投資信託
ETFと投資信託の違いと共通点をわかりやすく解説!賢い資産運用の選択方法
ETFと投資信託の違いと共通点をわかりやすく解説!賢い資産運用の選択方法
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EFTとは?投資信託との違いやそれぞれのメリット・デメリットを解説!資産運用の選択方法も

最近はNISAの影響もあり、自分で株式投資などの資産運用を行う人が増えてきました。

しかし、投資を始めるにあたってETF(上場投資信託)と一般的な投資信託の違いが分からないという声をよく耳にします。

投資信託は、多くの投資家から資金を集めて運用し、その収益を分配する集合投資スキームです。

ETFも仕組みは同じですが、それぞれメリットやデメリットがあるため、向き不向きが存在するのも事実です。

本記事では、ETFと投資信託の違いや共通点、それぞれのメリット・デメリットについて解説します。

また、これから実際に投資を始めようとしている方のため、どちらの方が向いているかついても解説しますので、少しでもお役に立てましたら幸いです。

ETF(上場投資信託)って何?

ETF(上場投資信託)って何?

そもそもETF(上場投資信託)は「Exchange Traded Funds」の略で、簡潔にいうと上場している投資信託のことを指します。

上場しているということは、その企業が発行する株式が証券取引所で売買できる資格を証券取引所からもらっているということです。

そのため、ETFは、株のように証券取引所で売買ができる投資商品になっており、リアルタイムで価格変動が行われています。

注文方法は、希望する上限価格を指定して発注する「指値注文」か、売買値段を指定しない「成行注文」のどちらかから選べます。

そしてETFも投資信託なので、個々の株や債券を直接選ぶ代わりに市場全体に分散投資するため、初心者でも簡単に幅広い市場にアクセスできる投資方法になっています。

ETFと投資信託の違いと共通点

ETFと投資信託の違いと共通点

ETFについて解説しましたが、まだ投資信託との違いがわからない人も多いのではないでしょうか。

以下では、ETFと投資信託の違いが理解しやすいよう、よく知られている株式とも一緒に比較します。

投資信託 ETF 株式
①上場/非上場 非上場 上場 上場
②取引可能時間 証券会社、銀行、商品によって違いがある 市場と同様 市場と同様
③取引価格 1日1回算出される基準価格 市場価格(リアルタイムで変動) 市場価格(リアルタイムで変動)
④取引場所 証券会社、銀行etc 証券会社 証券会社
⑤取引方法 基準価額をもとに購入価額を算出して購入 指値 or 成行注文 指値 or 成行注文
⑥分配金/配当 分配金 分配金 配当
⑦信託報酬 インデックスファンド→低い アクティブファンド→高い 低い なし

以下では、それぞれの違いが具体的にどんな意味を指すのかわかりやすく解説します。

①上場/非上場

ETFと株式はどちらも上場ですが、投資信託は非上場です。

前述の通り、上場するということは証券取引所で売買できるということを意味します。

証券取引所を通して売買する場合は、世界中どこにいても誰でも取引することが可能です。

一方で、非上場の株式は一般の人がなかなか買えないという違いがあります。

②取引可能時間・③価格・④場所

ETFと株式は証券取引所で取引され、そのため取引所が開いている間(通常は平日9:00~11:30までと12:30~15:00まで)のみ取引可能です。

これにより、市場時間内の価格変動に応じてリアルタイムで売買することができます。

一方で、投資信託は取引所外で取引され、その価格(純資産価値)は通常、取引日の終了時点で計算されるという違いがあります。

したがって、投資信託の購入や売却はその日の市場価格に基づいて行われ、即時の市場価格変動に対応することはできません。

これらの違いは、特に短期取引を行う投資家や市場の急変に対応したい投資家にとって重要な考慮事項となります。

⑤取引方法

ETFと株式は証券取引所で直接取引され、実際の市場価格でリアルタイムに売買でき、指値注文か成行注文か選ぶことが可能です。

これにより、価格の透明性が高く、市場の供給と需要に基づいた価格形成がなされます。

投資信託は通常、ファンド会社や金融機関を通じて購入し、前述の通りその価格は1日1回、その日の終了時の純資産価値(NAV)に基づいて決定されます。

投資信託の取引は、市場のリアルタイム価格ではなく、その日の終わりの価格で行われるため、市場の短期的な動きに対応するのが難しいです。

⑥分配金/配当

株式の場合、企業が生み出した利益の一部を株主に配当として支払うことがあります。

この配当は、企業の業績や経営方針によって決まります。

対照的に、ETFや投資信託は、それぞれの運用状況や運用会社の方針に基づいて分配金を支払うことがあります。

分配金には二種類あり、一つは運用による利益からの「普通分配金」、もう一つは投資家の元本から支払われる「特別分配金(元本払戻金)」です。

ETFの分配金は、通常、運用から得られた利益に由来する普通分配金に限られ、特別分配金は含まれません。

これにより、ETFの分配金は運用による純粋な利益として捉えることができます。

一方、投資信託の分配金には時に特別分配金が含まれることがあり、これは投資家自身の元本が一部返還されている状態を意味することがあります。

したがって、投資信託の分配金には、運用による利益だけでなく、元本が含まれている場合もあるという点が重要です。

⑦信託報酬

信託報酬とは、投資信託やETFの運用会社が投資家から受け取る手数料のことです。

この報酬は、ファンドの運用・管理に関わる費用として設定されており、ファンドマネージャーの報酬、管理会社の運営費、その他の運用に関連する経費(例えば、監査費用、法務費用など)をカバーするために用いられます。

ETFは一般的に低い信託報酬を持ち、これはETFのパッシブ運用(市場指数追従)の性質によるものです。

パッシブ運用は市場指数に連動するため、積極的な資産選択や管理が少なく、コストが抑えられます。

一方、投資信託はアクティブ運用が多く、ファンドマネージャーによる積極的な資産選択と管理が必要となるため、信託報酬が高くなりがちです。

株式には直接的な信託報酬は存在しませんが、取引には手数料や税金がかかることがあります。

投資家は、これらのコストを考慮し、総合的な運用効率を判断する必要があります。

ETFはコスト効率が高い一方で、アクティブファンドの高い信託報酬は、その管理スタイルや潜在的な高リターンを反映しています。

取引や売却・解約手数料の違い

ETF、投資信託、および株式の取引や売却・解約手数料には以下のような違いがあります。

株式

株式の取引には、証券会社を通じて行われ、その際に取引手数料が発生します。

売却時も同様に手数料がかかりますが、株式の保有に関しては解約手数料は通常ありません。

ETF

ETFの取引手数料は、株式同様に証券会社を通じて取引される際に発生し、売却時も取引手数料がかかります。

ETFは株式同様、上場されているため特別な解約手数料は一般的にはありませんが、売却時の取引手数料は考慮する必要があります。

投資信託

投資信託の購入時には、購入手数料(申込手数料)がかかることがあります。

一部の投資信託では、早期に売却・解約する場合に解約手数料が発生することがあります(バックエンド型)。

投資信託の売却時にも、場合によっては手数料がかかることがあります。

ETFとインデックスファンドの違い

ETFとインデックスファンドの違い

ETFとインデックスファンドは、どちらも市場の指数やポートフォリオに追従するパッシブ運用と呼ばれる運用方法を取り入れており、とても似ているため違いが分からなくなる人も多いです。

しかし、ETFとインデックスファンドは取引方法や流動性に重要な違いがあります。

ETFは株式のように証券取引所で取引され、市場時間中にリアルタイムで価格が変動します。

この特性により、ETFは取引の柔軟性が高く、短期の市場動向に素早く対応することが可能です。

また、ETF高い流動性を持ち、市場の供給と需要に基づいた価格で即時に売買が行えるのが特徴です。

一方、インデックスファンドは従来の投資信託の形態をとっており、ファンド会社や金融機関を通じて購入・売却されます。

これらのファンドの価格は、1日1回取引日の終了時に計算される純資産価値(NAV)に基づいています。

このため、インデックスファンドの売買は即時には反映されず、より長期的な投資戦略に適しています。

メリットとデメリットを比較

メリットとデメリットを比較

ETFと投資信託の違いはご理解いただけたでしょうか。

以下では、ETFと投資信託のメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

ETFのメリット

ETFのメリットは主に以下の3つが挙げられます。

  • 高い流動性
  • 低い運用コスト
  • 分散投資

ETFは上場で証券取引所で株式のように取引されるため、市場が開いている間はいつでも売買が可能で、市場の動きに素早く反応することが可能です。

そのため、株式指数が低い場合に買い、高くなったら売りやすくなっています。

また、多くのETFはパッシブ運用であり、特定の市場指数に連動することを目指しています。

これにより、アクティブ運用の投資信託と比較して運用コストが低く抑えられ、投資家は低い信託報酬の恩恵を受けることができます。

さらに、1つのETFを通じて多様な株式や債券に分散投資ができるため、個別の資産選択に伴うリスクを軽減しながら、広範な市場への露出を得ることが可能です。

ETFのこれらの特性は、特に市場の変動に敏感な投資家や、効率的な資産運用を求める人々にとって大きな利点となります。

ETFのデメリット

多くのメリットを持つETFですが、以下のようなデメリットにも注意が必要です。

  • 市場リスク
  • 取引手数料
  • 追跡誤差

ETFのデメリットとしてまず、市場リスクが大きい点が挙げられます。

ETFは市場の価格変動に直接影響されるため、市場が不安定な際には価格が大きく変動することがあります。

更に需要と供給のバランスが崩れれば市場の混乱を招き、容易に売却することが難しくなります。

次に、取引手数料の問題があります。

証券取引所での取引には手数料がかかるため、頻繁に取引を行う投資家にとってはコストが積み重なる可能性があります。

また、追跡誤差も一つのデメリットです。

多くのETFは特定の指数を追跡することを目指していますが、ファンドの運用コストや現金保有量、取引タイミングなどの要因によって、完璧に指数を追跡することは難しく期待したリターンとの差が生じることがあります。

これらの点を踏まえ、ETFへの投資を検討する際には、リスク許容度や投資戦略を慎重に考慮する必要があります。

投資信託のメリット

投資信託のメリットは主に以下の3つになります。

  • 分散投資
  • 積立投資
  • 福利効果

投資信託は、複数の資産にまたがる分散投資によりリスクを軽減し、市場の特定部分に依存するリスクを回避します。

また、積立投資を利用することで、定期的に一定額を投資することが可能となり、長期的な市場の変動による影響を平準化し、資産を着実に成長させることができるメリットも。

さらに、福利効果により、再投資される配当や利益が複利として効果を発揮し、長期にわたって資産が増加する可能性を高めます。

これらの特性は、特に長期的な視点で資産を増やしたい投資家にとって大きなメリットとなります。

投資信託デメリット

長期投資に向いている投資信託ですが、以下のようなデメリットに注意しましょう。

  • 高い運用費用
  • 流動性が低い
  • 上場廃止のリスク

投資信託のデメリットとして最初に挙げられるのが、運用費用がETFと比較して高い点です。

特にアクティブに管理される投資信託では、ファンドマネージャーの運用に関わる高額な信託報酬や管理費用がかかり、これらのコストは投資家の収益に直接影響を及ぼします。

次に、ETFのメリットで挙げた流動性の問題があります。

一部の投資信託は、売却時に市場の状況に左右されたり、解約に時間がかかることがあり、迅速な資金の回収が困難になることがあります。

さらに、上場廃止のリスクも考慮する必要があるので、気をつけましょう。

特に市場の状況が悪化した場合、投資信託の運用会社がファンドを廃止することがあり、その場合、投資家は予期せぬタイミングで投資を終了させることを余儀なくされる可能性があります。

あなたはどちらの投資方法が向いてる?

あなたはどちらの投資方法が向いてる?

これまでETFと投資信託の違いや、それぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。

結局どっちの方が向いているのか分からない人が多いのではないでしょうか。

以下では、ETFと投資信託それぞれどんな人におすすめの投資か解説します。

ETFが向いている人

  1. 株式投資と同じリアルタイム売買をしたい投資家
  2. インデックス投資をしたい投資家
  3. 分散投資をしたい投資家

ETFが特に向いているのは、市場の動きに迅速に対応し、柔軟な取引を行いたい投資家です。

ETFは証券取引所でリアルタイムで取引されるため、市場が開いている間はいつでも売買が可能で、短期間での価格変動に対応する戦略を採ることができます。

また、ETFは一般に低い運用コストを有しており、コスト意識の高い投資家に適しています。

低い運用費用は長期的なリターンにポジティブな影響を与える可能性があります。

さらに、ETFは分散投資が容易で、多様な市場や資産クラスに簡単にアクセスできるため、多様な投資ポートフォリオを構築したい投資家にも適しています。

これらの特性は、アクティブな取引を好む投資家や、特定の市場指数に連動する投資を求める投資家にとって、特に魅力的です。

投資信託が向いている人

  1. 投資初心者の人
  2. 積立投資で長期投資をし安定を求める投資家
  3. アクティブ投資をしたい投資家

一般的な投資信託が特に適しているのは、長期的な視点で安定した投資を求める投資家です。

投資信託は、プロフェッショナルなファンドマネージャーによって運用されるため、個別の市場分析や資産選定の手間を省きながら、多様な資産クラスへの分散投資を実現できます。

これは、市場の短期的な変動に敏感に反応せず、長期的な成長を重視する投資家にとって理想的です。

また、積立投資に適している投資信託は、定期的な小額投資を通じて長期にわたり資産を着実に増やすことができます。

さらに、一般的な投資信託は市場の専門知識が限られている初心者や、投資に多くの時間を割けない忙しい投資家にも適しています。

これらの特徴により、投資信託はリスクを分散しつつ手軽に資産運用を行いたい人に最適な選択肢と言えます。

投資信託の違いに関する記事まとめ

投資信託の違いに関する記事まとめ

ETFは上場する投資信託のことを指します。

本記事で解説した通り投資信託とETFは様々な違いがありますが、どちらも投資信託という共通点がありその仕組みはとても似ています。

ただし、ETFの方が株式に近い部分もありリアルタイムでの売買ができるメリットがあります。

そのため、これから現物株式を始めようとしている投資家におすすめの資産運用方法になります。

一方で投資信託は売買の値段が指定できないというデメリットがあるものの、初心者にもおすすめな積立投資ができる点が特徴です。

どちらを活用するかは、運用目的や期間、予算によっても大きく変わってきます。

投資初心者でどの資産運用が1番適しているか分からないという方は、プロへの相談もおすすめです。

ABOUT ME
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。 個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動。 新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。 シニア層のお客様が多い中で資産運用だけでは本当の解決ができないと感じ、退職。 2020年、一般社団法人証券相続普及協会を設立。代表理事に就任。 終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、お客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
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