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資産運用にiDeCoの活用はあり?NISAとの違いやメリットを詳しく解説
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iDeCoで資産運用するメリット・デメリットやシミュレーションも解説

「資産運用にiDeCoを活用した方が良い?」

「iDeCoで資産運用するメリットとデメリットを知りたい」

と思っている方も多いのではないでしょうか。

資産運用の選択肢として注目されるiDeCoは、老後の資金形成を支援する制度です。

この記事では、iDeCoの特徴や仕組み、メリット・デメリットを詳しく解説します。

また、NISAとの違いも比較するので、iDeCoが自分の資産運用に適しているかどうか判断したい方はぜひ参考にしてみてください。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)とは

iDeCoは国民年金や厚生年金に上乗せして、資産形成ができる私的年金制度の1つです。

自身で老後資金を準備するiDeCoでは、毎月の積立額や運用方法、60歳以降の受取方法を自由に決められます。

金融商品には投資信託や定期預金などがあり、選択できる商品は加入する金融機関によって異なります。

iDeCoの加入条件は、以下のとおりです。

分類 加入可能 加入不可
年齢 20歳以上60歳未満
※国民年金任意加入者の方は65歳未満まで
65歳以上
国民年金 保険料納付者 保険料未納者、免除・猶予者
職業 自営業者、会社員、公務員、専業主婦(主夫) 農業者年金加入者
企業年金 企業型DCあり(条件付き) 企業型DC(マッチング拠出中)


参照:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」

iDeCoは2022年5月の改正により加入対象がさらに拡大され、より多くの方が資産運用に活用できるようになりました。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)のメリットとデメリット

メリット・デメリット

iDeCoで資産運用するメリットとデメリットを理解すれば、自身の経済状況や将来の目標に合わせた判断ができます。

リスクを適切に把握し、長期的な視点で効果的な資産形成の戦略を立てられるので、ぜひ参考にしてください。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)で資産運用するメリット

iDeCoのメリットは、以下のとおりです。

iDeCoのメリット

  • 掛金が全額所得控除
  • 運用益が非課税
  • 受取時の税金が一定額非課税

これらのメリットを活用すると、効率的な資産形成が可能です。

ただし収入や貯蓄状況により効果は異なるので、それぞれ詳しく解説します。

掛金が全額所得控除

iDeCoの掛金は全額所得控除の対象となり、確定申告や年末調整で申告すれば所得税と住民税を軽減できます。

例えば、以下の条件でシミュレーションした場合の軽減額をみてみましょう。

条件

  • 年間税額軽減額:1万2,000円
  • 35年間の税額軽減額:42万円
  • 35年間の積立総額:210万円

シミュレーション結果

  • 年間税額軽減額:1万2,000円
  • 35年間の税額軽減額:42万円
  • 35年間の積立総額:210万円

年間では1万2,000円、35年間では42万円の税額軽減となり、積立総額210万円に対して大きな節税効果が得られます。

ただし、実際の節税額は個人の所得や他の控除項目により変動するため、一概には言えません。

加入する際は事前にシミュレーションを行い、どの程度税金負担が軽減するか確認しておくとよいでしょう。


参照:iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」

運用益が非課税

通常の投資信託や株式投資では、利益や利息に20.315%の税金が課されますが、iDeCoでは課税が適用されません。

運用期間中は税引き前の金額で再投資が可能となり、複利効果を最大限に活用できます。

運用益の非課税は、iDeCoの大きなメリットの1つといえるでしょう。

受取時の税金が一定額非課税

iDeCoで積み立てた資金は、原則60歳以降に受け取ることが可能です。

受取開始時期は60歳から75歳の間で選択でき、受取方法には以下の2つがあります。

  • 年金方式(5年以上20年以下の分割受取)
  • 一時金方式(一括受取)

年金方式では「公的年金等控除」、一時金方式では「退職所得控除」が適用され、税負担が軽減されるのがメリットです。

どちらも大きな控除枠を使えるメリットがあり、自身の状況に応じて有利な方法を選択できるため、ライフプランに合わせた資金管理ができます。

iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)で資産運用するiDeCoのデメリット

iDeCoのデメリットは、以下のとおりです。

iDeCoのデメリット

  • 資産が減少する可能性がある
  • 原則60歳まで資産を引き出せない
  • 手数料がかかる

ただしこれらのデメリットを理解し、適切に対策を立てればiDeCoは有効な資産形成の手段となるので、それぞれ詳しく解説します。

資産が減少する可能性がある

iDeCoは老後の資産形成に有効ですが、運用方法によってはリスクを伴います。

投資信託中心の運用では、市場変動で資産が増減し、元本割れする可能性もあります。

加入者自身が運用商品を選んだうえでリスクを負うため、年金額が増加する可能性と減少するリスクの両面があることを理解しておきましょう。

ただし、iDeCoは長期的な積立投資を前提とし「長期投資」「分散投資」の原則に沿っているため、短期的な売買よりリスクを抑えられます。

運用期間中の商品変更も可能なので、市場環境や個人の状況に応じて柔軟に対応するとよいでしょう。

原則60歳まで資産を引き出せない

iDeCoは老後の資産形成を目的とするため、原則60歳まで資産の引き出しができません。

中途解約も認められていないため、日常的に使用する予定の資金で運用するのは避けましょう。

ただし、以下の例外的なケースでは引き出しが認められています。

  • 加入者死亡時の遺族による死亡一時金請求
  • 高度障害時の障害給付金請求
  • 加入資格喪失時の脱退一時金受給

iDeCoは自由に資金を引き出せない制度です。

掛金の減額や一時休止は可能ですが、近い将来に大きな出費を予定している方や十分な貯蓄がない方は、加入を慎重に検討する必要があります。

手数料がかかる

iDeCoを利用する際は、口座開設時や運用中に手数料が発生します。

手数料はiDeCoの運営や管理に関わる各機関へ支払われるものです。

手数料の種類 説明 金額
加入時手数料 iDeCo口座を開設する際に必要な初期費用 (初回のみ) 2,829円
加入者手数料 掛金納付を都度負担する際にかかる費用 105円
還付事務手数料 返金手続きにかかる費用 1,048円
運営管理手数料 iDeCoの運営を管理する機関への手数料 運用機関によって異なる

参照:iDeCo公式サイト「手数料について」

金融機関や金融商品によって、以下の手数料について掛金や運用資産から自動的に引かれる場合もあります。

  • 口座管理手数料:口座の維持に必要な定期的な費用
  • 投資信託の信託報酬:投資信託を選択した場合に発生する運用費用

運用成績が悪いと手数料が利益を上回るケースもありますが、多くの場合、税制優遇で負担は軽減されます。

効率的な運用のために、各金融機関の手数料を比較し、自身に合ったものを選びましょう。

NISAとの違い

NISAとの違い

NISAとiDeCoは、税制優遇を受けられる資産運用制度ですが、特徴や運用期間などに違いがあります。

以下の表で、比較してみましょう。

iDeCo(イデコ) NISA(ニーサ)
投資商品 投資信託・定期預金・保険商品等 ・つみたて投資枠
長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託
・成長投資枠
上場株式・投資信託等
年齢 原則20歳以上60歳未満の国民年金加入者
※国民年金任意加入者の方は65歳未満まで
18歳以上
運用の上限額 年間14万4,000円~81万6,000円
※企業型年金への加入有無や職業により異なる
1,800万円
※成長枠単体であれば1,200万円
引出し可能時期 原則60歳以降 いつでも可能
運用期間 65歳まで 無期限
手数料 ・加入・移換時手数料 :2,829円(初回のみ)
・国民年金基金連合会や運営管理機関手数料、還付手数料などがかかる
0円
(売買手数料等は別途かかる可能性あり)
税制優遇 ・掛金の全額所得控除
・運用益が非課税
・受取時に公的年金等控除、または退職所得控除の対象
運用益が非課税

参照:iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の加入資格・掛金・受取方法等」
参照:金融庁「NISAを知る」

iDeCoとNISAは共に運用益が非課税ですが、目的が異なります。

iDeCoは老後資金のための長期運用に適しています。

一方NISAはより柔軟で、住宅購入や子どもの教育資金など、中期的な目標から老後までの長期的な資産形成まで、幅広い用途に活用可能です。

どちらを選ぶかは個人の資金ニーズと投資目的で判断しましょう。

なお、両制度を組み合わせて資産運用するのもおすすめです。

資産運用にiDeCoの活用はあり?

資産運用にiDeCoの活用はあり?

資産運用にiDeCo(イデコ)を活用するのがおすすめな方の特徴は、以下のとおりです。

  • 安定した収入がある方
  • 十分な貯蓄がある方
  • 長期的な資産形成を考えている方
  • 自己責任で資産運用したい方
  • 公的年金のみでは不安な方

上記を満たしている方であれば、積極的にiDeCoを活用して資産運用するのがよいでしょう。

iDeCoは収入がないと税制優遇を活用できないので、毎月の積立には安定した収入が必要です。

さらに、iDeCoは60歳まで原則引き出しができないため、緊急時の資金として使用できないのです。

収入が不安定な方や十分な貯蓄がない方、近い将来に大きな出費を予定している方にはおすすめできません。

iDeCoの活用を検討する際は、自身の経済状況と長期的な目標をよく考え、慎重に判断することが重要です。

iDeCoで資産運用する際は種類や特徴を把握することがおすすめ

iDeCoで資産運用する際は種類や特徴を把握することがおすすめ

iDeCoで資産運用を始める際は、金融商品の種類や特徴を十分に理解しておきましょう。

iDeCoには投資信託、定期預金、保険商品など、多様な選択肢があり、それぞれリスクと期待リターンが異なります。

自身のリスク許容度や投資目的に合わせて適切な金融商品を選ぶと、より効果的な資産形成が可能です。

手数料の構造や税制優遇の仕組みも把握しておくと、長期的な運用戦略を立てやすくなります。

なお、定期的に運用状況を確認し、必要に応じて資産配分の見直しをするのも大切です。

iDeCoで資産運用する際は自身の状況を把握してから

iDeCoで資産運用する際は自身の状況を把握してから

iDeCoは税制優遇や長期運用のメリットがある一方で、原則60歳まで引き出せないデメリットもあります。

効果的に活用するには金融商品の特徴やリスク、手数料の構造をよく理解し、自身の状況や目的に合わせて慎重に検討しましょう。

iDeCoは初心者にもおすすめな資産運用ですが、自身の経済状況や将来設計にもとづいて、適切な運用方法を選択することが重要です。

「自分で将来の経済状況まで把握するのが難しい」と感じる場合は、FPに相談して、個人の状況に合わせた資産運用プランを立てるのもおすすめです。

監修者プロフィール
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。
個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動し、新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。
退職後、資産運用だけでは本当の解決ができないという思いから、2020年に一般社団法人証券相続普及協会を設立、代表理事に就任。
終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、現在はお客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
【代表著書】
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※2024年9月30日調べ
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