ゆうちょ銀行での投資信託について、購入方法やメリット・注意点などを解説
新NISAのスタートなどで注目を集める投資信託ですが、実はゆうちょ銀行でも取引が可能です。主な取引場所である証券会社はネット取引が多いため、「なじみ深いゆうちょで取引できれば安心」と考える人も多いでしょう。
一方で、「何をすれば投資信託を始められるの?」「ゆうちょ銀行のメリット・デメリットは?」と疑問や不安を抱える人も少なくありません。
そこでこの記事では、ゆうちょ銀行で投資信託を始めるメリットや具体的な始め方、おすすめファンド(銘柄)を詳しく紹介していきます。
ゆうちょ銀行で投資信託を始めたい人にとって役立つ情報を解説しているので、ぜひ参考にしてください。
投資信託はゆうちょ銀行で始められる!そのメリットは?
投資信託とは、投資家から集めた資金をファンドマネージャー(投資の専門家)が運用するという投資商品です。集められた資金はさまざまな資産(株式や債券)に分散投資されるため、ほかの投資商品と比べて下落リスクが低く、初心者でも始めやすい特徴があります。
投資信託はゆうちょ銀行だけでなく、ほかの銀行や証券会社でも購入できます。主流となるのはインターネットで取引が完結する証券会社で、ゆうちょ銀行での取引はマイナーな方法と言えるでしょう。
一方、あえてゆうちょ銀行で投資信託を購入する利点もあります。主なメリットとして、次の2つを紹介します。
- 厳選された安定銘柄ばかりで選びやすい
- 店頭で相談しながら取引できる
厳選された安定銘柄ばかりで選びやすい
ゆうちょ銀行で取り扱っているファンド(投資信託の銘柄)は127件です(2024年3月19日時点)。証券会社だと1,000~2,000銘柄以上が普通なので、数として少なめです。
しかし、ゆうちょ銀行は取扱数が少ないからこそ、厳選された優良銘柄が多く取り揃えられています。価格や運用成績の安定した銘柄が多く、安心して購入可能です。
時間や知識が十分にあり、ファンドの良し悪しを見極められる投資家であれば、銘柄候補は多いほうが良いかもしれません。一方、初心者などの知識が少ない人としては、膨大な選択肢であれこれ悩んでしまうより、ある程度選別されたなかから選んだほうが効率的です。
銘柄選びに悩んでしまう人は、ゆうちょ銀行で選択肢を絞るのも選択肢の1つとなります。
店頭で相談しながら取引できる
証券会社は実店舗を持たないケースも多く、オンラインでの手続きに抵抗がある人には手を付けにくい取引方法です。
一方、ゆうちょ銀行は全国に窓口があり、担当者に相談しながら各種手続きを行えます。経験豊富なスタッフが、一人ひとりのニーズに合わせた提案を行い、投資の疑問や不安にも丁寧に答えてくれます。
ゆうちょ銀行なら高齢者や地方の人にもなじみ深いので、対面でのアドバイスが必要な人には心強い味方となるでしょう。
ゆうちょ銀行で投資信託を始める方法
ゆうちょ銀行で投資信託を始める場合、専用の口座を開設する必要があります。申し込み方法は、店舗とゆうちょダイレクト(オンライン)の二通りです。
どちらの方法にしても、投資信託用の口座とは別にゆうちょ総合口座を持っている必要があります。総合口座は店舗もしくはゆうちょダイレクトアプリで開設できるので、持っていない人は事前に開設しておきましょう。
ここからは、ゆうちょ銀行総合口座を持っている想定で、具体的な手続きの流れを解説します。
店舗で申し込むときの流れ
店舗で申し込む場合は、次の手順で進めます。
- 必要書類(後述)を準備する
- 投資信託の取り扱い店舗に行く
- 投資信託口座の開設手続きを行う
- ファンドを選び購入する
書類を持って店舗に行けば、担当者にアドバイスしてもらいながら口座を開設できます。
口座開設後、実際に投資信託を購入するときは、時間によって取扱日が変わります。15時までに購入手続きが完了すれば当日扱い、過ぎている場合は翌営業日扱いです。
また、ゆうちょ銀行の支払いは総合口座からの自動引き落としのみであり、取引日の翌営業日もしくは翌々営業日に引き落とされます。口座残高が不足していると、買い付けがキャンセルされるので注意しましょう。
ゆうちょダイレクト(オンライン)で申し込むときの流れ
ゆうちょダイレクトとは、スマホやPCを使ってインターネット上で取引ができるサービスです。無料の利用申し込みが必要になります。
ゆうちょダイレクトを使った投資信託の始め方は次の通りです。
- 必要書類(後述)を準備する
- ゆうちょダイレクトにログインする
- サイドメニューの「申込」-「投資信託口座・NISA口座の開設」から申し込む
- ファンドを選び購入する
書類もインターネットでアップロード可能です。申し込みから口座開設までは、おおよそ1週間程度(NISA口座の開設は約1か月)かかります。
口座が開設すれば、取引もゆうちょダイレクトで行えます。購入・解約や自動積立など、各種設定が可能です。
必要書類一覧
ゆうちょ銀行で投資信託を購入するのに必要な書類は、次の通りです。
マイナンバー確認書類 | 個人番号カード、通知カード、住民票の写し、住民票の記載事項証明書 ※顔写真がある場合は1枚、ない場合は2枚 |
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本人様確認書類 | ・1種類で有効…運転免許証、運転経歴証明書、健康保険証(顔写真あり)、パスポート ・2種類必要…健康保険証(顔写真なし、国民年金手帳、印鑑登録証明書、住民票の写し、住民票の記載事項証明書) |
なお、1つの書類を重複して提出することはできないので注意しましょう。例えば、マイナンバー確認書類と本人確認書類の両方で住民票の写しを使いたい場合、計二枚の用意が必要です。
ゆうちょ銀行で投資信託を始める際の注意点
ゆうちょ銀行での投資信託はメリットもありますが、いくつかの注意点もあります。
- 購入手数料などコストは高め
- NISA枠に対応する銘柄は少ない
- 積立は最低1,000円からしかスタートできない
- すべての郵便局で取り扱っているわけではない
これらのデメリットも事前に把握しておき、ゆうちょ銀行での投資信託が自分に合っているかよく検討しましょう。
それぞれ詳しく解説します。
購入手数料などコストは高め
投資信託には、信託報酬(ファンドに支払う運用・管理費用)や各種手数料など、運用にコストがかかります。具体的な金額は、取引する会社やファンドによってさまざまです。
そのなかでもゆうちょ銀行は、購入手数料を設定している場合が多々あります。証券会社だと購入手数料を無料しているケースも多いため、同じファンドを買ってもゆうちょ銀行のほうが高コストになるケースが多いのです。
購入手数料はファンド価格の数%程度ですが、積立投資のように繰り返し購入する投資方法だと損失が大きくなります。コスト節約を意識するなら、ゆうちょ銀行より証券会社のほうが向いているでしょう。
NISA枠に対応する銘柄は少ない
NISAとは、年間投資額のうち最大360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)までを「非課税枠」とし、その枠で購入した投資商品から生まれた利益を非課税にする制度です。
NISAは対象となる銘柄が決められたおり、全体で2,000銘柄ほどあります。一方でゆうちょ銀行で取り扱っているNISA対象商品は63銘柄しかありません(2024年3月時点)。
初心者なら選択肢が絞られるのはメリットにもなりますが、より幅広い選択肢からNISA対象商品を選びたい人にゆうちょ銀行は向いていないでしょう。
積立は最低1,000円からしかスタートできない
積立投資とは、同じファンドを同じ金額分だけ、定期的に購入する投資方法です。投資信託では最小100円から積立できる証券会社も多く、気軽に始められる要因の1つにもなっています。
しかし、ゆうちょ銀行では最小でも毎月1,000円以上からしか積立ができず、証券会社と比べると高額になっています。少額で気軽に投資を始めたい場合、ゆうちょ銀行は不利と言わざるを得ません。
さらに低い金額での積立を希望する場合は、最小100円から購入できる証券会社を利用したほうが良いでしょう。
すべての店舗で取り扱っているわけではない
ゆうちょ銀行のメリットとして店舗での取引を挙げましたが、すべての店舗で取り扱っているわけではありません。
全国には約2万3,500局の郵便局がありますが、そのうちでゆうちょ銀行を併設し、投資信託を受け付けている店舗は約1,750店舗です。
近くの郵便局では投資信託を買えない場合があり、そうなるとゆうちょ銀行の「店舗でアドバイスを受けながら取引」という利点がなくなってしまいます。
おすすめファンド5選
ここからは、ゆうちょ銀行で取り扱っているファンドのうち、おすすめの銘柄を5つ紹介します。
- セゾン資産形成の達人ファンド
- セゾン・グローバルバランスファンド
- JP4資産均等バランス
- 野村6資産均等バランス
- つみたて8資産均等バランス
それぞれの投資戦略や資産構成などをわかりやすく紹介するので、ぜひ取引の参考にしてください。
セゾン資産形成の達人ファンド
銘柄名 | セゾン資産形成の達人ファンド |
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運用会社 | セゾン投信株式会社 |
組入資産 | 国内株式、海外株式 |
決算日 | 12/10 |
信託期限 | 無期限 |
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 年1.34%±0.2%程度(税込) |
ゆうちょ銀行での購入方法 | ・つみたて投資枠:店頭・電話・ネット ・成長投資枠:ネット ・NISA以外:ネット |
セゾン資産形成の達人ファンドは、セゾン投信株式会社が運用するアクティブファンド(市場の指標を上回る運用を目指すファンド)です。資産形成の原則である「長期・積立・分散」を念頭に設計されています。
直近10年の年率リターンは平均12.32%で、高いパフォーマンスを示しています。ただし、資産構成が株式100%なので市場変動による影響が大きく、リスクも高めです。
信託報酬の年1.34%±0.2%程度(税込)は、アクティブファンドとしては平均的です。購入時手数料はかからないため、リターン重視の銘柄として購入候補に入れてみましょう。
セゾン・グローバルバランスファンド
銘柄名 | セゾン・グローバルバランスファンド |
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運用会社 | セゾン投信株式会社 |
運用スタイル | アクティブ型 |
組入資産 | 国内株式、海外株式、国内債券、海外債券 |
決算日 | 12/10 |
信託期限 | 無期限 |
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 年0.56%±0.02%程度(税込) |
ゆうちょ銀行での購入方法 | ・つみたて投資枠:店頭・電話・ネット ・成長投資枠:ネット ・NISA以外:ネット |
セゾン・グローバルバランスファンドは、先述のセゾン資産形成の達人ファンドと同じく、セゾン投信株式会社が運用するファンドです。違いは組み入れ資産にあり、セゾン・グローバルバランスファンドでは株式と債券が50対50になるよう構成されています。
債券は株式と比べて価格変動リスクが少なく、リターンとなる利子もあらかじめ決められているので、安定性が高い投資商品です。そのため、セゾン・グローバルバランスファンドも低リスクでの運用が期待できます。
直近10年の年率リターンは平均7.78%%、信託報酬年0.56%±0.02%程度(税込)と、ローコストで安定性重視の人に向いているファンドです。
JP4資産均等バランス
銘柄名 | JP4資産均等バランス |
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運用会社 | JP投信株式会社 |
運用スタイル | アクティブ型 |
組入資産 | 国内株式、海外株式、国内債券、海外債券 |
決算日 | 7/15 |
信託期限 | 無期限 |
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 年0.242%程度(税込) |
ゆうちょ銀行での購入方法 | ・つみたて投資枠:店頭・電話・ネット ・成長投資枠:ネット ・NISA以外:ネット |
JP4資産均等バランスは、安定的な収益確保と中長期的な成長を目指して運用されるファンドです。運用会社であるJP投信株式会社は、ゆうちょ銀行・日本郵便・三井住友信託銀行・野村ホールディングス株式会社の共同出資で設立されています。
ゆうちょ銀行のみで取り扱われてるファンドであり、ゆうちょ銀行で信託投資を始めるならぜひ検討したい銘柄です。
資産構成が株式と債券の半々なので、先に述べたように株式100%より安定的な収益が期待できます。信託報酬も低いため、運用コストを抑えたい人にもおすすめです。
野村6資産均等バランス
銘柄名 | 野村6資産均等バランス |
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運用会社 | 野村アセットマネジメント株式会社 |
運用スタイル | インデックス型 |
組入資産 | 国内株式、海外株式、国内債券、海外債券、国内および海外の不動産投資信託証券(REIT) |
決算日 | 7/10 |
信託期限 | 無期限 |
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 年0.242%(税込) |
ゆうちょ銀行での購入方法 | ・つみたて投資枠:店頭・電話・ネット ・成長投資枠:ネット ・NISA以外:ネット |
野村6資産均等バランスは、インデックス型(市場の指標に連動する運用を目指す)のファンドです。基準となる指数は、複数の指標を合算した合成指数を採用しています。
資産構成は株式・債券のほかREIT(不動産を対象にした投資信託)も組み込まれています。国内・海外の分類を含めると計6つの資産に投資できるため、このファンドを購入するだけで高い分散効果が得られます。
運用開始は2018年からと歴史は浅いものの、毎月10億~20億円程度の資金流入があり、投資家の間でも一定の人気を得ているファンドです。
つみたて8資産均等バランス
銘柄名 | つみたて8資産均等バランス |
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運用会社 | 三菱UFJアセットマネジメント株式会社 |
運用スタイル | インデックス型 |
組入資産 | 国内株式、先進国株式、新興国株式、国内債券、先進国債券、新興国債券、国内および先進国の不動産投資信託証券(REIT) |
決算日 | 6/25 |
信託期限 | 無期限 |
購入時手数料 | なし |
信託報酬 | 年0.242%(税込) |
ゆうちょ銀行での購入方法 | ・つみたて投資枠:店頭・電話・ネット ・成長投資枠:ネット ・NISA以外:ネット |
つみたて8資産均等バランスは、海外の株式・債券を「先進国」と「新興国」に分け、計8つの資産に分散投資するファンドです。資産の種類が多いため、市場の変動に強いファンドとなっています。
純資産総額は運用開始から7年で1,000億円を超えており、順調に規模を拡大している人気ファンドです。
リスクが低い分、得られるリターンも少なめになりますが、「あれこれ考えず、ローリスクで安定した運用がしたい」という人に向いています。
記事まとめ
ゆうちょ銀行での投資信託は、証券会社での取引と比べるとマイナーですが、「身近な店舗で取引できる」「購入銘柄があらかじめ絞られている」といったメリットがあります。
資産運用は考えることが多岐にわたるため、担当者と相談することで得られるアドバイスや安心感は重要です。
まずは資産運用を始めることが大切なので、「投資信託に興味があるものの、なにからすれば良いかわからない」という理由で動けない人は、ぜひゆうちょ銀行への相談を検討してみましょう。