投資信託における利回りの計算方法まとめ!
投資信託を始める際に、利回りや年利の計算方法を理解し、自分に合ったファンドを選ぶことは非常に重要です。
しかし、投資信託の種類が豊富で、様々な要素を考慮する必要があるため、ファンド選びに悩む方は少なくないでしょう。
そこでこの記事では、投資信託の利回りや年利の計算方法や、投資信託の理想の利回りや年利、投資信託の選び方などについて解説します。
投資信託の利回りや年利の計算方法、ファンド選びに悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
【計算方法まとめ】投資信託の年利とは
投資信託の年利は、元本に対する年間の収益の割合のことです。
年利を見れば投資信託の過去の収益性が分かるため、投資する投資信託を選ぶうえで重要な目安となります。
ここからは、年利の計算方法や、よく混同されがちな「利回り」や「騰落率」との違いを説明します。
投資信託の利回りの計算方法
投資信託の利回りは以下の計算方法で求められます。
- 利回り(%)=収益(分配金+売却損益)÷運用年数÷投資金額×100
たとえば、80万円の投資信託を購入し、一定期間後に6万円の分配金を受け取り、85万円で売却した場合、利回りは以下のように計算できます。
- 利回り(%) = {収益(分配金6万円 + 売却益5万円) ÷ 運用年数2年 ÷ 投資金額80万円} × 100 ≒ 6.88%
このように、利回りは投資元本と運用により得られた金額から計算される値です。
利回りが高いほどその投資商品の収益性が高いことを示す指標のため、投資先の商品を選ぶうえで非常に重要といえます。
利回りと年利の違い
利回りと似た言葉に年利がありますが、これらは意味が異なります。
年利は債券や預金に対して行われる言葉です。
債券の投資金額もしくは預金金額に対して、毎年受け取れる利息の割合を意味します。
利回りは投資商品に使われる、年利は債券や預金に使われる、という点が異なります。
利回りと騰落率との違い
騰落率も、利回り以外と混同しやすい概念といえるでしょう。
これらについても、投資信託を扱う上では、違いを理解しておくべきです。
騰落率とは、投資信託の価格が一定期間に、値上がりもしくは値下がりした割合を計算した値です。
たとえばある投資信託の1年前の基準価額が8,000円で、現在の基準価額が8,800円だとします。このとき、騰落率は+10%という計算になります。
騰落率は過去の値動きから計算された投資信託の成長率なので、将来の値動きを予想するものではありませんが、今後の値動きを予測する際の参考にはなるでしょう。
一方で、利回りは前述の通り一定期間の運用によって、元本の対して得られた利益もしくは損失の割合を計算した値を指します。
投資信託における理想の年利や利回りを解説
投資信託を選ぶ際に、理想の年利や利回りはどの程度でしょうか?
理想の年利や利回りは、どの程度リスクを取れるかや、投資目的と投資期間、投資する人の性格によって変わってきます。
ここからは、それぞれの要素によって理想の年利がどのように変わるのかを紹介します。
どの程度リスクを取れるかに応じて年利目標を設定する
投資にはリスクが伴いますが、どの程度リスクを取れるのかによって、理想の投資信託は変わってきます。
リスク許容度が高くなれば高い利回りを狙えますが、その分損失を抱える可能性も高くなります。
そのため、リスクとリターンのバランスを考え、利回りを確認し投資信託を選ぶようにしましょう。
以下はリスク許容度と年利の一例です。
リスク許容度 | 年利 |
---|---|
高いリスクを取れる場合 | 年利6%%以上の投資信託を選ぶ |
ある程度リスクを取れる | 年利3~6%程度の投資信託を選ぶ |
リスクをあまり取れない場合 | 年利1~3%程度の投資信託を選ぶ |
このようにリスク許容度によって選ぶべき投資信託が変わってきます。
投資を始める前に、自分がどの程度のリスクを受け入れられるのかを計算しておくことをおすすめします。
投資目的と投資期間で理想の利回りを判断する
投資目的によって理想の利回りは異なりますが、投資期間との関係では、一般に次のように考えられています。
- 長期投資の場合:比較的低めの利回りを目指す
- 短期投資の場合:高めの利回りを目指す
長期投資であれば時間をかけてコツコツと資産を育てられますので、リスクを抑えた低めの利回り設定で構いません。
一方、短期投資の場合は高リターンを求める必要があり、より高い利回りを目指すことになります。
たとえば、以下のように投資期間によって、選ぶべき投資信託の利回りが異なります。
運用期間 | 利回り |
---|---|
長期(10年以上) | 2~4%程度 |
中期(5~10年) | 3~6%程度 |
短期(5年未満) | 4~8%程度 |
このように投資期間が長ければ長いほど、リスクを抑えた低めの利回り設定になる傾向にあります。
投資目的や投資期間によって、最適な利回りが異なるため、事前に運用プランや目標金額をしっかりと計算した上で、それに合った投資信託を選ぶことが大切です。
自分の性格を考えて適した年利を目指す
自分の性格を考慮し、適した投資信託を選ぶのも非常に大切です。
慎重な性格なのに、リスクの高いアクティブな投資を行うなど、相性が悪いことをやってしまうと、心理的な負担が大きくなってしまいます。
ストレスが大きくなり、適切な投資判断ができなくなり、資産を増やすのに失敗する可能性が高くなるでしょう。
投資による資産形成を成功させるには、以下のように性格によって、投資信託の年利を選ぶとよいでしょう。
性格 | 年利 |
---|---|
アクティブに運用したい場合 | 6~10%程度 |
中立の性格の場合 | 4~8%程度 |
慎重に運用したい場合 | 2~5%程度 |
このように、自分自身の性格を考えて、選択する投資信託の年利を分けるのがおすすめです。
どのような投資スタイルを選ぶにせよ、投資で資産を増やすまでには数年から数十年の時間がかかります。
そのため、自分の性格に合わない投資スタイルで長期間運用し続けるのは、ストレスが非常に大きくなり無理が生じる可能性があります。
自分の性格をよく考え、どのような年利が最適かを見極めるようにしましょう。
知っておきたい投資信託のファンドの選び方
投資信託を運用するファンドを選ぶときには、以下の5つをチェックすべきです。
- 運用方針
- 販売手数料や信託報酬
- 分配方針
- 基準価額・騰落率
- 純資産総額
それぞれの要素について詳しく解説します。
運用方針は要チェック!
投資信託を選ぶ際に、最も重要なのは運用方針だと言っても過言ではありません。
投資信託にはそれぞれ運用方針があり、投資対象となる資産や運用の目的が異なります。
例えば、株式中心のファンドは、価格変動のリスクが高い一方で、高いリターンが期待できます。
対照的に、債券中心のファンドは、収益が安定しやすい傾向にありますが、リターンは比較的低くなる場合が多いです。
また、特定の指数への連動を目指すインデックスファンドと、利益の最大化を目指すアクティブファンドでは、投資のリスクが大きく異なります。
このように、投資信託は商品によって運用方針が大きく異なるため、自分に合った運用方針の投資信託を選ぶことが重要です。
販売手数料や信託報酬も確認
販売手数料や信託報酬といった、購入時や運用期間中に発生するコストを確認するのも非常に重要です。
これらのコストが高いと、その分だけ投資のリターンが減ってしまうからです。
とくに信託報酬は投資信託の保有期間中、毎日発生し続けるコストです。
そのため、投資信託が高額だと投資のパフォーマンスに大きく影響します。
投資信託を含む投資のコストが高いと資産形成しにくくなってしまうので、必ずどれくらいかかるのか計算しておくようにしましょう。
分配方針
投資信託の分配方針も、投資信託を選ぶ際に必ずチェックしたいポイントです。
投資信託によって、分配金を支払う頻度や運用益から分配金として支払われる金額の割合が異なるからです。
定期的な収入が欲しい場合は、分配金が定期的に支払われる分配型の投資信託を選ぶのが良いでしょう。
ただし、分配型の投資信託は、定期的に収入を得られる代わりに、その分だけ基準価額が下落する点には注意が必要です。
もしも、投資した資金を複利運用で大きく育てることを重視するのであれば、分配金なしの投資信託が良いでしょう。
分配型の投資信託とは違い、定期収入は得られませんが資産を大きく増やすことを重視する場合には、分配金なしが向いています。
このように、分配方針によって投資の目的や運用方針が大きく変わるので、自分に合った分配方針の投資信託を選ぶことが大切です。
基準価額・騰落率
ファンド選びの際には、基準価額・騰落率の2種類を確認するのも重要です。
これらの言葉の意味はそれぞれ以下のとおりです。
- 基準価額
⇒ファンドの1口あたりの値段を計算したもの - 騰落率
⇒一定期間におけるファンドの値上がり率または値下がり率
たとえばある投資信託の1年前の基準価額が8,000円で、現在の基準価額が8,800円だとします。
このとき、騰落率は+10%という計算になります。
これらの2つを確認することで、手元の資金で購入できる口数やそのファンドの成長率が分かります。
投資信託が成長しそうかやリスクの高さなどのパフォーマンスが分かるので、必ず確認するようにしましょう。
純資産総額
純資産総額は、投資信託の運用額の合計金額のことです。
純資産額の大きさは投資信託の安定性を表し、純資産総額が大きいほど安定性が高いといわれています。
純資産額が小さいと資産の流入や流出の影響を受けやすくなり、値動きが安定しないからです。
一方で、基準価額が大きいと突発的な値動きが少なくなるため、安定した運用をしやすくなります。
純資産総額が大きいファンドが必ずしも優れているわけではありませんが、ファンドの安定性を確認するうえで重要なのは間違いありません。
純資産総額は、投資信託を選ぶ際に必ず確認すべき重要な材料なので、ファンドを選ぶ際の参考情報にするとよいでしょう。
計算方法やファンド選びに悩んだら「投資のプロ」に相談を
投資信託の利回りや年利の計算方法は複雑で、ファンドの種類が非常に豊富なため、選択する際に悩んでしまうことがほとんどです。
そのような場合には、投資のプロに相談して投資信託を選ぶのが良いでしょう。
単に利回りが高い投資信託を選べばよいということであれば、ファンドの選択は容易でしょう。
しかし、実際にはリスクとリターンのバランスを考える必要があるため、そこまで話は単純ではありません。
運用する資産額や期間、目的によっても投資対象は変わるため、最適なファンドを選ぶのは慣れていないと非常に難しいのが現実です。
様々な要素を見てファンドを選ぶ必要があるので、投資対象を選ぶ際には迷ってしまうのが当然です。
そこで、一人で悩むよりも専門家の知恵を借りた方が賢明だと言えます。
利回りや年利の計算方法、ファンド選びなど投資信託の運用に悩んでいるのであれば、FPなどの専門家に相談することがおすすめです。
記事のまとめ
投資信託の利回りや年利の計算方法を理解し、自分に合ったファンドを選ぶことは、投資信託を始める際に非常に重要です。
しかし、投資信託の種類が豊富で、様々な要素を考慮する必要があるため、ファンド選びに悩む方も少なくありません。
投資信託の利回りや年利の計算方法について理解を深め、自分に合ったファンドを選ぶことが、投資信託による資産形成の第一歩となるでしょう。
そのうえで、もしも投資信託の利回りや年利の計算方法が複雑で、ファンド選びに悩む場合は、一人で悩まずに投資のプロに相談するのが賢明です。
プロは利回りや年利の計算方法や、投資信託の選び方を知り尽くしているので、運用の資金や投資の目標、運用期間などを伝えれば最適なファンドを選択してくれます。
この記事が投資信託での資産形成の成功のお役に立てば幸いです。