投資信託のリスクを理解し、正しい運用戦略を立てよう
投資信託は手軽な資産運用の手段である一方で、元本割れのリスクがついて回ります。
この記事では、なぜ元本割れが起こるのか、そのメカニズムや投資信託のリスクの種類を、理解し克服するために解説していきます。
投資信託は一時的な価格の下落があるものの、分散投資やリスクヘッジといったメリットを持つ投資商品です。
正しい運用戦略によって元本割れのリスクを最小限に抑えることが可能ですので、ぜひ参考にしてみてください。
投資信託には元本割れのリスクがある
投資信託には元本の保証がないため、元本割れが起こるリスクがあることを覚えておきましょう。
元本とは、投資したお金のことを指します。
元本割れとは投資した金額よりも、少ない金額しか戻らないことをいいます。
投資信託は投資ですので、一時的に基準価額が下落してしまうことももちろんあります。
この基準価額が下落したタイミングでよくあるケースが、投資家が投資信託を解約・売却してしまうことです。
短期間でマイナスになったことで、怖くなってやめてしまい、失敗に終わってしまう人が多くいます。
前提として、投資信託は短期でリターンを得ることはできません。
投資信託は分散投資の形態をとっているため、ローリスクローリターンであり、長期的にコツコツと積立投資をして、運用することに向いているからです。
そのため、基準価額が下落し、元本割れが起きてしまった際に解約するのではなく、そこを乗り越えて中長期で運用することで元本割れする確率をゼロに近づけていくことが大切です。
分散投資ならではのメリットとデメリット
上記でも紹介したとおり、投資信託は通常、分散投資の形態をとっています。
分散投資とは、1つの商品だけで資産を運用せず、投資先を分散することでリスクを抑え、安定したリターンを目指す投資方法です。
事実として、投資をする際はどの投資先にも元本保証はありません。
その上で、できるだけリスクを抑えつつ、またリスクを未然に予測して回避できるようにリスクヘッジをすることが大切です。
その点、投資信託は分散投資のため、リスクを抑えながらお金を増やせる可能性があるのです。
最大のメリットはリスクヘッジができること
分散投資は、投資信託のみならず、投資におけるリスクヘッジの方法として広く知られています。
ただし、個人の投資家が自分のお金だけで分散投資をしようとした場合は、投資先が多くなればなるほど多くの資金が必要となります。
一方、投資信託は複数の投資家から集めた小口のお金をひとつの大きな資金とし、運用のプロであるファンドマネージャーがさまざまな資産に分散投資して運用します。
そのため、投資家は小さな金額でリスクを軽減することが可能になります。
分散投資により、例えば株式、債券、不動産商品など性質の異なる商品に投資をすることで、一方の価格が不調になってしまった時、もう一方でその損失をカバーできる可能性が高いのです。
短期間で大きなリターンがないことはデメリット
分散投資は、投資におけるリスクを分散させる方法として有効ですが、もちろんデメリットもあります。
投資信託を購入する前に確認しておき、投資信託を購入するかの判断材料にしたり、対策を事前に講じておくことが重要です。
投資信託は、投資先を分散して運用するため、特定の銘柄や市場が急騰した場合に、短期間で大きなリターンを得ることができません。
ポートフォリオ全体(どの銘柄へどれくらいの配分で投資するかという組み合わせ)のリターンが安定する一方で、急騰する銘柄に資金が集中しないため、リターンが抑制されることがあります。
その対策として中長期的な運用が必要になりますが、これについては後ほど「投資信託で利益を得るためのポイント」にて解説します。
投資信託における基準価額に影響を及ぼすリスク
ここまでに紹介したとおり、投資信託は投資商品であり、かつ投資は元本保証がないことが前提です。
元本割れは基準価額が購入時よりも下がってしまう場合に発生する現象ですが、以下のようなリスクが基準価額に影響を及ぼす要因となります。
- 価格変動リスク
- 為替変動リスク
- 金利リスク
- 信用リスク
基準価額が下がった際も焦らず、長期運用をするためにリスクを十分に理解しておきましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
価格変動リスク
価格変動リスクとは、投資信託のポートフォリオに組み込まれている株式や債券などの価格が変動するリスクのことです。
株価は市況や需要と共有の関係、また企業の経営状況などといった理由により変動します。
また債券価格は市場金利や発行体の信用状況、景気などの影響を受けて左右されるものです。
為替変動リスク
為替による投資信託のパフォーマンスへの影響を為替変動リスクといいます。
海外の株式や債券などに投資する場合、通常はその国の通貨で投資します。
そのため株式や債券の値動きのみならず、為替レートの変動も基準価額に影響することになるのです。
一般的には、円高なら基準価額にマイナス、円安ならプラスの影響を与えます。
金利リスク
景気や経済の状況などの影響を受けて金利が変動することに伴って受けるリスクが、金利リスクです。
一般的に、金利が上昇した場合には債券価格が下落するため、債券を組み込んで運用されている投資信託は基準価額にマイナスの影響を受けます。
逆に、金利が下がると債券価格が上がります。
信用リスク
投資信託に債券が組み込まれている場合、財政難や経営不振などの理由により発行者が利払い日における利息の支払いや、満期償還時の償還金の支払いをできなくなるリスクがあります。
このように、発行者が債務不履行に陥るリスクを信用リスクと呼びます。
信用力の低い発行体ほど信用リスクは高くなるといえるでしょう。
投資信託で利益を得るためのポイント
ここまで、投資信託には元本割れする可能性があることや、基準価額が変動する要因となるリスクを解説してきました。
価格変動や為替変動など、これらのリスクはどの投資商品にも存在します。投資にリスクはつきものです。
では、投資信託で利益を得るためにはどのように運用・購入をしたら良いのでしょうか?
ここでは、投資信託で利益を得るためのポイントとして、長期投資と積立投資について解説していきます。
長期投資する
投資信託における長期投資は、資産を比較的長い期間保有する投資戦略を指します。
数年から数十年にわたり、市場や資産の変動に対して安定した成果を期待できるアプローチです。
長期投資をする場合でさらに将来的な利益をあげたいのであれば、分配金を受け取らずそのリターンをそのまま再投資する方法があります。
リターンが再投資に回ることで投資資産が増えていき、資産が資産を生む循環を作ることができます。
これを複利効果と言います。これにより、元利合計や資産の成長がより顕著になります。
積立投資する
積立投資は、定期的に一定金額を投資する方法です。
具体的には、毎月・毎四半期・毎年などの定期的なスケジュールで一定額を投資信託に積み立てます。
これはドル・コスト平均法とも呼ばれる投資手法であり、時間分散を続けることで平均購入単価が極端に高くなるリスクの軽減効果が期待できます。
積立投資は、一度申し込めば自動的に買付が継続されるため、購入するタイミングを毎回考える必要がありません。
買うタイミングを間違えてしまい、価格の高いところで購入し、その後値下がりする高値掴みのリスクを軽減できる可能性があり、安定して利益を出すことを期待できます。
記事まとめ
投資信託にはリスクとリターンが共存し、その中でも多くの人が懸念されるのが「元本割れ」です。
市場の変動により基準価額が下落し、投資家がマイナスを恐れて解約するケースが多い中、時間をかけた運用が成功の鍵となります。
また小額から投資信託をスタートし、安定的な利益を得るためには、分散投資、積立投資のデメリットとメリットを理解することも重要です。
基準価額に影響を及ぼすリスクも考慮しつつ、長期投資や積立投資を通じて複利の力を活かしながら、将来の目標に向けた資産運用を行うことが重要です。