投資信託の年利について概要や平均値、投資する際の注意点を詳しく解説
投資する投資信託を選ぶうえで、非常に重要なのがその商品の年利です。
年利を確認することで、その商品に投資したときにどの程度資産を増やせるのかの目安が分かるので、必ず確認しておくべき項目といえます。
そこでこの記事では、投資信託の年利についての概要や、年利の平均値、年利の高い投資信託に投資する際の注意点などをお伝えします。
また、利回りの高い投資信託の種類や、利回りの高い投資信託ランキングトップ3も紹介しています。ぜひ最後までご覧ください。
投資信託における年利とは「1年間の収益の割合」
年利は一般的に利回りと表記され、「1年間の収益の割合」を表します。
年利はパーセントで表記され、その投資信託に投資したときにどのぐらい資産が増えるかを考えるための目安になります。
そのため、投資信託を選ぶ際には、年利は必ず確認すべき指標であるといえるでしょう。
ここからは、年利の計算方法や、年利・利率・騰落率の違いなどについて解説していきます。
計算方法
投資信託の年利の計算式は以下のとおりです。
利回り平均(%)=収益合計÷運用年数÷投資元本×100
ここでの収益を求める際には、分配金と売却益などの利益と、手数料や税金などのコストを考慮して求める必要があります。
例えば元本100万円を5年間運用し、30万円の売却益と10万円の分配金を得たとします。
理解しやすくするために、手数料や税金を一旦考慮せずに計算するとすると、5年間の利回りの平均は以下のとおりです。
利回り平均(%)=(30万円+5万円)÷5年÷100万円×100=7%
このように5年間の利回りの平均を求めることができます。
今回は計算をシンプルにするために手数料や税金を考慮しませんでしたが、実際に年利を計算するときには、手数料や税金を利益から差し引き計算する必要があります。
利率・騰落率となにが違う?
年利と混同しがちな言葉に、利率や暴落率という言葉があります。これらの言葉はそれぞれ意味に違いがあるので、どのように違うのかを解説します。
年利と利率の違い
年利と利率には以下の2つの違いがあります。
- 計算方法が異なる
利回りは売却損益と分配金を考慮して計算され、利率は元本に対する利息の割合を考慮して計算する。 - 使われる対象の商品が異なる
利回りは投資信託の収益性を表すのに使われ、利率は銀行預金や債券に対して使われる。
投資信託の収益性を表す場合には、通常、利率ではなく年利が用いられます。
年利と騰落率の違い
年利と騰落率の違いは以下のとおりです。
- 考慮する期間が異なる
利回りは通常1年間の利益を対象に計算されますが、騰落率は1カ月・3カ月・6カ月・1年など様々な期間で算出されます。 - 計算方法が異なる
利回りは利益だけではなく、手数料や信託報酬などのコストを含んで計算します。一方、騰落率は手数料や税金を考慮していません。
騰落率は計算時に手数料や税金を考慮しないため、実際よりも収益率が高く見える可能性があり、注意が必要です。
投資信託における平均的な年利は3%~10%程度
投資信託の平均的な年利は3%~10%程度で、商品によって大きく異なります。
例えば、ウエルスアドバイザー株式会社で資産構成ごとの平均年利を調べると、以下のようにバラつきがあります。
分類・カテゴリー | リターン(3年) |
---|---|
国内大型ブレンド | 15.55% |
海外株式型(グローバル・除く日本) | 17.85% |
国内債券型(中長期債) | -1.59% |
海外債券型(グローバル・除く日本) | 5.04% |
国内REIT型 | 1.25% |
コモディティ | 14.76% |
※各カテゴリーの3年平均年利。2023年3月時点。
このように投資信託を構成する資産によって、年利が大きく変動します。
中には15%を超える投資信託もありますが、こうした商品は利回りが高い分、価格が下落するリスクも大きくなります。この点を理解し、投資すべきかどうかを慎重に判断する必要があります。
投資信託の年利ランキング
年利の高い投資信託にはどのようなものがあり、どの程度の年利が出ているのかが気になる方も多いでしょう。
そこで、2023/03 ~ 2024/02の年利ランキングトップ3を紹介していきます。
1位:楽天日本株4.3倍ブル
項目 | 詳細 |
---|---|
年利(2023/03 ~ 2024/02) | 308.78% |
信託報酬 | 1.24% |
販売手数料 | 3.30%(上限・税込) |
決済頻度 | 年1回 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | 国内 |
楽天日本株4.3倍ブルは、過去1年間の年利ランキングで1位を獲得した投資信託です。
国内の株価指数を対象とする先物取引を積極活用し、現物の約4.3倍の値動きになることを目指し運用される投資信託です。
運用がうまくいけば短期間で大きな利益を狙える可能性があり、ハイリスク・ハイリターンでの投資を望む方に向いています。
2位:SBI日本株4.3ブル
項目 | 詳細 |
---|---|
年利(2023/03 ~ 2024/02) | 308.39% |
信託報酬 | 0.968% |
購入時手数料 | 2.20%(上限・税込) |
決済頻度 | 年1回 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | 国内 |
SBI日本株4.3ブルは、年利ランキングで第2位になった投資信託です。
1位の「楽天日本株4.3倍ブル」と運用方針は同じで、日本の株式市場全体の値動きの4.3倍程度となる投資成果を目指して運用を行う銘柄です。
分配は原則として年1回行われ、毎年12月5日に基準価額の推移や市場動向などを考慮し、金額を決定し行われます。
やはりハイリスク・ハイリターンの投資信託なので、短期間で大きな利益を狙いたい方に向いています。
3位:ブル3倍日本株ポートフォリオ6
項目 | 詳細 |
---|---|
年利(2023/03 ~ 2024/02) | 183.24% |
信託報酬 | 1.023% |
購入時手数料 | 2.20%(上限・税込) |
決済頻度 | 年1回 |
投資対象資産 | 株式 |
投資対象地域 | 国内 |
年利ランキングで3位にランクインした投資信託は、「ブル3倍日本株ポートフォリオ6」です。
日本国内の価指数先物取引および債券に投資し、日本の株式市場の値動きの3倍程度の値動きを目指す投資信託です。
1位・2位の投資信託とは違い、日本の株式市場の値動きの3倍程度の値動きを目指しています。そのため、4倍以上の1位・2位の投資信託よりは若干リスクが低く、その分年利も低くなっています。
とはいえ、ハイリスク・ハイリターンの商品であることには変わりないため、投資するときはその点を理解して行うようにしましょう。
高利回りを狙うコツ
高利回りを狙って投資信託を購入する場合、どういった商品を購入するのかが重要となります。
高利回りの商品には様々な種類が存在しますが、以下の点を抑えると、高利回りの投資信託を見つけやすくなります。
- アクティブファンドを買う
- レバレッジ型(ブル型)の商品に投資する
それぞれについて詳しく解説します。
アクティブファンドを買う
アクティブファンドとは、その名の通り積極的に運用を行う投資信託のことです。
インデックスファンドが指数に連動した値動きを目指して運用されるのに対し、アクティブファンドではファンドマネージャーが高い利回りを目指して積極的な運用を行います。
アクティブファンドの運用が成功した場合、インデックスファンドを上回る運用成績を達成し、高利回りでの運用が可能になります。
ただし、アクティブファンドの投資パフォーマンスはファンドマネージャーの能力に大きく依存するため、その判断が適切でなかった場合には、利回りがインデックスファンドを下回る可能性もあります。
アクティブファンドは、このようなリスクがある一方で、積極的な運用による高いリターンを期待できる投資信託です。
ハイリスク・ハイリターンである点を受け入れられる投資家にとって、アクティブファンドは魅力的な選択肢の一つとなるでしょう。
レバレッジ型(ブル型)の商品に投資する
レバレッジ型(ブル型)の投資信託は、対象となる指数の値動きに、一定の倍率を掛けた値動きをするように設計されています。
例えば、日経平均株価の2倍のレバレッジの商品であれば、ベンチマークとなる指数が1年間で5%上昇した場合、その商品の価格は10%上昇することになります。
このように値動きが大きいため、購入後にベンチマークとなる指数の価格が上昇すれば、非常に高い収益を期待できる可能性があります。
しかし、指数が値下がりした場合には下落幅も大きくなるため、損失が拡大するリスクがあります。
投資する際は、アクティブファンドと同様に、ハイリスク・ハイリターンの商品であることを理解する必要があります。
年利が高いほどリスクも高まるので注意
年利を重視して投資信託を選ぶ際に気を付けるべきことは、年利が高いほどリスクも高くなるという点です。
高いリターンを見込める投資信託は値動きが激しく、価格が上昇した場合には大きな利益を得られるでしょう。
しかしその反面、購入後に価格が下落した場合には、被る損失も大きくなります。
そのため、高い期待収益率で大きな利益を狙える投資信託に投資する際には、そのリスクについても十分に理解しておく必要があります。
年利以外の重要ポイント
利回り以外には以下のポイントに気を付けて投資信託を選ぶようにしましょう。
運用成績
過去の運用成績については必ず確認するようにしましょう。
証券会社などで投資信託のデータを確認すると、基準価額の推移がチャートで表示されているので、これを見てパフォーマンスを確認します。
そのうえで、利益を得られそうかどうかを判断し、投資すべきかどうかを判断するのがよいでしょう。
特にアクティブファンドについては、ファンドマネージャーの腕が運用成績に大きく影響するので、過去の値動きをよく見て運用スキルを確認しておくとよいでしょう。
コスト
投資信託での資産運用には、購入時手数料や信託報酬などのコストがかかります。
これらのコストは投資信託によって異なり、投資のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
運用期間が長期になるほどコストが積み重なり、その影響が大きくなります。
そのため、投資信託を購入する前にコストについて確認し、理解したうえで投資するかどうかを決定する必要があります。
分配方針
分配方針についても必ず確認しておきましょう。分配金の支払い頻度や、運用成果からどの程度の割合を分配するかなど、方針があらかじめ定められています。
分配金は投資信託の資産から支払われます。そのため、分配金の支払い金額が多いとその分基準価額が下落し、運用のパフォーマンスに悪影響を与える場合があります。
そのため、分配金の有無や運用成果に占める割合、分配の頻度を確認するようにしましょう。
高い利回りの投資信託を選ぶ際の注意点
高い利回りの投資信託を選ぶ際の注意点として、以下の3点が挙げられます。
- 年利はあくまで過去の実績
- 過去1年のみの年利で判断するのは危険
- 全資金を高利回りの投資信託に集中させるのはNG
それぞれについて詳しく解説します。
年利はあくまで過去の実績
投信信託の利回りは、過去の運用実績を示したものであって、今後のパフォーマンスを保証するものではありません。
証券会社の公式サイトなどに書かれている投資信託の利回りは、あくまで過去の実績です。
過去に高い利回りが出ているからと言って、今後も高い利回りが維持されるとは限りません。
これまでのパフォーマンスがどれだけ両行でも、将来的には利回りがマイナスになる可能性も十分にあります。
投資信託の利回りは、あくまで過去のデータなので参考程度に捉えるようにしましょう。
過去1年のみの年利で判断するのは危険
年利が高い投資信託の場合、たまたま過去1年間だけの利回りが高く、それ以前はパフォーマンスが良くないというケースは決して珍しくありません。
過去3年間のデータを確認すると、マイナスになっている年のほうが多かった、ということもあり得ます。
そのため、過去1年のみの年利では判断せず、少なくとも過去3年間~5年間の利回りを確認するようにしましょう。
長期的に高い利回りが出ていれば、投資によって利益を出せる可能性が比較的高いと判断できます。
全資金を高利回りの投資信託に集中させるのはNG
できるだけ資産を大きく膨らませようと、年利が高い投資信託に資金を集中投資させるのはNGです。
利回りが高い投資信託は価格が暴落するリスクも高いので、集中投資してしまうと、価格が下落したときに大きな損失につながる恐れがあります。
そのため、高利回りの商品に一点集中するのではなく、リスクが低い商品と組み合わせてリスクとリターンのバランスをとるべきです。
投資の格言には「卵を一つの籠に盛るな」というものがありますが、1つの投資対象に全資産をつぎ込むと、ダメージが非常に大きくなる恐れがあります。
決して一つの商品に全資産を集中投資することはせず、複数の投資信託に分散投資するようにしましょう。
記事まとめ
投資信託の年利は1年間の投資金額に対する収益の割合を指し、一般的に利回りと呼ばれる場合が多いです。
証券会社のデータなどで利回りを確認することで、パフォーマンスの目安が分かるので、投資先の商品を選ぶ際には必ず確認すべきといえます。
投資信託の平均的な年利は、いつの時点で見るかによって異なりますが、通常は3%~10%程度で投資信託によって大幅に異なります。
とくに、アクティブファンドやレバレッジ型の商品は、年利が非常に高いので、高利回りを狙いたい場合にはこれらの投資信託を選ぶとよいでしょう。
ただし、年利が高い投資信託は値動きが激しいので、リスクも高い点には注意も必要です。運用の仕方によっては、大きな損失が出る可能性がある点を事前に理解しておく必要があります。
年利の高い投資信託に投資する際は、1つの商品に全資産を投入せず、複数の投資信託に分散投資することでリスク管理を行いましょう。