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投資信託の複利とは?単利との違いや効果が高いおすすめ運用方法を紹介
投資信託の複利とは?単利との違いや効果が高いおすすめ運用方法を紹介
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複利の仕組みや投資信託を複利運用する方法、複利運用のメリットなどについて解説

投資信託の運用方法には単利と複利の2種類が存在しますが、複利運用することで大きく資産を増やせます。

複利運用することで資産形成速度が大幅に上昇するので、積極的に取り入れるとよいでしょう。

この記事では、複利の仕組みや投資信託を複利運用する方法、複利運用のメリットなどについて解説していきます。

また、非課税の環境で資産形成が可能になる、2024年からスタートした新NISAについても解説していきます。

投資信託における「複利」の仕組みを確認

投資信託における「複利」の仕組みを確認

まずは投資信託における複利の仕組みを解説していきます。

複利と単利の違い

単利とは投資元本のみに対して利息を計算する方法のことです。単利では利益が発生したら毎回受け取るので、長期的に投資信託を運用しても運用する元本は一定のままです。

一方で、複利とは運用益を元本に加えて再投資し、その金額をもとに利息を計算する方法です。単利とは違い、稼いだ利益を元本に加えるので、運用時間が長くなるにつれて元本が大きくなっていきます。

複利と単利の効果を比較

複利と単利で資産運用すると、どのような違いが出るのでしょうか?

1,000万円を年利10%で単利と複利で運用した場合の、それぞれの運用結果を紹介していきます。

単利運用の場合

まず、単利運用の場合以下のようになります。

元本 運用後の金額
1年目 1,000万円 1,100万円
2年目 1,000万円 1,100万円
3年目 1,000万円 1,100万円
4年目 1,000万円 1,100万円
5年目 1,000万円 1,100万円

このように、単利運用の場合得られる利益は5年連続で同じです。そのため5年間の運用で得られる運用益は合計500万円です。

複利運用の場合

同じ年利10%で複利運用した場合、以下のようになります。

元本 運用後の金額
1年目 1,000万円 1,100万円
2年目 1,100万円 1,210万円
3年目 1,210万円 1,331万円
4年目 1,331万円 1,464万円
5年目 1,464万円 1,610万円

複利運用では、運用益を元本に加えて再投資するため、毎年元本が増えていきます。

そのため、5年後に得られる利益の合計額は610万円になり、単利運用のときと比べて110万円も多くなっています。

このように、複数年運用すると単利よりも複利のほうが利益が大きくなり、運用年数が長いほど差が広がります。

元本が倍になる期間を計算できる2つの法則

元本が倍になる期間を計算できる2つの法則

投資信託の投資において、投資資金が2倍に増えるまでの期間を計算できる、以下の2つの法則があります。

  • 複利の「72の法則」
  • 単利の「1,000の法則」

それぞれについて詳しく説明します。

複利の「72の法則」

72の法則とは、複利運用によって元本が2倍になるまでの年数を計算するための法則です。計算式は以下の通りです。

72÷金利(年利)=資産が2倍になるまでの年数

例えば利率が6%だった場合、複利運用した時に元本が2倍になるのにかかる時間は、72÷6=12年です。

このように、簡単に元本が2倍になるまでの年数がわかります。

ただし、この計算によって得られる数字はあくまで目安です。

投資信託の運用利回りは一定ではなく変動するので、実際は計算通りにはならないからです。

72の法則で求められる年数は、あくまで目安であることを理解しておきましょう。

単利の「1,000の法則」

1,000の法則とは、元本を単利運用で2倍になるのにかかる年数を求めるのに使われる法則です。計算式は以下の通りです。

1,000÷金利(年利)=資産が2倍になるまでの年数

仮に年利が6%の場合、資金が2倍になるのにかかる時間は、1,000÷6=約166.6年かかる計算になります。

こちらについても、利回りが一定の前提での計算なので、実際にかかる年数は前後します。

元本が2倍になる時間は複利と単利で大きく異なる

元本が2倍になる時間は複利と単利で大きく異なる

72の法則と1,000の法則を比較すると、複利と単利では元本が2倍になる時間に大きな開きがあることがわかります。

実際に元本100万円を年利5%で運用する前提で、「72の法則」と「1,000」の法則を用いると、以下のように資産が2倍になるまでの時間を計算してみます。

  • 複利:72÷5=14.4年
  • 単利:1,000÷5=200年

このように、複利であれば14.4年で資産を倍にできるのに対し、単利だと200年かかることが分かります。

単利運用では生きている間に資産を2倍にするのは不可能ですが、複利運用であればわずか15年未満で資産を倍にできます。

このように、複利運用することで圧倒的な速度で資産を増やせるため、投資信託への投資の際には複利運用がよく用いられます。

投資信託「複利」のメリット・デメリット

投資信託「複利」のメリット・デメリット

投資信託の複利運用にはメリットだけではなくデメリットも存在します。

ここでは、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

メリット

まずは、2つのメリットを紹介します。

長期的な計画が立てやすい

投資信託を複利運用するメリットの一つとして、長期的な計画が立てやすい点が挙げられます。

72の法則に元本と利率を当てはめて計算することで、元本が2倍になるのに必要な期間の目安が簡単に分かります。

例えば、1,000万円の元本を20年間で2倍にしたい場合、年利3.6%で複利運用すれば目標達成できることが分かります。

このように、必要な資産を得るために必要な元本や時間、年利がわかり、資産運用の見通しを立てやすいのが複利運用の大きなメリットといえます。

再投資を通じた資産の成長

複利運用は投資信託の運用益を再投資することで、元本を増やし投資効率をアップさせる方法です。

再投資により元本を増やしながら運用することで、元本のみを運用するときと比較し、はるかに速いスピードで資産を増やせます。

豊かな老後を送るためには、退職までに2,000万円が必要という話もあります。単利運用では、よほど豊富な資金がない限り、老後を迎えるまでに2,000万円を用意するのは難しいのが現実でしょう。

一方、複利運用なら数十年の時間をかけて投資することで、比較的元本が少なくても2,000万円を用意できる可能性があります。

また、まとまった元本がない場合でも、月数万円程度をコツコツと積立投資し、複利運用することで老後資金を用意できるでしょう。

複利の力を活用することで、単利運用では不可能なスピードで、資産を増やせるのが大きなメリットといえます。

複利効果が実感できるまで時間がかかる点がデメリット

複利運用のデメリットは、効果が実感できるまでに時間がかかる点です。

複利運用は20年、30年と継続して運用することで、投資効果が大きくなりますが、最初の数年間はそれほど資産が増えません。

初めのうちは投資した資金がほとんど増えないため、しばらく忍耐する必要があり、その期間に投資をやめてしまう恐れがあります。

この点は投資信託への投資をはじめた方が、資産形成に失敗する大きな原因となっています。

資産が目に見えて増えるまでに、長い時間がかかる点が複利運用の大きなデメリットといえるでしょう。

投資信託で複利効果を得るためのおすすめ運用方法

投資信託で複利効果を得るためのおすすめ運用方法

投資信託で複利効果によって資産を効率よく増やすための、おすすめの運用方法があります。

複利効果の得るためのおすすめ運用方法について、4つのポイントをお伝えしていきます。

分配金は全て再投資をする

複利効果を最大化するには、分配金をすべて再投資し元本を大きくしていく必要があります。

運用益を受け取ってしまうと元本が増えていかないため、複利効果を得られず資産を大きく増やすのが難しくなります。

投資信託には「分配金受取型」と「分配金再投資型」があります。「分配金受取型」は運用益が再投資されず、単利運用になるのでおすすめできません。

「分配金再投資型」を選ぶと自動で利益が再投資され、自動的に複利効果を得られるので、こちらを選ぶといいでしょう。

長期型投資で運用

複利効果は、長期的に運用することで初めて得られます。

投資信託を短期で手放してしまうと、元本が大きく増える前に運用完了してしまい、十分な資産を形成できない恐れがあります。

複利運用の恩恵をしっかり受け取るためには、長期前提で投資信託に投資するのがおすすめです。

定期的な積立投資

投資信託で複利運用する際には、一定金額を定期的に積立投資するのもおすすめです。

少額を毎月積み立てることで、まとまった資金がない場合でも、元本を増やし複利効果で資金を大きく増やせます。

また、一定金額を定期買い付けすることには、投資信託の購入価格を平均化する効果もあります。

値上がり中には少量を、値下がり中には多量を購入することになり、長い目で見たときに購入価格を平均化できるためです。

したがって、複利効果を活用しながら、価格変動により損失が出るリスクを軽減できるため、定期積立は複利効果で資産を増やす際に効果的な投資方法といえます。

手数料・運用コストを抑える

投資信託での投資をする際には、購入手数料や信託報酬といったコスト、そして税金がかかります。

これらの費用を最小限に抑えることで、手元に残るお金を増やすことが可能です。

証券会社で公開されている投資信託の商品概要を確認すれば、手数料や信託報酬を確認でき、これらが低い商品を選ぶことで余計なコストを抑えられます。

また、税金に関してはNISA口座を活用して投資信託に投資すれば、一定金額までであれば非課税で運用できます。

こうした工夫をすることで、余計なコストを減らし上手に資産運用しましょう。

新NISAなら更なる効果アップを狙える

新NISAなら更なる効果アップを狙える

新NISAを活用することで投資信託を非課税で運用でき、税金が発生しなくなるので更なる複利運用の効果アップを狙えます。

ここでは、新NISAの仕組みについて解説します。

新NISAの仕組み

新NISAは2024年に、以前のNISAをリニューアルする形でスタートした新制度です。

株式や投資信託の運用益には、通常20%程度の税金がかかります。

しかし、NISA口座を活用すると年間投資枠の範囲内であれば、投資信託の運用による利益が非課税になります。

NISA口座は18歳以上で口座開設可能で、証券会社で申し込むことで好きなタイミングで口座開設できます。

つみたて投資枠と成長投資枠の2種類の枠が用意されており、それぞれの詳細は以下の通りです。

つみたて投資枠 成長投資枠
年間投資枠 120万円 240万円
非課税保有期間 無期限化 無期限化
非課税保有限度枠 成長投資枠と合計して1,800万円 1,200万円
投資対象商品 長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託 上場株式・投資信託等

参照:新しいNISA | 金融庁

2種類の投資枠は、年間投資枠や選択できる投資信託の種類が異なります。

そのため、2種類を使い分けることで異なる種類の投資信託に投資でき、投資戦略によって口座の使い分けが可能です。

つみたて投資枠は長期の積立・分散投資に適した投資信託が対象で、成長投資枠は上場株式・投資信託などが投資対象になります。

新NISAなら税金対策ができる

新NISAは2023年までの旧NISAと比べて、年間投資枠や非課税保有枠が大きくなっています。

2種類の投資枠をフルに活用すると、最高で1,800万円まで非課税で運用できるので非常に大きな節税効果が見込めます。

投資信託を活用した複利運用によって、資産を増やしながら大きな節税効果を得られるのも新NISAの大きな魅力です。

つみたて投資枠と成長投資枠を合わせると、年間で合計360万円まで運用益や分配金が非課税になるので、資産形成のために有効活用するといいでしょう。

記事まとめ

記事まとめ

投資信託の運用方法には、単利と複利の2種類があります。元金のみに金利が発生する単利と比べて、元本に運用益を加えて運用する複利運用のほうが資産が増加する速度が速くなります。

たとえば、金利3%で運用した場合、元本が2倍になるまでの時間は、単利だと333年、複利運用だと24年となります。

このように、比べ物にならないほどに、複利のほうが時間が短いことが分かります。

複利運用を有効活用することで、効率的な資産形成が可能になります。ぜひ複利運用を活用し迅速に資産形成しましょう。

複利運用の際には新NISAの口座を活用することで、運用の利益が非課税になり手元に残る金額が増え投資の効果が大きくなります。

ぜひ、新しくなったNISA口座と複利効果を組み合わせ、効率的に資産形成していきましょう。

監修者プロフィール
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。
個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動し、新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。
退職後、資産運用だけでは本当の解決ができないという思いから、2020年に一般社団法人証券相続普及協会を設立、代表理事に就任。
終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、現在はお客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
【代表著書】
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※2024年9月30日調べ
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