入できる投資信託の商品数が多いことです。
最もNISA口座の開設数が多いSBI証券は1,188本もの商品が販売されています。(2024年4月現在)
また、ネット証券は基本的に実店舗を持っていない場合が多いです。
すなわち、運営コストを抑えられるので、その分運用時手数料や解約手数料などが非常に安く設定されていることが多いです。
中には手数料が無料となっている証券会社もあるようです。
更に、楽天証券やauカブコム証券などは保有数や購入金額に応じて自社ポイントが付与されることもあります。
いわゆる「経済圏」で普段のお買い物や生活をされている方は関連するグループ会社で投資信託を始めるのも賢い選び方と言えるのではないでしょうか。
証券会社で口座開設
対面式の証券会社でNISA口座を開設する場合のメリットは、窓口で相談ができる点になります。
初心者の場合だと、何から手をつけて良いか分からない場合も多いでしょう。
対面式の証券会社であれば気兼ねなく相談ができるので、情報収集のきっかけが掴める可能性があります。
また、ネット証券とは違って個人に担当の「営業マン」がつくことが多いです。
もし、ご自身の投資スタイルに合った投資信託商品が販売された際には電話等で案内をしてくれる場合があります。
さらに証券会社では投資信託商品だけでなく株式投資など他の投資商品を取り扱っています。
資産運用において鉄則である分散投資を始める環境としてはうってつけだと言えます。
銀行で口座開設
銀行でのNISA口座を開設する場合のメリットは、普段利用している銀行の窓口で相談できる点になります。
普段からお仕事で利用されていたり、顔馴染みの行員であればより真摯に相談に乗ってくれることも多いでしょう。
一方でネット証券や対面証券会社と比較すると購入できる投資信託商品の数はかなり少ない上、株式の取り扱いはしていないので選択肢の自由度は低いとも言えます。
さらに懸念材料として、銀行の投資信託商品は手数料が割高に設定されている場合が多いです。
したがって売却のタイミングによっては元本割れとなってしまう可能性が高くなってしまうことも購入時にチェックしておきたいところです。
NISAを始める前に一般口座か特定口座の開設が必要
特定口座か一般口座の投資信託口座を持っていない場合は、いずれのNISA口座も開設できません。
NISA口座で投資信託を取引したい場合は、特定口座か一般口座を開設する必要があります。
上述したように、確定申告の手間がかからないと言う点から、源泉徴収ありの特定口座で口座開設することをおすすめします。
記事のまとめ
本記事では、投資信託にかかる税金の内訳とその税率について解説しました。
投資信託では、利益の金額に関係なく20.315%の所得税及び住民税が徴収されます。
投資信託を始める際の口座区分は、源泉徴収ありの特定口座で開設すると確定申告を自分で行う必要がないので初心者にはオススメです。
またNISA制度を活用した資産運用においても、得られた利益に対して税金はかからないため、確定申告が不要かつ節税にもつながります。
ただし、NISA口座は一人一つまでしか開設することができないため、どの金融機関で始めるか、事前の情報収集は忘れずにしておきましょう。
投資信託の税金にお困りならR&C株式会社にご相談ください
投資信託の税金や確定申告等について困ったことがあればファイナンシャルプランナーに相談することもおすすめです。
ファイナンシャルプランナーとは、相談者の将来のライフプランニングに寄り添った資金計画やアドバイスを行う専門家のことです。
投資信託や贈与に関するアドバイスはもちろんのこと、保険やiDeCoなどその他の金融資産、所得に応じた家計管理を総合的な観点からアドバイスをもらえます。
投資信託の税金や確定申告等で困ったことがあればぜひ「お金のプロ」の意見を聞くことも参考にして見てくださいね。