初心者にもわかりやすく、投資信託の基本から仕組みまで基礎知識をわかりやすく解説
資産運用の手段として注目される投資信託。
「人生100年時代」や「老後2000万円問題」などのキーワードを受けて、投資信託での資産形成をお考えの方は多くいます。
そこで、本記事では初心者にもわかりやすく、投資信託の基本から仕組みまでを解説します。
投資信託は何がメリットで、何がデメリットなのか。
具体的な運用の流れやポイントを掘り下げ、投資信託に興味を持つ皆様に向けて、自信を持ってスタートできる基礎知識をわかりやすく解説していきます。
【わかりやすく説明!】投資信託とは
投資信託とは、複数の投資家から集めたお金をひとつの資金としてまとめ、資産運用の専門家であるファンドマネージャーが株式や債券、REIT(不動産投資信託)などに投資し、運用する金融商品です。
株式とは、株式会社が資金を出資してもらった人に対して発行する証券、債券とは、国や企業などの発行体が、投資家から資金を借り入れるために発行する有価証券です。
そして、資本市場からの評価を高めているREITとは、投資家から集めたお金を不動産に投資し、賃貸収入や売却益を投資家に分配する不動産投資信託のことを指します。
上記の通り、投資信託の投資先はさまざまです。
そのため、個人では購入が難しい銘柄や海外の銘柄への投資が可能になったり、投資信託を購入するだけで分散投資ができるといったメリットがあります。
分散投資とは、1つの商品だけで運用をせず、投資先を分散してリスクを抑え、安定したリターンを目指す投資方法です。
投資信託のみならず、投資には「元本割れ」というリスクがついて回ります。
この元本割れを回避するために必要になるのが、分散投資です。これについては後ほど解説します。
少額から投資できるから、初心者にもおすすめ
通常、個人で株式や債券に投資をする場合は、ある程度まとまった大きな資金が必要になります。
一方、投資信託の場合は、数千円〜など少額で始めることができるのです。
そのため、30年、40年と長い年月をかけて資産を形成したい20代〜30代でも手軽に始めることができます。
基準価額ってなに?
投資信託を考える上で、必ず知っておきたいのが「基準価額」です。
とはいえ、投資信託を購入した経験がない方にとっては、あまり馴染みのない言葉かもしれません。
わかりやすく言えば、基準価額とは投資信託の価格です。
投資信託の取引を行う際の単位は、「口(くち)」と呼ばれます。
基準価額とは、投資信託の一口あたりの価格のことであり、投資家が投資信託を購入・換金する際は、この基準価額で取引を行います。
また投資信託の全ての資産である総資産額のうち、信託報酬などの費用である総負債額を差引いた、投資家に帰属する額のことを純資産総額と言います。
総資産額 − 総負債額 = 純資産総額
この純資産総額を投資信託の総口数で割ると、一口あたりの価格、つまり「基準価額」が算出されます。
純資産総額 ÷ 総口数 = 基準価額(一口あたりの価格)
一般的な投資信託の基準価額は1日に1回、投資信託に組み込まれている株式や債券などの時価評価を基に算出され、公表されます。
メリットとあらかじめ知っておくべきデメリット
投資初心者の方に最もわかりやすい投資信託のメリットは、先述した通り「少額からはじめられる」という点でしょう。
投資信託には、価格の他にも以下のようなメリットがあります。
- 資産をいくつかの商品に分けて分散投資できる
- 投資の専門家に運用を任せることができる
- 透明性が高い
ここでは、上記3つのメリットについて、わかりやすく紹介していきます。
3つのメリット
1. 資産をいくつかの商品に分けて分散投資できる
投資信託を購入することで、分散投資ができます。
上記でも紹介した通り、分散投資とは投資先をいくつかに分散することで、リスクを低減させる投資戦略です。
例えば、1つの金融商品に多くの資金を投入していた場合、その商品の値が大きく下がってしまったら、同じく自分の資産も大きく値下がりしてしまう。これが投資のリスクです。
では、分散投資の場合はどうでしょう。
分散投資では、投資先は複数に分かれているため、ある銘柄の値が不調になってしまっても、他の銘柄の利益で補えるのです。
このように、投資のリスクを抑えて安定した収益を狙えることは投資信託のメリットです。
2. 投資の専門家に運用を任せることができる
投資信託における資金は、投資の専門家であるファンドマネージャーによって運用されます。
そのため、投資の運用方法がわからない初心者の方でも安心です。
また個人では買えない特殊な金融商品、個人では購入しづらい国・地域にも投資することが可能な点も、投資初心者の方に投資信託をおすすめする理由のひとつです。
3. 透明性が高い
投資信託は、原則として市場の営業日には毎日、取引価格である基準価額が公表されている透明性の高い金融商品です。
また、投資信託は決算ごとに監査法人による監査を受けるよう義務付けられています。
財務諸表(一般的に決算書といわれる書類のうち、金融商品取引法で作成が義務となっている書類)などの情報も公表されており、非常に透明性が高い点も投資信託のメリットといえるでしょう。
デメリット
メリットがあるものには、もちろんデメリットの側面も存在します。
投資信託においては以下のようなデメリットがありますが、購入前にあらかじめ理解をしておくことで、長期運用や積立運用がしやすくなるはずです。
- 元本保証がない
- 信託報酬など、購入から解約まで手数料がかかる
- 短期の場合、大きなリターンは見込めな
それぞれ、わかりやすく解説していきますので、投資信託を始めるかどうかの判断材料のひとつにしてみてください。
元本保証がない
投資信託において、最もわかりやすいデメリットは元本保証がないことです。
元本保証がないということはつまり、投資した元本(元金)が保証されず、市場の変動や運用成績によっては元本が減少する可能性があるということです。
これは、「投資」自体がリスクを取りながらリターンを追求する仕組みであるためです。
ただし、投資信託は分散投資です。
異なる投資先に分散投資されるため、一つのファンドに依存することなく、特定の市場変動による損失を和らげることができます。
信託報酬など、購入から解約まで手数料がかかる
投資信託には、購入手数料や信託報酬、解約手数料などが発生します。
特に、信託報酬は投資信託の保有中はずっと発生し続けるものです。
手数料が高すぎる場合、実際のリターンが手数料によって減少する可能性すらあります。
そのため、できる限り低コストの投資信託を選択することがポイントです。
手数料が低いファンドを見つけ、長期的な運用を考えた際の実質的なリターンを最大化するように心がけましょう。
また投資家はしっかりと手数料の構造を理解することで余分な負担を避け、コストを最小限に抑えることが大切です。
短期の場合、大きなリターンは見込めない
投資信託は一般的に、中長期の運用を前提としています。
短期的な運用では、市場の変動や手数料によってリターンが限定されることがあります。
特に株式などのリスクが大きい資産を中心に組み入れた投資信託は、価格変動も大きいため、短期的な変動に左右されやすいです。
したがって、大きなリターンを期待する場合は、中長期の視点を持った運用が必要になります。自身の投資目的や期間に合った投資信託を選択することが重要です。
投資信託の仕組みをわかりやすく解説
ここまで、投資信託の概要や、メリット・デメリットについて解説しました。
では実際の投資信託はどのような仕組みで運用され、どのような仕組みで利益が発生するのでしょうか?
ここでは、投資信託の購入から保有中の運用、解約または売却といった流れに沿って、その仕組みをわかりやすく紹介していきます。
ただし、以下は一般的な情報に基づいており、特定の法律や規制は変更される可能性があります。
具体的な投資や法的な決定を行う際には専門家のアドバイスや商品の具体的な情報を確認することが大切です。
投資対象や運用スタイルをもとに、投資信託を選定する
投資信託を始めるには、まず信託銘柄を選びます。
これは投資対象や運用スタイルやリスク許容度によって選択します。
投資対象についてわかりやすく言えば、長期で安定した運用を希望する場合は債券の割合が高い投資信託、値上がりによる収益を追求するなら株式の割合が高い投資信託、などという選び方になります。
運用スタイルには、ベンチマークへの連動を目指すインデックスファンドと、ベンチマークを上回る成果を目指すアクティブファンドがあります。
ベンチマークは、その投資信託が運用する際に目標とする基準のことです。
これらに加え、ご自身が資産運用をする際に許容できるリスクの度合いを元に、購入する投資信託を選びましょう。
口座の開設
選んだ投資信託に投資するには、銀行や証券会社、ネット証券などで取引口座を開設する必要があります。
口座開設は窓口や電話、オンラインで簡単に行うことができます。
口座開設の際には、印鑑に加え、運転免許証や健康保険証などの本人確認書類が必要です。
投資信託の購入
口座が開設されたら、投資信託を購入します。
購入の際には、交付目論見書でファンドの目的・特色、投資リスクや運用実績、費用などをしっかりと確認してください。
投資信託は、証券会社や銀行、保険会社、信用金庫、郵便局などの販売会社で購入することができます。
保有と運用
購入した投資信託は保有され、プロのファンドマネージャーによって運用されます。
具体的には、委託者である運用会社が投資家から集めた資金をどのように投資するのかを考え、受託会社である信託銀行などに運用の指図を行います。
受託会社は運用会社からの運用の指図に従い、株式や債券などの売買や管理を行い、投資家から集めた資産を保管・管理します。
なお、投資信託の基準価額は、株式市場などの動向により変動します。
運用中に基準価額に対して影響を及ぼす変動要因として、以下のようなものが挙げられます。
価格変動リスク | 投資信託に組み込まれている株式や債券の価格が変動するリスク。株価は市場における需給のほか、政治や経済情勢、企業の業績などの影響を受ける。 |
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為替変動リスク | 為替レートが変動するリスク。外国の資産を投資対象とする場合はその国の通貨で投資が行われるため、一般的には円高になれば基準価額にマイナス、円安ならプラスの影響を与える。 |
信用リスク | 債券などを発行する国や企業が、財政難・経営不振などの理由により、利息や償還金をあらかじめ定めた条件で支払えなくなるリスク。 |
金利変動リスク | 金利が変動するリスク。一般的に、金利が上がると債券価格は下落し、金利が下がると債券の価格は上がる。 |
ファンドの決算日
ファンドの決済日が来たら、運用報告書が交付されます。
運用報告書には、運用期間中に投資家から集めたお金をどのように運用してきたか、どのような損益状況だったのか、どれだけの費用がかかったのか、今後どのように運用していくのかを知らせるための書面です。
原則的に投資信託の決算を迎えるごとに作成され、投資信託を保有している受益者(投資信託を購入して保有する投資家)に交付されます。
分配金の受け取り
投資信託には「分配金あり」と「分配金なし」の2種類があり、中でも分配金ありの場合は、その分配金を受け取るか再投資のいずれかを選択できます。
投資信託における分配金とは、運用によって得た収益を決算ごとに投資家に分配するお金のことです。
分配金を受け取る場合は、決算日の前営業日までに買付約定し保有されていることが条件となります。
再投資の仕組み
分配金なしの場合や分配金を受け取らない場合は、運用によって得た収益をそのまま再投資します。
長期投資であれば、再投資による複利効果で大きな利益を手にできる可能性があります。
複利とは、元本と利益の合計額にさらに利益が付く仕組みです。
再投資によって元本と時間が味方につき、雪だるま式に資産が大きくなっていくことを期待できます。
換金方法
投資信託は、原則としていつでも換金の申し込みが可能です。
投資信託の換金方法には、「買取請求」と「解約請求」の2種類があります。わかりやすく言えば、売却するか、解約するかを選択することができます。
買取請求 | 途中換金したい投資信託を、証券会社などの販売会社に買い取ってもらう方法。 |
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解約請求 | 販売会社を通して、信託財産の一部の解約を請求する方法。 |
なお、投資信託によっては、解約請求ができないクローズド期間を設けているものもあります。
クローズド期間は、解約による資金の減少を防いで運用の安定を図ることを目的に設けられていることが一般的です。
記事まとめ
投資信託とは、株式や債券などに分散投資し、プロのファンドマネージャーが運用する仕組みで、透明性が高いことが特徴の資産運用方法です。
少額からでも始めやすく、分散投資やプロへ運用委託が簡単にできる点は大きなメリットです。
ただし、注意が必要なデメリットも。
投資信託を始める前にしっかりと基本的な知識を身につけ、リスクを最小限にしながら資産運用を始めてみましょう。