投資信託
投資信託にかかる費用とは?賢い資産運用のために運用コストを理解しよう
投資信託にかかる費用とは?賢い資産運用のために運用コストを理解しよう
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投資信託にかかる費用まとめ!購入・運用・売却の事例別にご紹介

これまでは、株式投資をはじめとする資産運用は、会社や一部の資産家が行なっているものであり、一般市民には馴染みの薄いものでした。

しかし、2024年より新NISAがスタートし、個人でも資産運用を始めやすい土壌が形成されつつあります。

中でも、投資のプロが運用することが特長である投資信託は、証券会社はもちろんのこと、郵便局や銀行でも商品を取り扱っていることもあり、初心者でも始めやすい資産運用方法の一つとして一定の支持を得ています。

投資信託を始める上で、切っても切り離せないのが手数料です

これは運用会社が顧客からお金を預かりそれらを管理・運用を行う対価として手数料を受け取るという仕組みをとっているためです。

本記事では、これから投資信託を始めたいと思っている方に向けて、投資信託にかかる費用や、おすすめの始め方について解説します。

投資信託にかかる費用を種類別にご紹介

投資信託にかかる費用を種類別にご紹介

投資信託において、費用が発生するケースは主に以下の3つが挙げられます。

  1. 購入する時
  2. 運用している間
  3. 保有商品を売却する時

それぞれのケースごとでどのような手数料がいつ発生するのかを解説します。

購入する時

販売手数料

投資信託を購入する際には、「販売手数料」が発生します。

「申込手数料」や、「購入時手数料」と呼ばれることもあります。

これは販売会社に対して支払う費用であり、一般的に購入代金に所定の手数料率をかけたものが販売手数料となります。

この手数料率は上限の範囲内であれば、自由に設定することができるため、同じ商品でも販売会社によって手数料率が異なる可能性もあります。

計算方法の例を挙げます。

例えば、販売手数料が3%の投資信託商品を100万円購入したケースだと、1,000,000円×3%×110%(消費税10%)=33,000円の費用が発生します。

運用している間

信託報酬(運用管理費用)

信託報酬とは運用管理費用とも呼ばれ、販売会社が投資信託を運用する中で必要となる代行費用のようなものになります。

信託報酬の費用は投資信託商品を保有している間継続的に発生し、販売手数料と同様に、発生する費用の利率は販売会社や商品によって異なります。

信託報酬の目安ですが、信託報酬の純資産総額に対して年率0.5%~2.5%程度が平均的であるとされています。

この年率を大幅に超える場合は再度見直しが必要と言えるでしょう。

一般的に管理に大きな労力を必要としないインデックスファンドは信託報酬が低めに設定されることが多いです。

一方で、銘柄選定や売買が頻繁に発生し負担の大きなアクティブファンドは信託報酬が高い傾向にあります。

監査報酬

監査報酬とは、その名の通り監査に要する費用です。

投資信託では決算ごとに、公認会計士が在籍する監査法人などから監査を受けることが義務付けられています。

監査を受けることでファンドの透明性や公平性を担保することができるため、適切な運用を行う上で重要な役割を果たしています。

また、監査報酬は具体的な利率等が明記されているケースはあまり多くありません。

売買委託手数料

売買委託手数料とは、運用会社がそのファンドに対して投資する株式などを売買する際に発生する費用のことです。

これらは、運用時に発生する費用であり、社会情勢や会社の成長性に左右されるため、事前にどれくらいのコストが発生するかを予測することは不可能です。

保有商品を売却する時

信託財産留保額

信託財産留保額とは保有している投資信託商品を解約・換金する際に発生する費用です。

投資信託を解約する場合、基準価格から信託財産留保額が差し引かれた金額が返還されることになります。

手数料率は0.3%程度が一般的であり、保有している投資信託商品によってはこの信託財産留保額が発生しないものもあります。

手数料以外に発生する費用は?

手数料以外に発生する費用は?

投資信託では、販売会社や運用会社へ支払う手数料が発生することを前章で解説しました。

投資信託では手数料の他に税金が費用として発生します。

投資信託の場合は、運用によって得られた利益が課税対象となります。

投資信託は利益が課税対象に

投資信託で得られる利益は主に以下の2種類があります。

  • 分配金
  • 譲渡益

分配金とは、投資信託の運用で得られた利益を保有している口数に応じて投資家たちに分配するお金のことを指します。

分配金は基本的に決算ごとに支払われるケースが多いです。

譲渡益とは、投資信託を購入した時の価格と、解約する時の価格の差から得られる利益のことを指します。

もし、解約する時に購入した時の価格を下回ってしまう場合、譲渡益は発生しないため、課税対象となりません。

税率は20.315%

投資信託の利益に課税される税率は20.315%となっています。

税率の内訳は以下の通りです。

投資信託の税金=(所得税15%+復興特別所得税0.315%)+住民税5%

例えば、投資信託で5万円の分配金を得た場合、5万円×20.315%=10,158円が計算式となります。

したがって、上記の場合だと10,158円が費用としてかかります。

費用を抑えるにはNISAがおすすめ

費用を抑えるにはNISAがおすすめ

投資信託では運用を行なっていく上で、信託報酬や税金などさまざまな費用が発生することが分かったでしょうか。

特に税金に関しては、税率は高く設定されているため、比較的大きな費用として重くのしかかります。

できるだけ最大限の利益を得るために費用は抑えたいですよね。

そのような場合は、NISA口座を開設することをおすすめします

NISAとは

NISA(ニーサ)とは、「Nippon Individual Savings Account」の略で、日本の個人向けの節税制度の一つです。

具体的には、NISA口座で購入した投資信託商品で得た利益や分配金等が非課税となるというものです。

税金等の費用がかからないため、実質的に効率良く資産運用を行うことが可能です。

また、2024年より新NISAがスタートし非課税保有期間の無期限化や、投資可能額も増大し、初期の制度と比べて大きく優遇されるようになりました。

投資信託をこれから始めるのであれば費用を抑えるという側面からも、NISAを活用しない手はありません。

ただし、信託報酬や購入手数料など、販売会社に支払う費用は変わらず発生するので注意が必要です。

投資信託を始める前に知っておきたい始め方

投資信託を始める前に知っておきたい始め方

実際に投資信託を始める際、信託報酬などの管理費用や銘柄、証券会社選びなど多くの選択肢の中から吟味して商品を選ぶ必要があります。

本章では、投資信託商品を購入する上で参考となる選び方について紹介します。

口座開設はネット証券がおすすめ

投資信託は多様な金融機関によって販売されており、代表的なものとして証券会社、ネット証券、銀行などが挙げられます。

金融機関によって特長に違いが生じますが、中でもおすすめなのがネット証券です。

人気のネット証券ランキングによく上位で選出される会社には、楽天証券やSBI証券、マネックス証券などがあります。

ネット証券の大きな特長は販売商品数の豊富さと手数料が安いことです。

対面式の店舗を持たない分、それにかかる家賃や人件費などの費用を抑えられることができるため、他の金融機関よりも手数料を安く計算することが可能となっています。

ネット証券の事例として楽天証券の強みを簡潔に解説します。

楽天証券では一定の条件を満たすと国内株式の販売手数料は無料になるなど、ネット証券の強みを生かしたキャンペーンが多いです。

また、楽天ポイントもゲットできるので、得られたポイントでお買い物ができることも楽天証券の売りだと言えるでしょう。

対面式には話を聞いてもらえるといったメリットもありますが、投資信託商品を購入する上で費用を抑えることを優先するのであれば、ネット証券でNISA口座を開設することがおすすめだと言えます。

目標設定に応じた商品を選ぶ

資産運用を始めるにあたり、目標設定を行うことは重要です。

この目標は人によって十人十色となりますが、目標に応じて購入する商品の種類は変わります。

投資信託は主にインデックスファンドとアクティブファンドの二つに分類されます。

インデックスファンドは日経平均株価やTOPIXなど特定の指数に連動するように設計された投資信託です。

低コストで市場平均のリターンが取れるという分かりやすさに加え、インデックスファンドを保有するだけで分散投資にも繋がることが特長です。

リスクを避けつつ長期的に安定した運用を行いたい方は、インデックスファンドに毎月一定額を投資する「投信つみたて」のスタイルがおすすめです。

アクティブファンドとは、目標の指数を上回るように設計された投資信託です。

大きなリターンが期待できる一方で、信託報酬などの費用は比較的高めに設定されています。

リスクをとって大きなリターンを期待する方や、業界やテーマにこだわりたい方はアクティブファンドへの投資がおすすめです。

信託報酬など発生する費用を確認したい場合は、目論見書をチェックしましょう。

目論見書には信託報酬などの費用やこれまでの運用実績など、商品を購入する上で判断基準となる事項が詳細に記載されています。

目論見書はどの投資信託商品においても必ず開示されているため、購入前には必ず目を通すようにしましょう。

また、余裕が出てきたら投資信託商品のスイッチングを行うことで、より費用対効果の高い資産運用が可能となります。

無理のない投信ライフを

投資信託では、購入してすぐに売るのではなく長期保有を行うことで最大限に効果が発揮できるとされています。

短期売却を繰り返すと信託報酬や管理費用が必要以上に取られることとなり、却って損失が発生する可能性が高くなります。

つまり、毎月多額の積立を行っても急な出費が必要となり解約に迫られてしまっては、投資信託を行う意味がありません。

したがって投資信託をはじめとする資産運用は、費用を最小限に抑えるためにも、余剰資金で計画的に購入することをおすすめします

記事のまとめ

記事のまとめ

本記事では、投資信託を運用するにあたり一般的に発生する費用と合わせておすすめの始め方について解説しました。

まとめると、投資信託では購入時、運用中、解約時に手数料が発生します。

購入時には、販売手数料が発生し、運用中には信託報酬をはじめとする管理費用、解約時には信託財産留保額が費用としてかかります。

特にアクティブファンドでは運用中の信託報酬費用が割高になる場合があるので目論見書などを通じて確認することが必要です。

また、投資信託を始めるにあたって不安なことや費用についてもっと詳しく知りたいことがあれば、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめします。

お金のプロに相談することで自身のライフプランを客観的に見つめ直すことができるので、商品購入の手助けになるでしょう。

報酬や手数料を取らない完全無料での相談を行なっている会社も多いので興味のある方はぜひ相談してみてください。

監修者プロフィール
小林裕
小林裕
一般社団法人証券相続普及協会 代表理事
大学卒業後、東証一部上場の証券会社に入社。
個人向けの資産運用コンサルティングを中心に活動し、新人賞、社長優秀賞などを数多く受賞。
退職後、資産運用だけでは本当の解決ができないという思いから、2020年に一般社団法人証券相続普及協会を設立、代表理事に就任。
終活カウンセラー1級や上級相続診断士の資格も取得し、現在はお客様の大切な資産を「ふやす、まもる、つなぐ」をモットーに活動している。
【代表著書】
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※2024年9月30日調べ
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