投資信託のリスクを理解して賢い資産運用を始めよう
投資信託を貯金代わりに使いたいという人は珍しくありません。しかし、実際のところ、投資信託は貯金の代わりになるのでしょうか。
この記事では、投資信託と貯金の違いや、投資信託のメリット・デメリットを詳しく解説します。そのうえで、投資信託を貯金代わりに使うべきかどうかを考えていきます。
また、もし投資信託を始めるなら、どのような点に注意すべきかもお伝えします。
投資信託を貯金代わりに使うことを検討中の方は、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。
【結論】投資信託は貯金代わりにはならない
結論から言うと、投資信託は貯金の代わりにはなりません。その理由は大きく分けて3つあります。
- あくまでも投資なので元本割れのリスクがある
- 投資信託は流動性が低く現金化に時間がかかる
- 投資信託は長期保有で効果を最大化できる
このように、投資信託にはメリットもありますが、貯金の代わりとしては不向きな面がいくつかあります。
以下で、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
あくまでも投資なので元本割れのリスクがある
投資信託はあくまでも投資で、運用の仕方や投資した商品の値動きによっては損失が出る可能性があります。
そのため、仮に手元の資金を貯金代わりに投資信託に投資した場合、投資信託の値動き次第では元本を割り込み、資産が大きく減ってしまう恐れがあります。
したがって、投資信託を貯金の代わりとして捉えるのは適切とは言えません。
失ってはまずい資金を投資信託に充てるのは避け、損失が出ても問題ない範囲で投資信託を購入することをおすすめします。
投資信託は流動性が低く現金化に時間がかかる
貯金と比べて流動性が低く現金化に時間がかかるのも、投資信託を貯金代わりに使えない理由の一つです。
流動性とは資産を現金化しやすい度合いのことで、投資信託と貯金の流動性は以下のようになっています。
商品 | 現金化までの時間 |
---|---|
投資信託 | 4~8日程度※ |
普通預金 | すぐに引き出し可能 |
このように、普通預金が好きなときにお金を引き出せるのに対し、投資信託は現金化に数日程度の時間がかかります。
そのため、貯金代わりに投資信託を購入していると、現金が必要な際に対応が難しくなる可能性があります。
以上のように、流動性の低さも投資信託を貯金代わりにするのが難しい要因の一つと言えます。
投資信託は長期保有で効果を最大化できる
投資信託は短期間で売買するよりも、長期保有することで投資効果を最大化できる商品です。
投資信託は長期保有することで運用で得た利益を再投資でき、お金が雪だるま式に増えていくことが期待できるからです。
一方で、短期保有ですぐに現金化してしまうと、お金を増やせずに投資信託に投資する意味が薄くなってしまいます。
また、投資信託は保有中や売買の際に手数料などのコストがかかるので、預金代わりに利用すると損するという面もあります。
これらの理由から、投資信託は貯金代わりに使うのではなく、長期保有に適しているといえます。
それでも貯金をするより投資信託を始めるべき理由
投資信託は貯金の代わりにはならないとわかっていても、それでも投資信託を始めたほうがいい理由があります
その理由は以下の2つです。
- 定期預金よりも高いリターンを得られる可能性が高い
- インフレによる資産の目減りを防ぐことができるため
ここからは、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
理由①:定期預金よりも高いリターンを得られる可能性が高い
お金を積み立てて貯金するポピュラーな商品には、定期預金があります。
リスクが低いため投資信託よりも定期預金を選ぶ人もいますが、高いリターンの可能性を考えると、投資信託を選ぶのが賢明です。
実際にそれぞれの金利やリターンを見てみましょう。
定期預金の金利は0.025%~0.300%※1です。それに対して、2013年から2022年までの10年間の平均リターン※2は以下の通りです。
- 国内の株に投資する投資信託:12.17%
- 海外の先進国の株に投資する投資信託:14.45%
※2013年から2022年までの10年間の平均リターン(税引前、分配金再投資ベース)
このように、定期預金と比較して投資信託の平均利回りははるかに高いことが分かります。
投資信託の利回りは商品によって異なるので、確実に上記の成績が出るわけではありません。
しかし、平均リターンを比較すれば、投資信託に投資したほうがお金を増やせる可能性が高いといえるでしょう。
※1 参照 円預金金利 | みずほ銀行 https://www.mizuhobank.co.jp/rate_fee/rate_deposit.html
※2 参照 投資信託の運用資産規模とパフォーマンス | 日本証券業協会 https://www.jsda.or.jp/about/kaigi/chousa/JCMF/hondaronbun2.pdf
理由②:インフレによる資産の目減りを防ぐことができるため
最近、日本でも物価上昇率(インフレ率)が高くなっています。2022年は2.5%と、2014年以降で最も高い数字を記録しました。
2024年現在、さらに物価が上昇していることを考えると、運用せずに貯金しているだけでは、お金の価値が今後も下がり続ける可能性が高いといえます。
そんな時に役立つのが投資信託です。投資信託は、インフレ率よりも高い利回りを得られる可能性があるため、お金の価値を守り、増やすことができます。
例えば、S&P500に連動する投資信託に2012年~2022年の10年間投資した場合のリターンは約14.7%※2と、インフレ率をはるかに上回っています。
そのため、貯金するよりも投資信託に投資したほうが、インフレに対応できる可能性が高いといえます。
※1 参照 減速感を強める世界経済 | 経済産業省 https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2023/2023honbun/i1130000.html
※2 参照 S&P500、過去10年の平均リターンは約14.7% | MONEY INSIDER https://www.businessinsider.jp/post-256239
運用時のリスクを考慮した上で余裕を持った資産運用を
投資信託を購入すれば、お金をそのまま持っているよりも、お金が増える可能性が高くなります。
そのため、ただ貯金しておくよりも、投資信託の購入を検討したほうがよいでしょう。
ただし、投資信託は、リスクを伴う金融商品であることを忘れてはいけません。運用する際は、以下の点を押さえるようにしましょう。
- 長期的な視点を持って運用する
- 無理のない金額から始める
- リスク許容度を取れるか決めておく
特に、投資経験が浅い方は少額からスタートし、徐々に投資額を増やしていくことをおすすめします。
また、投資で損失を出しても生活に支障が出ない範囲の金額で行うのが鉄則です。無理のない投資を心がけましょう。
貯金代わりにはつみたてNISAの活用がおすすめ
投資信託の中でも、特に貯金代わりにおすすめなのが「つみたてNISA」です。
つみたてNISAが貯金代わりにおすすめな理由は以下の3つです。
- 無理のない金額から始められる
- 値動きに惑わされずに済む
- 非課税で運用益を得られる
こういったメリットがあるので、つみたてNISAを活用すると貯金感覚で、着実に資産を作れる魅力的な制度と言えるでしょう。
ここからは、つみたてNISAが貯金代わりにおすすめの理由を詳しく見ていきましょう。
つみたてNISAがおすすめの理由①無理のない金額から始められる
無理のない金額から気軽に始められるのも、つみたてNISAをおすすめできる理由です。
つみたてNISAは証券会社によっては毎月100円※1という少額から始められるので、余裕資金の範囲で気軽な積立が可能です。
そのため、たとえば月々1万円などの生活スタイルに合わせた金額を積み立てられるのが、大きな魅力です。
例えば、月1万円を10年間積み立てると、元本は120万円になります。仮に年利5%で運用できれば、10年後の元本と利息の合計は約155万円※2。このようにコツコツ積み立てることで、大きな金額に育つ可能性があるのです。
貯金をしてもお金は増えませんが、つみたてNISAなら効率よく資産を作れる可能性があります。
※1 参照 100円からはじめられるNISA | SBI証券 https://go.sbisec.co.jp/lp/nisaxyoung_220725.html
※2 参照 資産運用かんたんシミュレーション | アセットマネジメントOne
https://www.am-one.co.jp/shisankeisei/simulation.html
つみたてNISAがおすすめの理由②値動きに惑わされずに済む
値動きに惑わされずに資産運用できるのも、つみたてNISAを貯金代わりにおすすめできる理由の一つです。
株や投資信託などの金融商品の多くは、投資すると値動きが気になってしまいます。売買のタイミングを考えるのに時間がかかったり、値動きが気に合ってしまったりして、とても貯金代わりにはできないでしょう。
その点、つみたてNISAは毎月決まった日に決まった金額を買い続けるだけなので、値動きに一喜一憂せずに済みます。
また、つみたてNISAは、ドルコスト平均法を自動的に行えるのも魅力です。相場が下がった時には安い値段で多く買えて、上がった時には高い値段で少なめに買うことができます。
このように、貯金代わりに積み立てるだけで効率的な投資ができるのです。
つみたてNISAがおすすめの理由③非課税で運用益を得られる
つみたてNISAのもう一つの大きな魅力は、非課税で運用益を得られる点です。
通常、投資で得た利益には税金がかかりますが、つみたてNISAでは完全非課税で運用することができます。
例えば、毎月1万円ずつ積み立てて20年間運用したとします。年利5%で運用できた場合、20年後の運用益は約245万円になります。
もし非課税でなければ、この運用益に対して約20%の税金がかかります。一方で、つみたてNISAなら税金を気にせず、丸々利益を受け取れます。
このように、税金がかからないことから、貯金代わりに月々無理のない範囲を積立することで、まとまった資産を作れる可能性があります。
そのため、貯金代わりに積立NISAで投資しておくと、将来に備えるうえで役立つことでしょう。
資産運用を始める場合は「お金のプロ」に相談を
投資信託は貯金の代わりにはなりませんが、お金を増やす方法としてはおすすめです。
ただし、投資の経験があまりない場合、いきなり資産運用を始めるのは不安かもしれません。そんな時は、ファイナンシャルプランナー(FP)に相談するのが一番です。
FPは資産運用のプロなので、投資信託を含めたさまざまな金融商品の特徴を熟知しています。あなたの状況に合った、最適なアドバイスをしてくれるでしょう。
相談することで、投資の基礎知識から運用方法、リスク対策まで、幅広く教えてもらえます。
また、定期的にFPと面談を行えば、運用状況を客観的に評価してもらい、必要に応じて運用方針を見直すこともできます。
資産運用は自分の責任で行うものですが、FPのサポートを受けられるのは心強い味方となります。
投資信託が貯金の代わりにならないことを踏まえた上で、専門家の知恵を借りて、自分に合った資産運用を始めてみてください。
(オンライン相談もOK)
記事のまとめ
この記事では、投資信託が貯金の代わりになるのかを詳しく説明しました。
投資信託は、元本割れのリスクがあったり流動性が低かったりするので、貯金の代わりに使うのは難しいのが正直なところです。
しかし、定期預金よりも高いリターンが期待できたり、インフレによるお金の価値の目減りを防げたりするので、貯金よりも投資信託を始めるべき理由があります。
投資信託を始めるなら、長期的な視点を持って、無理のない金額から始めることが大切です。特に、初心者の人にはつみたてNISAがおすすめです。
つみたてNISAなら、毎月少額から積み立てられて、値動きに惑わされずに済みます。しかも、運用益が非課税なので、税金の心配もいりません。
投資は怖いと思うかもしれませんが、お金のプロであるFPに相談すれば、安心して始められます。
老後の生活のために、貯金だけでなく、投資による資産形成にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
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